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【聖なる経済学】 タイムバンキングと相互信用①

訳者コメント:
 「時間」を貨幣として使う「タイムバンキング」は、仕事や能力によって時給が異なるという常識を手放して、人の時間は皆同じ価値を持つという平等主義を基準にするので、専門的ではない手伝いの交換に向いています。
 ここで触れられている日本の事例「ふれあい切符」は、地域介護サービスを回していくための試みの一つでした。しかし、2000年の介護保健制度の導入と共にその必要性が薄れ、90 年代後半には 400 団体に上った時間預託を行う団体数も 2010 年時点では 44 団体まで減少してしまいました。(「タイムバンキング制度による新たな結い社会の仕組みづくりの実証的研究」)


タイムバンキングと相互信用

仮想通貨について論じる前に、まず、現在流通しているどの国の通貨や主要な仮想通貨とも根本的に異なる、二つの貨幣の概念について見てみましょう。

タイムバンキング

いつも地域で入手可能であり、生活を維持し豊かにするため常に必要とされる資源が一つあります。それは人間、つまり労働力、エネルギー、そして時間です。先に述べましたが、地域通貨が有効なのは、生産者が地元で消費される商品やサービスを生産し、その消費者自身も地元で消費される商品やサービスを生産している範囲に限られます。しかし、私たちは(生きるという行為そのものによって)常に時間の「生産者」なのであり、この時間を他者の利益のために提供する方法は数多くあります。だからこそ、私は時間を基にする通貨(しばしば「タイムバンク」と呼ばれます)が、経済インフラに大きな変化を必要とせず、有望な候補になると確信しています。

タイムバンクを通じてサービスを提供すると、サービス提供者の口座には費やした時間1時間につき1タイムドルが入金され、サービス提供者のアカウントからは同額が引き落とされます。通常、電子掲示板のようなものが設けられ、サービス提供やニーズを掲載します。便利屋、マッサージ師、ベビーシッターなどのサービスを利用したくてもお金の余裕がなかった人々が、本来なら失業していたかもしれない人から支援を受けることができます。タイムバンクが盛んに利用される地域では、時間には余裕があるがお金に余裕がない人々が多い傾向があります。特に、専門性を必要としない分野では非常に魅力的であり、誰の時間も等しく価値を持ちます。その典型的な例として、日本の有名な「ふれあい切符」があります。これは高齢者の介護に費やした時間に対してクレジットを付与する制度です。タイムバンクは、アメリカやイギリスのサービス組織でも広く利用されています。また、材料費をドルで、時間費をタイムドルで支払うという形で、物理的な商品にも適用できます。

細分化された現代社会では、誰が何を提供できるかを知るための従来の方法は崩壊しています。互いのニーズや提供できる贈り物ギフトに気づかなかったであろう人々を、タイムバンクはつなぎます。あるタイムバンク利用者はこう述べています。

誰でも何かしらの特技を持っています。中には意外なものもあるかもしれません。運転できない引きこもりがちの高齢者が、美しいウェディングケーキを作れます。家の塗装を求めている車椅子の女性が、以前は警察犬の訓練士で、今は子犬の訓練をしています。落ち葉掃除を求めている退職した教師は、窯を持っていて陶芸を教えています。私たちが会うときによく聞かれる質問は、「お仕事は何をされていますか?」「何かご用ですか?」「何かお手伝いできることはありますか?」です。[8]

タイムバンクが差し迫ったニーズを満たすだけでなく、コミュニティを再生させる力を持っていることが、この説明からお分かりいただけるでしょう。タイムバンクは、混乱の時代に生活を支える経済的・社会的回復力を生み出します。お金が不足する状況下では、人々のニーズを満たすための代替的な仕組みを持つことが重要です。

タイムバンクの根底にある考え方は、皆の時間が同じ価値を持ち、皆が同じ量の時間からスタートするという点で、非常に平等主義的です。私たちが真に所有できるものがあるとすれば、それは時間でしょう。他のどんな所有物とも異なり、私たちが生きている限り、時間は私たち自身と切り離すことができません。時間の使い方を選ぶことは、人生をどのように生きるかを選ぶことです。そして、どれほどお金持ちであっても、時間を買うことはできません。お金で救命手術を受けたり寿命を延ばしたりすることはできるかもしれませんが、長寿を保証するものではありません。また1日24時間以上の体験を買うこともできません。この点において、私たちは皆平等です。この平等性を認識する貨幣システムは、直感から魅力的に映るのです。

もちろん、あらゆる状況において、すべての人の時間が他者にとって等しく価値があるわけではありません。医師の1時間は、お抱え運転手の1時間ほど価値がないかもしれません。だからこそ、通常タイムドルは人々の専門分野の外で、真の補完通貨として利用されるのです。

時間に基づく通貨が金銭取引に取って代わるとき、社会における大きな平等化の力となります。しかし危険なのは、時間通貨が、かつて贈与ギフトに基づいて行われていた活動を、数値化された領域へと移行させてしまうことです。おそらく未来は、金銭や数値化を伴わない方法で、贈与ギフトとニーズを結びつけることになるでしょう。それでも、少なくとも当分の間、タイムバンクは分断された地域社会を癒す上で重要な役割を果たすでしょう。

②に続く


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注:
8. 「タイムバンキング入門」(ロレッタBの投稿、www.getrichslowly.org/blog/2008/03/13/an-introduction-to-time-banking/

原文リンク:https://sacred-economics.com/sacred-economics-chapter-15-local-and-complementary-currency/



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