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【各国の本質①🇨🇴コロンビア】ベネズエラにならなかった国―地形がつくった弱い政府が持続する社会

ベネズエラの隣に位置するコロンビア。中南米をある程度知る人ほど、ある疑問に行き当たる。なぜ、コロンビアは、ベネズエラにならなかったのか。

石油もある。金(きん)もある。長期の内戦を経験し、麻薬経済にも深く巻き込まれた。条件だけを並べれば、急進的な体制転換や、資源をテコにした権威主義へ傾いても不思議ではない。事実、ラテンアメリカではその道を辿った国は少なくない。

それでもコロンビアは、

  • 国家崩壊にも

  • 長期の軍事独裁にも

  • 資源国家型の制度破綻にも
    至らなかった。

この分岐を生んだのは、政策の良し悪しや指導者の資質ではない。もっと深いところにあるこの国の「地形」と、それが形づくった国家と国民の距離感にある。



⛰️地形が国家を分断した

コロンビアの国土は、国家形成にとって極めて不利な条件を持っている。

アンデス山脈が国内で三つに分かれ、カリブ海沿岸、太平洋沿岸、アマゾン低地という、経済構造も文化も人の成り立ちも異なる世界が同時に存在する。

これは「多様性がある」という話ではない。中央政府の行政、治安、課税、司法が、物理的に届きにくい構造を意味している。

結果として、国民の多くは歴史的に「政府が生活を劇的に良くしてくれた」という成功体験を持たなかった

教育、雇用、治安の担い手は、政府ではなく、家族、地域共同体、民間、時には非公式な組織だった。

ここから、コロンビア社会の根本的な性質が生まれた。それは、「政府に過度な期待をしない国民」である。


🪖軍が「政治主体」になれなかった理由

20世紀の中南米では、軍事クーデターは珍しくなかった。しかしコロンビアには、軍事政権が国家を長期支配した時代がほぼ存在しない

これは、軍が特別に民主的だったからではない。軍が「国民全体を代表する政治主体」になれなかったのである。

地域ごとに社会も利害も分断された国で、「軍が国家を代表して秩序を回復する」ということができなかったからである。言い換えれば、軍は政治の前面に立ちたくても、立てなかった。ここでもまた、地形が政治の選択肢を制限していた。


🛢️資源を国家の力の源泉にしなかった

次に資源である。ベネズエラは、石油を国家の正統性そのものに据えた国だった。

  • 石油があるから豊かになれる

  • 国家がそれを管理・分配するから、国民は政府を支持する

この構造は、資源価格が高い間は機能する。しかし価格が下落すれば、国家そのものが揺らいでしまう。

だがコロンビアは違った。石油も金もあるが、それらを国家の存在理由にはしなかった。

コロンビアの経済は一貫して、民間と地方に分散してきた。「国家は国民の面倒をみてくれるわけではない」という前提が、社会に共有されていた。つまり、政府の統治能力に限界があることを前提にした、現実的な政府だった。


🏛️「政府が弱い」ことを前提にした国家

よく「コロンビアは政府が弱い」と言われる。中央政府の統治能力は国土全体に一律には及ばなかったためだ。しかし、重要なのは国民がこの状況を“改善すべき異常な状態”だと捉えなかった点である。

山岳と密林に分断された国土では、政府の力が全国に行き渡らないことは、例外ではなく常態だった。それを前提に、社会と経済が組み上がっていった。

その結果、コロンビアでは、革命・軍・資源といった単一の要素に過度に依存させることを避けられたのである。

政府が国民の面倒をみると思われていない社会では、政府の失敗は、即座に国家の否定にはつながらない。期待が低いからこそ、制度は致命的な反動を起こしにくい。


🇨🇴変貌を遂げたコロンビア

コロンビアは20年前まで、麻薬カルテル、共産ゲリラ、右翼民兵が対立し、テロ活動などに満ちた世界有数の治安の悪い国だった。しかし、それを乗り越え現在は治安も劇的に改善し、成長国に変貌を遂げている。この背景には、このような「弱い政府」の存在があったのかもしれない。

(ベネズエラは財力もあり国民が依存してしまうような政府であったために、破綻し統治システムが崩壊してしまったが)コロンビアは政府の限界を直視しながら、それを無理に乗り越えようとしなかった国。国民が政府に過剰な役割を期待しなかったこと。そこにこそ、コロンビアという国の本質がある。

かつての麻薬カルテルの本拠地メデジン

(トップ写真はカリブ海に面するカルタヘナの大聖堂)

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(引用元は記載しておりませんが調査のうえ執筆しています。ただし、経験に基づく主観や思い込みが反映している場合や、引用情報が間違っている可能性もあります。その点を踏まえ、あくまで「読みもの」としてお楽しみいただけると幸いです)


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