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2013年夏、ロサンゼルス ファストファッションが広がる全米で勝ち残る業態を見て歩く①

インスピレーショントリップ2年目(2013年)に選んだのはアメリカの西海岸ロサンゼルスと東海岸ニューヨークです。

2000年に欧州からニューヨークにH&Mが上陸して以降、西海岸を中心に出店していたフォーエバー21は各地でチェーンストアの買収と業態転換、撤退するチェーン店の跡地をまとめて引き受けるなどを繰り返しながら、店舗網を拡大し、全米は徐々にファストファッションの渦に飲まれて行きます。

アパレルの低価格の波に押され、王者GAPは全米で飽和状態、成熟期に入り苦戦し、低価格業態であるOLD NAVYに力を入れざるを得ず、全米第2位で、SPA(アパレル製造小売業)の元祖を呼ばれるザ・リミテッドを展開していたリミテッド・ブランズ社(現Lブランズ)も2007年にアパレル事業の株の大半をファンドに売却したニュースは僕にとって衝撃的でした。

そんなファストファッションが猛威を振い、多くの旧態依然としたチェーン店の破綻や身売りやダウンサイジングが起こるアメリカのファッション市場で売上、利益を伸ばし続けるいくつかのチェーンストアの話を聞いて、是非、見に行きたくなったのです。

ロサンゼルスでは、ファッション系ライフスタイルストア、アスレジャーストア、オフプライスストアなどを視察し、
ニューヨークではアパレル事業に見切りをつけたリミテッドブランズ社のビクトリアズシークレットや、当時、Amazon.comが百貨店トップ企業の売上高を抜いたアメリカでバズワードとなっていた「オムニチャネルリテイリング化」をかかげる百貨店メイシーズ、そして世界のショールーム、マンハッタンのファッションチェーンの競合状況を視察するのが目的です。

ロサンゼルスでの視察ポイント

2013年、アメリカを訪れるのは9年ぶり。90年代の後半に、仕事の関係で1年半サンディエゴで暮らしていた僕にとって、南カリフォルニアは第二の故郷のように懐かしい場所です。
LAX空港に降り立って、レンタカーのハンドルを握った瞬間から、1年中、東京の5月のような気温、"Sunny"という言葉がぴったりな当地で、カリフォルニア・ドライブを楽しむことにワクワクして来ます。

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ロサンゼルスでの視察ポイントは、当時、リ・ブランディングが成功し、勢いのあったJ.Crew(ジェイ・クルー)、ライフスタイルストアとして注目されるアーバンアウトフィッターズグループのアンソロポロジー、アスレジャーという言葉とともに、ヨガとランニングという手軽なスポーツにフォーカスしたLULU LEMON(ルル・レモン)、そして、オフプライスストアチェーンです。

LAX空港から一旦、北上してサンタモニカに向かい、プロムナード、ベニスビーチあたりで西海岸にやってきたことを体に思い出させながら…
宿のあるトーランスやガーデナに南下するのが僕のLA初日のお約束コースです。

グローバルSPAとローカルSPAの棲み分けの解としてのJ.Crew

今年(2020年)チャプター11を申請したJ.Crewでしたが、当時は2003年からCEOを務めたミッキードレクスラーによるリブランディングのピークのころだったのではなかったかと思います。
90年代のGAPの成長の立役者だった同氏は、全米でファストファッションブームが始まった後、J Crewに移籍します。以前のJCrewはアメカジ、トラッド、ファミリー色が強かったものですが、
同氏がリブランディングを始めてから、トラッド路線は維持しながら、より上質、エレガントになった感じがしました。(2013年当日カタログです)

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おそらく、ファストファッションの対抗策として、低価格OLD NAVYを強化しながら、対抗するよりも、より上質路線で差別化したかったのでしょうね。
ただ、上質なもの、高いものを売りたかったのではなく、JCrewという器を使って、ファッション市場の中で、単価の高かったブランドのテイストを、質を落とさずに、こなれた価格で実現するという、相対的低価格路線を採ったと見ていました。

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訪れた店舗では、ポロラルフローレンのような世界観で、その2-3割安の価格帯で販売しているように見え、その素材感の良さに、思わず数枚購入をしてしまったのを覚えています。

低価格化には2つのアプローチがあると思っています。ひとつは絶対的低価格戦略。市場最低価格で競合と勝負するのです。もうひとつは相対的低価格戦略。従来は高額で販売されて、認知されているものに対して、企業努力によって、質感や顧客の満足度を落とさずに、何割か安い、コスパ感のある価格で販売することです。
当然、前者と比べると、価格は安くはありませんが、わかる人には、どうしてこんなに安いの?とコスパを感じ、即買い、という感覚です。H&Mやユニクロは前者、ZARAは後者。スーパー、コンビニのプライベートブランドに例えると、前者はトップバリュー、後者はセブンプレミアムのアプローチと言ってもよいかも知れません。

当時のJCrewのリブランディングは、ミッキードレクスラー氏による、ファストファッションとのレッドオーシャン競合を回避する、質感のあるものを多くの人々の手に届ける、彼らしいポストファストファッション時代の解だったと思っています。

日本のライフスタイル業態に影響を与えたアンソロポロジー

2010年代の中頃、日本でもライフスタイル提案という言葉がバズワードになりました。アパレル専門店がアパレルだけでなく、生活シーンが見える、生活雑貨を置く、植物やガーデニンググッズを置くお店が増えたことがありました。彼らが参考にしていたのが、実は、アメリカのアンソロポロジーなどのライフスタイルストアでした。

都心生活をする大人の女性を対象にしたアンソロポロジーは、大学生を対象にしたアーバンアウトフィッターズと同じ会社の別業態で、共に、マーケティングで言うところの「ペルソナ」がはっきりしている、セレクトショップにプライベートブランドの服や服飾雑貨を組み合わせたアパレル中心のファッション業態です(共に日本未進出)。

創業のアーバンアウトフィッターズが親元から離れ大学の寮生活を始める男女に必要なファッションやグッズを扱うという、ものすごく顧客像がはっきりした業態であることにとても感心したことは忘れれませんが、

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その姉妹ブランドであるアンソロポロジーも都心で生活する洗練された28ー45歳の女性に「日常からのエスケープ」を提案する、というコンセプト。

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店内はリビング、ダイニング、キッチン、バスルーム、ベッドルームなど、自宅の中のそれぞれのシーンを模した各コーナーに、アパレルを中心ながら、バイヤーが世界を旅して、日常を忘れられるグッズを買い付け、ちょっとエスニックなライフスタイルシーンが想像できるような、インテリア、アクセサリー、各種用具(キッチン用品からドアノブまで)が品揃えされています。各コーナーには、クッキング、ガーデニング、トラベルなど、余暇のすごしかたの関心を掻き立てる関連書籍が置かれているのが、印象的です。
もちろん、書籍も販売されていますし、各所に置かれたアンティーク家具も販売対象だったのも印象的でした。

創業のアーバンアウトフィッターズも、アンソロポロジーも上場チェーンストアながら、価格ではなく、ライフスタイルシーンに共感してもらって、モノを売る。ファストファッションと価格軸で勝負するのではなく、顧客のライフスタイルへの共感軸で勝負しているところに、業績を伸ばし続けていた理由があったと思います。ファストファッションへの対抗策のひとつは、ペルソナに寄り添うこと、ということを体現してくれているチェーンストアです。

コトを提案してからモノを売る、ルル・レモン

モノを売るな、コトを売れ、と言われて久しいですが、くくり方がコトなだけであって、モノしか売っていないお店がどれだけ多いか?
コト提案のアプローチの正解のひとつがこのルル・レモンです。
カナダ出身で、ファストファッションブームの最中、アメリカで最も拡大したファッション・スポーツ系チェーンストアのひとつです。

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店内ではもちろん、ヨガ用とランニング用のウエアとグッズを販売するお店ですが、開店前の店内で無料ヨガ教室、夕方、店の前からスタートする、無料ランニング教室などを行っており、
無料教室に参加する際、また、参加した後に、お店のファンになり、商品購入につながるというアプローチをとっています。

マーケットにファッションは溢れ、関心があるのは自らの健康。しかし、グッズだけではなく、実際の体験を提案し、それに必要なモノを売る。そして、アンバサダーを中心にコミュニティをつくる。
今では、日本に進出し、同様のサービスを行っていますが、当時は、とても斬新で、伸び続けている理由がよくわかる、コト提案を考える上で、大変気づきの多いお店でした。

アメリカに来たらメキシカンフード♪

アメリカに来たら何を食べたいですか?と聞かれたらメキシカン!と答える僕です。
ステーキやハンバーガー、ホットドッグもアップルパイもオレンジジュースも美味しいですが、
メキシカンには敵いません。アボガド、サルサ、チーズ、トルティーリャ(ハードでもソフトでも)が添えてあれば、牛肉でも、チキンでもウエルカムです(笑)
もちろん、Cervesa(ビール)と共に♪

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次は、同じロサンゼルスの中で、オフプライスストアに向かいます。

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