峠の茶屋シリーズ 第五話 時間を設計するとは、どういうことか
事案の棚卸しが終わった人に、次の問いがあります。
「では、どう変えればいいのか」
その答えが、時間の設計です。
設計という言葉を使うのには、理由があります。
時間管理、という言葉がありますが、 私はこの言葉があまり好きではありません。
管理とは、決まったものを守ることです。 設計とは、まだないものを作ることです。
時間は、管理するものではなく、 設計するものだと思っています。
建築家は、家を建てる前に設計図を描きます。
どこに部屋を置くか。 どこに光を入れるか。 どこに空間を作るか。
設計図なしに家を建てようとすると、 壁と壁がぶつかります。 窓のない部屋ができます。 住みにくい家になります。
時間も同じです。
設計なしに動き続けると、 仕事と仕事がぶつかります。 未来を作る時間がなくなります。 気がつけば、誰かのために動き続ける一日になります。
時間の設計には、三つの原則があります。
ひとつ目は、未来投資時間を先に確保することです。
多くの人は、空いた時間に未来のことをしようとします。
でも空いた時間は、来ません。
忙しい人の時間は、 放っておけば必ず埋まります。
だから先に確保する。
一日の中に、 誰にも邪魔されない時間を作る。 考える時間を、予約する。
これが設計の出発点です。
2つ目は、時間に役割を持たせることです。
すべての時間を同じように扱うと、 すべての時間が消費されます。
この時間は、創る時間。 この時間は、動く時間。 この時間は、整える時間。 この時間は、回復する時間。
役割が決まると、 その時間に何をすべきかが明確になります。
役割のない時間は、 流れ込んでくるものに支配されます。
3つ目は、捨てる時間を設計することです。
設計とは、入れることだけではありません。
何を入れないかを決めることが、 設計の本質です。
建築家が壁を設計するように、 時間にも壁が必要です。
入れない会議。 受けない相談。 やらないこと。
この壁がない人の時間は、 どれだけ設計しても、 すぐに埋まります。
設計図は、完璧である必要はありません。
最初から完璧な設計図を描こうとすると、 描けないまま終わります。
まず大まかでいい。
未来投資の時間はここ。 動く時間はここ。 整える時間はここ。
この三つが決まるだけで、 一日の景色が変わります。
時間を設計した人は、気づきます。
自分の人生は、 自分で設計できる、と。
それまでは、 誰かのリズムで生きていた。 通知に反応して生きていた。 流れ込むものに押されて生きていた。
設計した瞬間から、 自分が主人公になります。
峠の茶屋で地図を広げた旅人は、 次の道を自分で選びます。
誰かに言われた道ではなく。 なんとなく続いている道でもなく。
自分が選んだ道を、歩き始めます。
あなたの時間の設計図は、 まだ白紙ですか。
それとも、 誰かにすでに描かれていますか。
【案内人】 高島徹 タイムエンジニアリングコンサルタント/人生整え業 峠の茶屋 案内人
