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フリーランスと在宅ワークと私 #62


妻が倒れ、転職先も退職を余儀なくされた。

再就職も現実的ではなくなった私が選んだのは、在宅ワークを中心としたフリーランス(個人事業主)という働き方だった。

いや、選んだというより、そうせざるを得なかったと言った方が正しいのかもしれない。

正社員と比べれば、収入も保障も将来の見通しも不安定だ。

それでも私はあまり抵抗がなかった。

15年間、飲食店を経営してきた私は、毎月自分で自分の給料を作ることが当たり前だった。

「来月も給料が振り込まれる」という安心感とは、もともと無縁の世界で生きてきたからだ。

現在はスポット案件から中長期案件まで、さまざまな仕事を請け負っている。

飲食コンサルティングもあれば、営業支援、インタビュー、ライティング、アンケート、AIを活用した業務など内容は実に幅広い。

経験や勘に頼ることの多い飲食業界を、他者にも分かりやすく伝えられるよう、言語化や可視化に必死な毎日だ。

新しい仕事が来るたびに勉強し、自分のできることを少しずつ増やしてきた。

在宅ワークという働き方は、コロナ禍をきっかけに一気に普及した。

企業側もオフィスの縮小や交通費の削減など、多くのメリットを享受してきた。

しかし最近では、「出社回帰」という流れも目立つようになってきた。

コミュニケーションの活性化や組織力の向上を理由に、出社を義務付ける企業も増えている。

もちろん、対面だからこそ生まれる価値はある。

商談や会食、重要な打ち合わせでは、同じ空間を共有することでしか得られない信頼関係もあるだろう。

一方で、私は思う。

在宅ワークだからこそ能力を発揮できる人も、確実に存在する。

育児や介護。

地方在住。

身体的な事情。

そして私のように、家族のそばを離れられない事情を抱えた人もいる。

働き方は一つではない。

飲食店や小売業、製造業など、現場がある仕事では出社は当然必要だ。

だからこそ、在宅で成果を出せる仕事まで一律に同じ働き方へ戻す必要があるのかは、これからも議論が続いていくのだろう。

AIの進化によって、仕事そのものも大きく変わろうとしている。

10年後ではない。

来年、あるいは数か月後には、今では想像もできない働き方が当たり前になっているかもしれない。

在宅ワークとは最も縁遠い世界で、25年間料理人として、そして15年間居酒屋の経営者として働いてきた私が、今ではパソコン一台で仕事をし、AIを活用しながら生活している。

人生とは、本当に分からないものだ。

それでも私は、不安よりも楽しみの方が大きい。

子どもの頃に思い描いた未来や、魔法のようだと思っていた世界は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

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