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【教科書に載っていない世界一周】〜2-9チベットからヒマラヤへ

🚙ラサで 「ヒマラヤ越えツアー」を企画しました

チベットの都ラサにたどりついたぼくの次の目的地は、インド。もちろん陸路だ。

ラサではひさしぶりに10日も腰を落ちつけた。なぜかというと、ネパール行きの交通手段を整えなくてはならなかったから。中国とネパールのあいだには公共交通機関なんて存在しない人がほとんど住んでいない荒野だからだ。

だから旅人たちは、ラサで四駆車をチャーターしてヒマラヤ越えに挑むのが通例。頼もしいのはトヨタのランドクルーザー。日本では「金持ちのおもちゃ」扱いされているけれど、ここでは英雄のような存在だ。氷点下だろうが断崖絶壁(ちょっと誇張)だろうが、文句も言わず突き進んでくれる。無事に走りきってくれれば、4日間で国境までたどり着ける。

ラサで旅仲間を募って、みんなでヒマラヤを越える」――日本にいたころからずっと胸を高鳴らせていた計画だ。けれど現実は、そううまくはいかなかった。9.11の同時多発テロが起きた直後で、旅行者が激減していたから。

最初は国際色豊かなメンバーで行きたいと思っていた。だが、チベットでの体験が考えを変えた。ゴルムドからのバスで一緒だったオランダ人カップルが、標高5000mの極寒のなか「フレッシュエアが欲しい!」と窓を開け放したのだ。寒さに震える他の乗客や、高山病で苦しむ人のことなんてお構いなし。いくら言っても窓を閉めようとしない。結局、協調性のない相手とは命がけのヒマラヤ越えは無理だと痛感した。

だから参加メンバーは日本人限定。ランドクルーザーは定員7名。運転手とガイド(法律で同行義務がある)を除くと乗客は5名だ。幸いゴルムドからのバスで一緒だった日本人カップルが加わってくれることになり、残る二人を探す作戦を立てた。

チベットの道なき道を突き進むランドクルーザー

💼 厳しかったツアー実現への道のり

作戦会議の結果、それぞれ別のホテルに宿泊し、潜入調査をすることに。ぼくの担当は「ヤク・ホテル」。日本人旅行者がいちばん集まる宿だ。

ここでのミッションは、出会った日本人全員に声をかけて「どんな人で、どこへ行こうとしているのか」を探ること。営業マンだったころを思い出す。けれど、これは仕事じゃない。むしろちょっとワクワクする。まるでスパイになって旅行者をリサーチしているみたいで、妙に胸が高鳴った。

とはいえ結果は厳しかった。すでに他のツアーに決めてしまっている人も多く、参加してくれそうな人はなかなか見つからない

毎日数人ずつ新しい日本人がラサに入ってくる。そのたびに声をかけて誘ってはみるけれど、返事は「ちょっと考えさせて」。見込みはあっても、はっきりしたYESがもらえない

数日たってもメンバーが決まらないまま、ぼくたちは三人で頭を抱えていた
「なにがダメなんだろう?」
「どうすれば仲間になってもらえるんだろう?」

作戦会議は、夜な夜な尽きることがなかった。

"潜入"したヤクホテルで日本人宿泊客たちと(筆者は後列中央)

▶️次回予告

ある秘策により仲間はそろったものの、旅はそんなに甘くない。
格安の“闇業者”に心ひかれ、胸をときめかせていたぼくたちの前に、
突如として突きつけられる――血の匂いと公安の影。
旅は命の危険と背中合わせだということを、ぼくたちは知ることになる。
お楽しみに。

(トップ写真はチベットのとある村の風景)


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