【各国の本質④🇮🇷イラン】世界で最も独特な文明国家〜中国の文明とバチカンの政治を持つ国
中東と聞くと、多くの人は石油や砂漠の国を思い浮かべるでしょう。しかし、そのイメージではイランという国はほとんど説明できません。
文明の厚みは中国のようで、宗教と政治の関係はバチカンを思わせる。そんな独特の国家がイランです。この国を理解するには、地理・文明・宗教・政治という四つの視点が役に立ちます。
⛰ 高原と山脈に守られた国
まず一つ目は、山脈に囲まれた高原国家であること。
イランの国土の多くは標高1000m以上の高原です。首都テヘランも標高約1200mに位置しています。さらに北には、標高5600mを超える山もそびえています。
この山脈と高原の地形は、外部からの侵入を難しくします。そのためイランは歴史上何度も侵攻を受けながらも、外部勢力が長く安定して支配することは簡単ではありませんでした。こうした地理条件が、イラン独自の文明が長く続く土台になったと考えられています。
📜 2500年続くペルシャ文明
二つ目は、2500年以上続くペルシャ文明の延長にある国であること。
イランでは王朝は何度も交代しましたが、言語や文化、行政の伝統は長い時間をかけて受け継がれてきました。数千年単位で続く文化・言語・社会の伝統が国家の土台になっている国は「文明国家」と呼ばれています。世界でもこのような特徴を持つ国は多くなく、中国やインド、そしてイランなどが代表例として挙げられます。
ペルシャ文明の特徴の一つは、多民族をまとめる能力にあるといわれています。現在のイランは、ペルシャ人が半数を占める一方で、多くの民族が暮らす多民族国家です。それでも国家としてまとまりを保っているのは、古くから多様な民族を統治してきた文明の経験があるからだと言われています。この歴史的な統治の知恵は、現在の社会にも影響を残しています。
☪ シーア派イスラムの中心
三つ目は、シーア派イスラムの中心国家であること。
イスラム教には大きく分けて、スンニ派とシーア派という二つの流れがあります。世界のイスラム教徒の多くはスンニ派ですが、イランではシーア派が多数を占めています。現在、世界のシーア派人口はおよそ3億人前後とされ、その宗教的中心となっているのがイランです。
つまりイランは、単なる一つの国家というだけでなく、シーア派の宗教世界において重要な役割を持つ国でもあります。この宗教的な立場は、イランの政治や外交にも大きな影響を与えています。
🏛 宗教と選挙が共存する政治
四つ目は、宗教と選挙政治が組み合わさった独特の政治体制。
イランでは大統領や国会議員を選ぶ選挙が行われています。しかし国家の最終的な権力は、選挙とは別に宗教的権威を持つ指導者が握っています。
このように宗教権威が国家制度の頂点に置かれている体制は世界でも珍しく、宗教指導者であるカトリック教皇が国家元首を務めるバチカンを思わせる部分もあります。
ただし、バチカンが小さな宗教国家であるのに対し、イランは8000万人を超える大国である点が大きく異なります。

🎓 意外に高い教育水準
こうした特徴を持つイランですが、意外に知られていない点もあります。その一つが 教育水準の高さ。イランは中東の中でも教育水準が高く、イスラエルと並んで地域トップクラスと言われています。理工系分野を中心に、多くの有能な人材を生み出しています。
🌾 乾燥地でも成り立つ農業
もう一つの特徴は、乾燥した気候にもかかわらず農業生産が大きいこと。
イランの多くの地域は乾燥していますが、古くから地下水路の技術が発達してきました。この地下水路を使って水を遠くまで運び、農地を灌漑することで農業を成り立たせてきたのです。
長年にわたる制裁下でも国民の生活が維持できているのはこのためで、果物や穀物など多くの農産物が生産されています。
🇮🇷イランという国の本質
ここまで見てきたように、イランという国の本質は、
高原に守られた土地に、2500年以上続くペルシャ文明が残り、シーア派の宗教的権威を国家制度に組み込んだ文明国家
といえるのではないでしょうか。
中東の多くの国が比較的新しい国家であるのに対し、イランは古代から続く文明がそのまま現在の国家につながっています。
この長い歴史と独特の社会構造を理解すると、ニュースで見るイランの姿も、少し違って見えてくるかもしれません。
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