『誰のためにもならないシリーズ』|金縛りを1ヶ月続けた男の話
皆さんは、金縛りにあったことがありますか?
僕はあります。
しかも、1ヶ月ほぼ毎晩。
目は開いている。
天井も、カーテンも、いつもの部屋だ。
なのに、体が動かない。
指先に力を入れようとしても、何も応えない。
声を出そうとしても、喉が閉じたまま動かない。
怖いのは、何かが「見える」ことじゃない。
幽霊とか、そういうものは一度も見たことがない。
ただ、
「動けない」という事実だけで、十分すぎるほど怖い。
しかもその夜は、一度じゃ終わらなかった。
やっと振り解いたと思ったら、また落ちる。
二度。三度。
そのたびに僕は、体を”取り戻そう”と全力になる。
力任せに、ただ無理やり。
あとから調べて知った。
これは睡眠麻痺と呼ばれる現象らしい。
夢を見るレム睡眠の間、脳は体が勝手に動かないよう筋肉を一時的に止めている。
その途中で意識だけが先に目覚めると、脳は起きているのに体はまだ眠ったままになる。
幽霊でも、呪いでもない。
ただの生理現象。
理屈としては、それだけのことだ。
でも。
実際にその状態に入ると、
理屈はどこかへ飛んでいく。
そこにあるのは「動けない」という事実と、
静かに、でも確実に広がっていく恐怖だけだ。
あなたはどうですか。
金縛りの怖さって、「何かが見える」より「動けない」ことの方が怖くないですか。
それが、ほぼ毎晩続いた時期がある。
気づけば、一ヶ月近く。
体が疲れているのかとも思った。
でも「どれだけ疲れてるんだ」とも思った。
眠ることが怖くなるほどではなかった。
でも、「また来るかもしれない」と思いながら目を閉じる夜が続いた。
眠れないわけじゃない。
でも、ちょっとだけ憂鬱な夜って、わかる人いますか。
今はだいぶ回数が減った。
それでも、ときどきやってくる。
相変わらず僕は、力任せに振り解いてしまう。
本当は、そのまま身を任せていれば自然に解けるらしいのに。
あの恐怖の中で冷静でいるのは、やっぱり難しい。
せっかくなので、調べてわかったことを残しておきます。
金縛りが起きやすくなる条件として言われているのは、寝不足、強いストレス、仰向けで寝る習慣、生活リズムの乱れ、不安が強い時期——このあたりが重なりやすいらしい。
対処法として正しいとされているのは、
まず「これは睡眠麻痺だ」と頭の中で認識すること。
怖さの多くは”正体がわからないこと”から来るので、名前をつけるだけで少し落ち着く。
次に、4秒吸って6秒吐く呼吸を2〜3回。
そして、腕や体幹を動かそうとするのではなく、まぶた、指先、舌といった小さい部位からゆっくり意識を向けること。
そして実は一番楽な対処は、
そのまま再入眠してしまうことらしい。「またか、じゃあ寝よ」と思えれば、自然に抜けることが多いという。力任せに覚醒すると交感神経が上がって、むしろ再発しやすくなる。
わかってる。全部わかってる。
でもあの瞬間、それができない。
またなる感覚がわかるから、余計に焦る。
だから僕はまた今日も、力任せに解こうとしてしまう。
この記事、誰かの役に立つかはわからない。
でも金縛りにあったとき、
「あ、あの話」と思い出してもらえたなら、
書いた甲斐があります。
誰のためにもならない話、また書きます。
気に入ってもらえたら、スキやフォローで教えてください。
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