孤高の天才"未満"エンジニア 永田さん(仮名)と過ごした日々

「孤高の天才未満」
今回応募する【第8回】 私立古賀裕人文学祭のテーマである。

「孤高の天才"未満”」とはどういうことであろうか。
考えてみたところ、永田さん(仮名)という人物が思い浮かんだ。
今回は永田さんとの思い出について書きたいと思う。

私は客先常駐型のITエンジニアをしている。
客先の施設やオフィスに常駐し、新システムの構築であったり、既存システムの管理を行う仕事である。
客先に常駐する際は所属元の会社から一人で客先の施設に派遣されることが多い。そういった意味では「孤高」である。

永田さんも私も当時の現場では、所属元の会社からそれぞれ一人で客先に常駐していた。永田さんがリーダー、私がメンバーとして某システムの運用保守を行っていた。

永田さんは仕事ができる人であったと思う、ITの知識も豊富で、仕事の段取りも上手く、システム障害などの時には天才とも言える処理能力でトラブルを解決した。
仕事は「天才」と言えるかもしれない。
ただ、「天才」とまでは言い切れない。彼は”未満”であったと思う。

永田さんは言っていた。
「昼休みの1時間の過ごし方で、スキルに差がつく」

今回応募する【第8回】 私立古賀裕人文学祭は「1時間で書きあげる」という制限がある。その制限を見たとき、永田さんのことを思い出し、彼の過ごした思い出を書こうと思った。彼に問われた「1時間の過ごし方」、彼を思い出すということに費やそうと思う。

ちなみに、永田さんはよく自己啓発本を読んでいた。
「ピーター・ドラッカー」の本がお気に入りだった。
本に書いてあることを、よく自慢げに披露していた。
差をつけるにしても、自己啓発本を読んで差をつけようというのはあまりに安直である。そういう意味でも天才"未満"なのだと思う。

なお、特定を防ぐために「永田さん」という仮名を使用し、エピソードなどには意図的にダミー情報を含ませているのでご了承願いたい。

・モーニングルーティーン
 彼はいつも、朝レザーのハンチング帽をかぶって15分ほど出社する。
 そして席に着くなり、机に突っ伏して始業時間まで仮眠を取る。
 本人に聞いたところ 「出社でものすごく体力を使うから」という理由だった。「体力回復のために始業時間まで寝る」発想は天才なのかもしれない。ただ、始業時間前に寝ているのは心証が悪いと思うので、あくまで"未満"なのだと思う。
 ちなみに、ハンチング帽についてなにかこだわりがあるのかについては聞きそびれた。
 
・飲み会でのエピソード披露
 永田さんとは2回ほど仕事終わりに飲みに行ったことがある。
 彼の話す過去のエピソードがまた面白いのだ。
 「ミュージシャンとしてプロデビューする予定だったが、メンバーと音楽性の違いで揉めて話が無くなった」「いくつもの格闘技を習得しており、柔道は免許皆伝である」「地元でヤ◯ザと揉めて、最後にはトラックで事務所に突っ込んで、事務所を壊滅させて地元にいられなくなって東京に出てきた」「中島美嘉と親戚、過去に何度も会っている」
 口調も上手い落語家みたいで、話を聞いている分には面白い。天才的に面白い。
 ただ、「嘘くさい」というのが正直な感想である。ミュージシャンとしてプロデビューとか中島美嘉と親戚というのは、調べるのが困難なので「嘘くさい」で済むが、柔道に免許皆伝はないし、トラックで事務所に突っ込むシーンは、北野武監督の映画のシーンをパクったのだと思う。
 天才的に話は面白いのだが、そういう穴があるのは”未満”だと思う。

まだまだ紹介したいエピソードはあるのだが、1時間という時間制限があるので残りは別の機会にしたいと思う。

なお、永田さんも私も、経費節減のため外部のエンジニアとの契約を終了するとのことで、3ヶ月で契約終了となり、彼とはそれ以来会っていない。
変なエピソードばかり思い出したが、彼から教わった業務知識であったり仕事の進め方などは今も役立っている。
もし巡り巡って、どこかの現場で永田さんと合うことがあれば、お酒を酌み交わしたいと考えている。優秀な人物であったので成長して、天才"未満"ではなく、天才になっていると思う。










いいなと思ったら応援しよう!