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国語のできない生徒が引っかかる選択肢の罠―5つのホイホイ

「本文は読めてるはずなんですが、選択肢で二択にしぼったあと間違えました……」
「ひっかけの選択肢にはめられました」

模試のあとにどうして間違いの選択肢を選んだのかを聞くと、こんなふうに答える生徒がいます。

授業でこちらがした発問に間違えて答えた生徒に「今、どうして間違えたかわかる?」って聞いたら「先生にはめられたからです」って答えられたこともあります(笑) 
私は罠にはめていません…

タイトルにも「罠」と書きましたが、良質な選択問題の誤答は秀逸な作られ方をしています。

前回、noteの企画「#これ考えた人天才」に応募した企画で選択肢についていろいろ調べて深く理解できました。
こちらもお読みいただけるとありがたいです。応援よろしくお願いします。

そして、生徒がよく選んでしまう魅力的な誤答の選択肢にはある誘導パターンがあるとつねづね思っていました。
学習者が未熟であれば誘導されてしまうように巧妙に作られています。
それを「罠」と呼んでもよいでしょうか。

ただ、それを言語化するにはまだたくさんの選択肢を調べる必要があると思っています。なので今後更新できたらと思っています。
今回は長年の指導で気づいたパターンを5つ紹介します。

これを知るだけで、国語は“読解テスト”ではなく「罠を回避するゲーム」に変わります。

国語の誤答の選択肢には、5つの“ホイホイ(罠)”がある

ホイホイとは、「簡単に」「無警戒に」という意味の形容詞です。

ここでは〇〇ホイホイのように「気づかないうちに誘い込まれてしまう仕掛け」からネーミングを考えました。

詐欺などの悪徳商法の手口を知っておくことがそれを防衛するための手段になります。
それと同じで選択肢にどういう種類の罠(ホイホイ)があるのかを知っておくことが、迷ったときに正しい選択肢を選ぶための指針になります。
ちなみに、問題作成者を詐欺師よばわりする意図はまったくありません。

① 読み飛ばしホイホイ

〜本文に書いていないのに「書いてあった気」がする罠〜

読み飛ばしホイホイは、本文に“書いてないこと”が書かれた選択肢。

これにひっかかるということは、書かれていないものが見えているわけはありませんので、本文を読んでいない、もしくは読んだけど内容を忘れたまま選んでいることになります。

読み手は「本文より、自分の常識を優先してしまう」という脳のクセがあります。

・「意見を伝える=関係をよくするため」
・「自然が好き=環境意識が高い」
・「留学=国際的に活躍したい」

など、勝手に“補完”してしまう。
だから本文を読んでいなくても、“それっぽくて魅力的”に見える。

これにひっかかった人は、“選択肢に頼りがち”なのかもしれません。
選択肢を見る前に本文を根拠に答えを作成するようにしてください。

② 設問スルーホイホイ

〜答えは正しいのに「問い」に答えていない罠〜

設問スルーホイホイは、選択肢の内容自体は正しいし、本文にも書かれているのに、設問の要求に答えていない選択肢。

たとえば理由問題なのに、説明問題の答えを選んでしまっているということです。
国語が苦手な子ほど、「本文の正しさ」だけで判断してしまい、“何を問われているのか”を忘れる。
つまり、「正しいことを言っている=正解」という錯覚。

選択肢を読む前に、何を問われているのか(〜理由/〜こと)に線を引く。国語は設問作成者との“会話のキャッチボール”。  
聞かれたことに答えていなければ、本文に書いてあることでも間違いです。

国語は本文に書かれていることを選ぶゲームではありません。
問われていることに対して適切に答えられるかというゲームです。


この二つのホイホイは本文や設問を読んでいない受験生がはまる罠です。
問題作成者からのメッセージは「本文と設問をちゃんと読もうね」ということです。

③ 同じ言葉ホイホイ

〜キーワード一致の罠〜

本文中の単語がそのまま出てくる選択肢。  
一見「本文通り」ですが、よく見ると傍線の近くにある言葉を使っているだけで、意味が違います。
脳は“見覚えのある単語”に飛びつくクセがあります。
その結果、キーワード一致=正解と錯覚してしまいます。

実はこれが、最も強力で広く使われる罠。
正解の選択肢を見ればわかりますが、正解の選択肢は本文にある言葉をそのまま使うのではなくうまく言い換えていることが多いことに気付くと思います。
なので、まったく同一の表現が使われている場合、同じ言葉ホイホイではないか?と疑うことが重要です。

同じ用語が使われているかどうかではなく、選択肢全体が問いに答えているかどうか、同じ意味なのかどうかで選ぶようにしましょう。

④ 早とちりホイホイ

〜だいたい正しいのに部分的に「言い過ぎ・不足・逆」になっている罠〜

部分的に正解という、一番作られやすいパターンです。

・文末だけ否定になっている
・「すべて」「必ず」など極端表現
・並立(A・B・C)のうち1つ欠けている

など、形そのものを少し変形している
生徒は「だいたい一致」しているのことに安心してしまいます。
誤答はたいてい、本文の「形」を勝手に  
大きくしたり(言いすぎ)  
小さくしたり(不足)  
一部を欠けさせたり(並立欠け)

することで作られます。

これを選んでしまったということは本文のニュアンスや対比や並立などの接続語の関係に意識が向いていない可能性があります。

⑤ 優等生ホイホイ

〜道徳的に正しい考えになっている罠〜

本文には書いていないのに、選択肢に“立派な意見”を書いてくるタイプ。

・協力すべき
・努力が必要だ
・社会全体で取り組むべき
・〜が大切だ

いずれも「正しそう」だが本文にない。
もちろん、本文にあれば正解です。

とくに中学生は「道徳的に正しい=正解」 という強烈な先入観を持っていることがあります。
作問者はそれを逆手に取ります。
「それは筆者の意見?それとも“あなた”の感想?」って疑ってみてください。
国語は“良い人コンテスト”ではありません。  
本文に書いてなければどんなに立派でも不正解です。

とくに中学生は、学校生活でずっと
「道徳的に正しい=良いこと」と教えられてきているため、
その価値観がそのまま選択肢判断に出てしまうことがあります。

以上の5つですべてが網羅されているわけではありませんが、これでかなりカバーできていると思います。
あなたがどのホイホイに弱いか、ぜひ自己診断してみてください。

国語の選択肢は「罠を回避するゲーム」

5つのホイホイは、すべて“心理誘導”を利用して作られています。
あなたがミスをする理由は、「読解力がないから」ではない可能性があります。

“心理誘導に負けているだけ”。

ホイホイを名前とセットで覚えるだけで、選択肢を客観的に見られるようになります。

ぜひ、今日から国語を、出題者が仕掛けた5つのホイホイを見破るゲーム として楽しんでみてください。


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