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『限界地方政治~民主主義崩壊を読み解く6つの視点~』から考える兵庫県知事選挙と民主主義

『限界地方政治~民主主義崩壊を読み解く6つの視点~』の特に菅野完さんが執筆した第6章は地方政治にかかわる人ならぜひ読んでほしい。兵庫県知事選挙から1年半あまり。あの現象から遠ざかっている人も多いのではなかろうか。今日までの経緯と分析が、あまりにも鮮やかでクリアに理解したので発売して早々に、ネタバレさせてしまいそうだ。

導入では、「セックス&バイオレンス」に熱狂してしまった「その程度の人たち」について書いているが、話はそこで終わらない。アメリカ建国から今年で250年。アメリカの独立•建国の歴史を辿りながら、「民主主義とは何か」を鋭い筆致で描いていく。共和制からの議会の役割、そして私の卒論のテーマであったトクヴィルの「多数者の専制」へ。

後半もすごい。マルクスやトクヴィルが著書で批判したことでも知られるルイ・ボナパルトと小作農の関係と、斎藤県知事と阪急沿線住まいの支持者の相似形は見事としか言いようがない。

全会一致で不信任決議を可決した兵庫県議会の民意と、斎藤県知事を再選させた民意というのは同一のものだという結論。これに思わず膝を打った。民主主義は暴走などしていないのだ。

トクヴィルは民主主義の弱点である「多数者の専制」に対する解決策として、「自由で自立した市民」を生み育てる要素として、中間共同体、住民主体のタウンシップ、マスコミ、権力分立としての司法などを挙げていることで有名だが、兵庫県知事選挙では、どれも役に立たなかった。菅野氏は最後にその解決策として、シンプルかつ本質的なことを述べている。

文章が恐ろしいほど上手だった。おもろくて、おもしろい。一見、下世話な導入で、本質的。ギャップ萌えしてしまいそうだ。1点、250年前と異なる点は、肥大化した行政機構。官僚制に対する解説はなく、主に議会の役割について書いている。その点では『職業としての政治』ではなく、やはりトクヴィルの書いた『アメリカン・デモクラシー』を発展させた兵庫県を象徴する尼崎にちなんで、『アマリカン・デモクラシー』と名づけたい文章。1,100円払って読もう。

高野はやと@江東区

『限界地方政治~民主主義崩壊を読み解く6つの視点~』