たじ総論#16. 明日からできる!『全員経営』を成功させるために、リーダーが意識すべき3つのこと
「全員経営を目指そう」——そんな、魔法の言葉のように聞こえる社長のメッセージに戸惑いながら向き合っているリーダーと話すことが、最近とても増えてきました。
本来は前向きで組織をよくしようという意図のはず。でも現場にいると、理想と現実の、深い溝に葛藤する場面が多いんですよね。
今日は、そんなリーダーの皆さんに、少しでもヒントになればと思い、まとめてみました。
先日も、あるリーダーからこんな相談を受けました。
「どこまで任せていいのか分からない」
「責任はあるけど決定権がない」
「部下に考えて動いてほしいのに、指示を待つばかり」
そんな声がよく聞こえてきます。
それはリーダーの力不足ではなく、「全員経営」という、一見魅力的な言葉に対する誤解や思い込み、そして周囲との認識の深い溝が原因だったりするのです。
「全員経営」の誤解と真実
「全員経営」と聞くと、「全員が経営判断に関われるべき」とか「すべての社員が同じようにリーダーシップを発揮すべき」といった印象を持たれることもあります。でも実際には、そんな組織はまず存在しません。
本来の意味は、「社員一人ひとりが、自分の持ち場で責任感と主体性を持ち、組織の目標に向かって動いている状態」。
ただこの社長のメッセージが、スローガンとして一人歩きしてしまうと、現場にはかえって混乱を招くことになります。
ここからは、実例を交えてご紹介します。
『全員経営』がうまくいかない理由
「みんなで考えよう」と言われることもありますが、実際には最終判断を下すのは社長であることがほとんどです。
あるプロジェクトのリーダーを決めるとき、社長が「みんなで決めよう」と言ってくれたのですが、結局は社長の一声で決まってしまいました。あとで現場からは、「最初から決まってたんじゃないか」「建前だったんじゃないか」という声が上がりました。
ぼくはその話を聞いて、「決めるのは社長でも全然いい。でも、最初から“意見は聞きたいけど、最終判断は自分がする”と伝えておけば、みんなもモヤモヤしなかったと思う」と伝えました。
その後、社長は全体ミーティングの中で「決定は自分がした。でも、みんなの意見がすごく参考になった」と伝えてくれて、場の空気も落ち着いたようでした。
責任の所在があいまいな状態も、リーダーにとっては苦しいものです。
たとえば、別の会社で新規事業のアイデアを現場チームが出したとき、結果が芳しくないと分かった瞬間、社長が「なんでこんな提案を通したのか」と言い出したそうです。
「うまくいけば社長の功績、失敗すれば現場の責任」。そんな構図になってしまうと、誰もチャレンジしようとしなくなります。
こうなるとリーダーも、「無難な提案しかできない」「部下に失敗させたらかわいそうだ」と、どんどん守りに入ってしまうんですよね。
もうひとつ、多くの現場でよく見るのが「やる気がないわけじゃないけど、動かなくなる」パターンです。
「主体的にやってほしい」と言われてるのに、結局は社長が細かく口を出してくる。そんなことが続くと、部下たちも「どうせ最後は修正される」と思ってしまいます。
実際に、「社長の好みに合わせて提案するほうが通りやすい」と言っていたリーダーもいました。
でも、これでは“考える文化”なんて育ちませんよね。
任せてもらえる、任された実感がある。
それがあるからこそ、人は自分の頭で考えて動けるようになる。
「考えろ」と言うだけでは文化は変わりません。
実は、かつてのぼくも「もっと主体的に動いてほしい」と言いながら、細かい指示を出しすぎていたことがありました。考える余白を奪っていたのは、他でもない自分だったんです。そう気づいてからは、“任せる覚悟”を意識するようになりました
リーダーが実践するためのヒント
では、現場のリーダーとしてどう動けばいいのでしょうか?
いくつか、実際の現場でうまくいった例をもとにまとめてみます。
▼チームの“判断範囲”を確認する
「うちのチームは、この件にどこまで決定権を持っているのか?」
これは率直に確認したほうがいいです。意外と、社長自身もあいまいだったりします。
「どこから相談したほうがいいですか?」と聞くだけでも、ラインが見えてきます。
▼自分から動き、確認する
たとえば「こういう進め方で動こうと思っていますが、いかがでしょうか?」と自分の考えを添えて確認する。この“先出し”が、社長との距離を縮めることも多いです。
部下からも、「リーダーがはっきりしてると動きやすい」と言われることがあります。
▼責任と裁量のセットで動ける環境をつくる
「責任だけ押し付けられても困る」。これはリーダーの本音ですよね。
だからこそ、「この判断は、私に任せてもらえますか?」とちゃんと確認しながら引き受けていく。その過程を見せることで、部下たちにも「責任を持っていいんだ」という空気が伝わっていきます。
自分のリーダー像をつくり直す
「全員経営」に限らず、世の中には正しそうなスローガンがあふれています。でも、現場で求められるのは、その言葉を“どう受け止め、どう伝えるか”のセンスです。
ぼく自身、何度も失敗しました。
でもそのたびに、「自分のスタイルってなんだろう」と考え直すきっかけをもらえたと思っています。
リーダーの形に正解はありません。
だからこそ、「言葉にとらわれない自分」をつくっていく。その繰り返しが、リーダー自身の成長にもつながっていくのだと思います。
もし「自分のリーダー像ってどうあるべきだろう?」と悩んでいる方がいたら、参考になる本を2冊をご紹介します。
『「権限によらないリーダーシップ」で組織が変わる』 日向野幹也
「リーダーシップは権限ではなく関係性から生まれる」という視点で、現場で信頼を得ながら人を動かす方法を解説。上下関係ではなく、組織に横のつながりを生む力について書かれています。
『リーダーの仮面』 安藤広大
プレイヤーからマネジャーへの思考転換をテーマにした一冊。リーダーは優しさではなく“役割”で動くべき、という本質的な問いを投げかけてくれます。迷ったときに軸を持ち直すのにおすすめです。
まとめ
リーダーとして、自信を持って進むために。
「全員経営」という言葉に振り回されるのではなく、その背景にある“意図”を読み取り、自分の言葉でチームに届けていく。それこそが、リーダーとしての役割ではないでしょうか。
葛藤も、試行錯誤も、ぜんぶ含めて「現場のリーダー」です。
だからこそ、どんなときも、自分のスタイルに自信を持って進むことが大切だと思います。一緒に頑張りましょう!
明日から、あなたのチームで試してみたいと思った方は、ぜひ『いいね』をお願いします!
