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#20【リノベのプロに聞く!】リノベーションの「断熱」と「耐震」はどこまでできる?

| はじめに

こんにちは!新人広報タカオカです。

現在相続されたお家や、中古住宅のリノベーション需要が高まってきていると聞きます。

そこで今回新潟市中央区の家づくり会社モリタ装芸でリフォーム・リノベを専門に行う小倉さんにインタビューさせて頂きました。

モリタ装芸ではリフォーム・リノベだけで、これまで中~大規模100件以上の実績とリノベーション・オブ・ザ・イヤー 複数回受賞という輝かしい経歴を持ちます。

今回は小倉さんに、リノベーションを検討しているお客様が特に気になる「断熱」「耐震」についてお話を伺いました。家を快適に、そして安全に住み続けるために大切なポイントを、小倉さんに分かりやすく教えて頂きました。

| リノベーションでまず大切なこと

タカオカ:
リノベーションの相談で、お客様から「耐震は大丈夫ですか?」「断熱は改善できますか?」といったご質問をいただくことが多いですよね。

小倉さん
そうですね。既存の家に住んでいる方が多く、特に冬の寒さを身にしみて感じていたり、最近の地震の多さから家の安全に漠然とした不安を抱えていたりする方が多いです。どう改善すれば良いのか、費用はどのくらいかかるのか、業者に相談して本当に正しい選択ができるのか、といった不安があるのは当然だと思います。

まず大切なのは、お客様のご要望である「寒さ」「耐震」を解消するために、今の家の状況を健康診断のようにしっかり見ることです。体の健康診断と同じで、現状がわからないのにすぐに「薬を投与しましょう」「手術をしましょう」となるのは本末転倒ですよね。

私たちは、半日ほどかけて家の周辺や傾き、基礎のひび割れ(クラック)などを目視で確認し、雨漏りの跡がないかなども詳しくチェックします。特に雨水は木造住宅の大敵で、木材の腐食やカビ、シロアリなどの害虫の侵入につながり、家の耐久性を著しく低下させてしまうからです。

古い家には何かしらの問題があることがほとんどです。深刻なひび割れや、中に水が侵入して鉄筋が錆びているケースもあります。そうした家のダメージ状況を確認した上で、リノベーションでどこまで直せるのか、建て替えも視野に入れるべきなのかなど、複数の選択肢を比較検討することが重要です。

漠然とした不安を抱えたまま進むのではなく、まず家の現状を正確に把握し、様々な可能性を机の上に広げて見ることが、お客様にとって最良の道を見つける第一歩となります。

| 年代別に見る「断熱性能」の進化とリノベーションの可能性

タカオカ:
築年数によって、家の劣化具合や断熱材の有無は全然違いますよね。

小倉さん:
その通りです。築年数によって断熱性能は大きく異なります。

■築50年以上の家:無断熱に近い状態

  • 和室などでよく見られる「真壁(しんかべ)」(柱が見える砂壁の家)は、ほとんど断熱材が入っていません。床も板の下が土という構造が多く、非常に寒いです。窓を二重サッシにしても、家全体が筒抜けの状態では効果は限定的です。

■築30年程度の家:断熱材があっても不十分なケースも

  • グラスウール(ガラス繊維でできたマット状の断熱材)が天井裏などに敷かれていることが多いですが、隙間だらけで置かれているだけのケースも少なくありません。断熱材は魔法瓶のように家全体を隙間なく覆うことで効果を発揮するため、隙間があると熱が漏れてしまい、期待する効果は得られにくいのが実情です。

■築10年~15年程度の家:断熱性能が大きく向上

  • この時期から、断熱に対する意識が変わり、サッシの性能が飛躍的に向上しました。以前はアルミサッシ単板ガラス(ガラス1枚)が主流で結露がひどかったですが、今は樹脂サッシペアガラス(ガラス2枚)が一般的になり、結露しにくくなっています。断熱材もウレタンの吹き付けが採用されるなど、家全体が最低限の断熱性能で覆われるようになりました。

  • この年代の家であれば、既存の断熱性能を活かしつつ、さらに内側に付加断熱(断熱材を追加で貼る)を行うことで、劇的に快適な住まいになります。既存の良い部分をさらに伸ばす「アップデート」という考え方が、お金をかける価値のあるリノベーションと言えるでしょう。

タカオカ:
家全体ではなく、リビングや洗面所など、生活する特定の場所だけを断熱することはできますか?

小倉さん:
はい、最近では「ゾーン断熱」といって、家全体ではなく、ヒートショック(急激な温度変化による体の負担)が起きやすい場所や、人が長時間過ごす生活区域だけを断熱する需要が増えています。

ただし、リビングだけ断熱して、廊下を挟んで洗面所やお風呂が無断熱だと、かえって温度差が大きくなりヒートショックのリスクが高まるので注意が必要です。生活動線に合わせて、繋がっているエリアをまとめて断熱することが重要です。

| 耐震リノベーションの現状と2025年法改正の影響

タカオカ:
耐震に関してリノベーションの場合、どういった方法があるのでしょうか?

小倉さん:
理想は、家の壁や床を一度すべて取り払い、骨組みの状態(スケルトン)にして、耐震補強を行うことです。これなら家の構造を最初から考え直せるので、非常に有利です。しかし、それには莫大な費用がかかります。

比較的築年数が浅い、例えば築15年~20年程度の家であれば、筋交い(すじかい/柱と柱の間に斜めに入れる補強材)の位置が明確にわかる図面が残っているケースが多く、それに基づいて耐震性を高めることができます。

最近では「制震(せいしん)」という考え方も取り入れられています。耐震が揺れに「耐える」ための補強(筋交いなど)であるのに対し、制震は「揺れの力を逃がす」ための補強です。制震ダンパーと呼ばれる装置を設置することで、地震の揺れを吸収し、建物の負担を軽減できます。新耐震基準(昭和56年以降)で建てられた建物であれば、制震ダンパーの設置も比較的計画しやすいでしょう。

タカオカ:
今年(2025年)4月から法改正があったそうですが、耐震リノベーションに何か影響はありますか?

小倉さん:
はい、大規模なリノベーション、特に家の主要な構造(柱や梁など)を半分以上変更する場合は、行政機関への「確認申請」が必要になりました。これは、新築を建てる際と同様に、耐震性省エネ性(断熱性)が現在の建築基準法に適合しているかを厳しくチェックされるということです。

この法改正は、過去の基準で建てられた建物の中には、今の基準から見ると不十分なものもあるため、国の安全基準を満たすための良い流れだと考えています。しかし、お客様にとっては、以前よりも時間と費用がかかる可能性があります。

特に古い家の場合、当時の図面や検査済証(検査をクリアした証明書)が残っていないことがほとんどです。そうなると、まず家の構造を詳細に調査し、現在の基準に合致していることを証明するための書類を揃える手間と費用が発生します。リノベーションで新築並みの費用と手間がかかるのであれば、いっそ建て替えも検討する、という方もいらっしゃるでしょう。

| リノベーションは「アップデート」の時代へ

タカオカ:
今後リノベーションの主流はどうなっていくと思いますか?

小倉さん:
今後のリノベーションは、築2000年以降の、比較的築年数が浅い建物に焦点を当てた「アップデート」が主流になっていくと考えています。

2000年以降に建てられた家は、検査済証(建物が法律の基準に適合していることを証明する書類)が残っていることも多く、当時の基準で構造の安全性が確保されています。そこに、この10年~15年で格段に進化したサッシや断熱材などの性能を取り入れ、現代の快適な暮らしに合わせていく。既存の良い部分を活かしながら、さらに性能を向上させるイメージです。

古い家や古民家には魅力がありますが、資産価値、安全性、維持管理の観点から見ると、築年数が浅いほどリスクは低くなります。

もちろん、どの家にもメンテナンスは必要で、新築時の形状地域の特性(塩害など)によっても、劣化のしやすさは異なります。築年数が浅いからといって絶対に安心というわけではありませんが、リスクが少なく、改善の余地が大きいのは確かです。

今の家がどんな「スペック」を持っているのかを正確に把握し、どこにどれくらいの費用をかければ、どんな暮らしが実現できるのか。そういった情報を数値やデータで明確に提示することが、これからのリノベーションではより重要になってきます。

タカオカ:
これからリノベーションを考えている方に、アドバイスをお願いします。

小倉さん:
リノベーションは、新築と違って「こうすれば正解」という一本道ではありません。家の状況、お客様のご要望、ご予算によって、選べる道は様々です。

大切なのは、まず「今の家がどういう状況にあるのか」を正確に知ることです。それによって、応急処置で直すのか、一部を改修するのか、フルリノベーションをするのか、あるいは建て替えや他の物件への住み替えも含め、複数の選択肢が見えてきます。

リノベーションは、古いものを直すという点で、どうしても「予想外の出来事」(例えば開けてみたら柱が腐っていた、など)が起こるリスクを伴います。私たちモリタ装芸の仕事は、そのリスクをできる限り事前に洗い出し、お客様に全てを明らかにした上で、最適な解決策をご提案することです。

「この家だったらどうするか?」という自分ごとの視点で、お客様の不安を安心に変えられるよう、これからも全力を尽くしていきます。

| まとめ

小倉さんの話を伺って、リノベーションの「断熱」「耐震」は、単に工事をするだけでなく、現状を正確に把握することから始まり、お客様一人ひとりに合った「正解」を見つけることがいかに大切かを痛感しました。

特に今年からの法改正により、リノベーションにおける耐震・断熱の基準がより厳格になったことは、私たちの暮らしの安全と快適性を守る上で重要なことだと感じます。手間や費用が増える可能性はありますが、未来を見据えた家づくりのために、プロの目線でしっかりと診断してもらうことが何よりも重要だと改めて思いました。

「今の家の状況を知ること」から始まるリノベーションで、お客様にとって最適な「アップデート」を見つけ、理想の暮らしを実現できるようにする事が重要だと思います。

小倉さん、ありがとうございました!

次回もお楽しみに!✨

タカオカ

【株式会社 モリタ装芸】

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