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TKGならぬKTTの時代!(最初と最後のTは同じものの頭文字)



TKGは「卵かけごはん」の略語です。

KTTは「巨人・大鵬・卵焼き」のこと。1960年代、高度成長期の流行語で、当時の子供が好きな物の代表を並べたフレーズです。

 全ての子供たちがこの3つに熱狂していたのではと思えるほど、本当にテレビというマスメディアのパワーを感じる時代です。

 このフレーズをもじって「江川・ピーマン・北の湖」(嫌われるものの代名詞)なんてフレーズもあったそうです。

 最近では「鬼滅・スイッチ・ユーチューブ」(子供が好きな物)というフレーズも。

 中学入試問題頻出作家さんの作品には昭和の時代に誰もが知っていたであろう、CMのフレーズ・キャラクター・ドラマ・雑誌・流行語などがちょいちょい登場します。

 もちろん世代が違う小学生さんには「何それ?」です。国語の問題を解く上では知らなくても大丈夫なのでご安心を。ただ親子の会話のネタにしていただければと思います。



 まずは「さがしもの(角田光代)」より

走り書きの数字は、私に自信をつけてくれるように思えた。ポパイのほうれん草みたいに、目に見えて。
出典「さがしもの」角田光代 (新潮文庫)

「ポパイ」です。昔は、ほうれん草嫌いの子供に対して「ほうれん草食べたらポパイみたいに強くなれるで!」と言うのが決まり文句でした。当時の子供はポパイの「ちからこぶ」を思い描きながらむしゃむしゃと頑張ることに。

 「悟空に仙豆」「ハクション大魔王にハンバーグ」「GU-GUガンモに缶コーヒー」などなどキャラクターと元気が出る(大好きな)食べ物の組み合わせはたくさんありますね。(どれも小学生には通じませんが……。)「ドラえもんにどらやき」なら大丈夫かな。


 次に、「半パン・デイズ(重松清)」より

石油ストーブはなるべく使わないように。校長先生が最後に「じっとがまんの子であった」と、ボンカレーのCMのせりふを笑福亭仁鶴の物まねで言うと、一年生や二年生は囃したてるように笑った。
出典「半パン・デイズ」重松清(講談社文庫)

「じっとがまんの子であった」ボンカレー(大塚食品)のCM(1972年)のナレーションです。「子連れ狼」が元ネタのCMで、笑福亭仁鶴師匠が拝一刀にふんした姿で登場。大五郎役の子供に「3分間待つのだぞ」と言います。温めるだけでカレーが食べられるというレトルト食品の特徴をドラマのパロディで上手にアピールしています。上記「半パン・デイズ」では1973年の第一次オイルショックが背景になっていますよ。


続いて「小学五年生(重松清)」より

お父さんも「遠山の金さんだ」と花びらをパッとまいて、あとでお母さんに「片づけるのはこっちなんだから」と叱られた。
出典「小学五年生」重松清(文春文庫)

 「遠山の金さん」です。主人公の少年が拾い集めた花びらを家に持ち帰る場面ですが、金さんの入れ墨を思い浮かべる小学生はいないかも。ちなみに上記の「子連れ狼」「なずな(堀江敏幸)」に登場します。

 水戸黄門の「この紋所が目に入らぬか」や金さんの「この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ!」なんて決め台詞も小学生には「何それ?」でちょっと寂しい。例えば「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「大岡越前」などなど代表的な作品のキャラ図鑑なんかがあればいいなと思っています。



 では上記を含めて、その他【小学生が「何それ?」って思うことば】第21回「マスメディアに関することば」を紹介させてください。(今回は6個です)

ピッカピッカの1年生

小学館の学習雑誌「小学一年生」のテレビCMのキャッチフレース。

あのCMがお子さんバージョンで作れます!

ビクターのマスコット

日本ビクターは蓄音機に耳を傾ける犬を描いた絵画「His Master's Voice」を企業のトレードマークとした。その絵画のモデルになったニッパーという犬のマスコットのこと。

学研の「科学」と「学習」

学研教育出版から刊行されていた小学生向け学習雑誌。小学1年から6年の各学年ごとに「〇年の科学」「〇年の学習」が発行されていた。
「家族シアター(辻村深月)」に「6年の学習」の漫画を楽しみにしている小学生が登場します。

中学生日記

1972年放送開始、NHK制作の教育ドラマの題名。2012年に終了。
僕は美術の南先生が思い浮かびます。みなさんはどうですか。

大鵬

第48代横綱。優勝32回を記録した昭和の大横綱。

「みかづき(森絵都)」「土俵で大鵬を倒すくらいにむずかしい」という表現が出てきます。相撲関連で、「星取り表」「白星・黒星」「他人のふんどしで相撲をとる」といったことばも知ってほしいところです。

インディアンのように……

「インディアンのように手を口にあててあくびを響かせ」という表現。

インディアンが口に手をあて「アワワワワー」と声を発するしぐさ。西部劇で使われるようになり、インディアンの代表的なジェスチャーとしてイメージが広がった。「インディアン噓つかない」というセリフもインディアンの代表的なセリフとして用いられる。

 メディアが多様化していくにつれ、「巨人・大鵬・卵焼き」のような大流行はなかなか出現しないでしょう。どんどん記憶の「個人化」が進行します。

 テレビというメディアも集合的な記憶を思い出させる装置ではなくなっています。アメトークの「〇〇芸人」みたいな共通の思い出やネタを持つことが少なくなるのかもしれませんね。

 僕なんて「やっぱ赤は3倍速いな!」とか「疲れてて死兆星が見える」とか言ってる人にものすごく親近感を持っちゃいます。同年代の人と共通の話題が多い世代なんでしょうね。(一緒の思い出を持った友人達に感謝!)

 ただ、読書を楽しむ側としては、記憶の個人化が進めば進むど、作家さんの趣味嗜好や記憶が垣間見えるのではないかと。

 例えば、重松清さんの作品には「少年キング」が登場するけど、別の作家さんの作品には「ヤングジャンプ」が出てくるみたいな。ことば集めをしている僕としては楽しみです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

子供たちの読書量が豊かになり、家族の会話が増えますように。

次回は「食べ物に関係することば」を書こうと思います。「日の丸弁当」「精進落とし」などなど…。

よろしければ前回の記事です。「ファッションに関することば」をどうぞ!



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