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結婚できない男、「充実君」

これはTVドラマの話しではない。私が腱鞘炎のリハビリに通う、担当理学療法士の話しである。

先生は20代後半の細マッチョ。施術は適切丁寧、ハキハキ笑顔の好男子。週2回、1回40分のマンツーマンリハビリなので、プライベートの話題も多くなる

「月に1〜2回はケーキかお菓子を焼きますね」

言ったのは私ではなくマッチョな先生。一人暮らしでお菓子の消費に困るとか、意外な日常をつらつらつらつら話してくれる。

夜は自炊。病院にはお弁当とお手製スムージーやスープを持参。空いた時間に腹筋と腕立て伏せを怠らない。
オンラインゲームにはまる一方、休日はアクティブに釣り三昧。夜中から遠方の釣り場まで出かけ、船を貸し切り、魚群探知機さえ持っている。当然、魚は自分でさばく。鯛の潮汁を一人分作って楽しんでいるとは驚いた。

しかも往年の快作アニメチェックを怠らず、エヴァはもちろんパトレイバーや攻殻機動隊などTVシリーズから劇場版まで見倒している。こんな先生とのサブカルトーク、盛り上がらないわけがない(注:リハビリ中)。

でも私はずーっと思っている。施術しながら得意げに話す先生を見て
ケーキを焼いても、ひとりで頷きながら食べるんだろうな。釣り仲間は多分、無口なむさい男友達だろう。先生、見かけはそこそこイケてるけれど、絶対にシングルだ

仰向けで右腕のマッサージを受けながら、私は禁断の言葉を放った。
「先生、結婚できないね」
「え・・・!!!」

だってこの自由生活の謳歌っぷり、家事のこなしっぷり。楽しむことに忙しすぎて、パートナーが入り込む余地どこにもなしだ。

「そんなことないっすよ。前に彼女いましたけど、すごい一緒に居たいと思って早く帰ってたんで。結婚願望ありありなんで。基本、自分の趣味を理解してくれればオッケーなんで

先生よ、狼狽えるでない。そのリクエストは難易度が高すぎる。でも私はこれ以上の自由勝手人を知っている。独身時代の私の夫だ。ついでだから近いうち、夫のことも書こうと思う。

話を戻して。次のリハビリから先生は、「一人が気に入ってますからね」と開き直った。いや、これは強がりじゃないな。本当に充実してる。いい顔してる

さらなる少子化を危惧しつつ、今は先生の「充実君」ぶりを楽しもう。先生が教えてくれたオートミールクッキーを焼いて、noteで披露しようとも思っている。


*見出しイラストはGraphicMama-teamによるPixabayからの画像*