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【Vol.3】“聞いてるだけの営業”は、もう通用しない

──テストクロージングで“空気”を動かせ──

それは数年前のこと。

福岡市内のとある店舗で、50代のご夫婦が来店された。

奥様は終始にこやかで、ご主人は真面目そうな表情。

「このタイプ、しっかり話を聞けばきっと決まる」。

そんな期待を胸に、私はいつも以上に丁寧にヒアリングを進めていた。

「ご予算は……なるほど、月々は抑えめにされたいんですね」。

「通勤には使われない……奥様がメインで乗られると」。

「お子さんも成人されて、ご夫婦だけの生活なんですね」。

うんうんと頷きながら、私はじっくり“聞いた”。

メモもたくさん取った。

話も弾んだ。

でも、結果は──。

「ちょっと検討してみます。

また連絡しますね」。

…その“また”は、二度と来なかった。

■ 営業は聞くだけじゃ決まらない

その日の帰り道。

車の中で、自分に問いかけた。

『今日、あのお客様に“決めてもらうための一言”を投げかけたか?』。

……答えは、NOだった。

話を聞くことに集中するあまり、私は“クロージングのタイミング”を完全に逃していた。

■ YESが返ってきた時、空気が変わった

別の日。

今度は30代後半のご夫婦が来店された。

奥様がリードし、ご主人は一歩引いている感じ。

いつものように話を聞きながら、私はある瞬間、思い切ってこう切り出した。

「このプラン、車検も税金も整備も全部コミコミです。

今とそんなに金額変わらずに、新車に乗れるってどう思われます?」。

奥様がクスッと笑って「うれしいですね、それ」と答えた。

その時、空気が“買ってもいいかも”に変わったと、はっきり感じた。

■ 小さなYESが積み重なると、決断が生まれる

私はさらに、ゆっくりとこう続けた。

「今のお車、そろそろ車検も近いですよね?
もし納期的にも間に合いそうなら、お見積もりだけでも出してみましょうか?」。

奥様が「そうですね、それでお願いできますか?」と小さく頷かれたそのとき、
私はご主人の表情に視線を向けた。

「ご主人としては、いかがでしょうか?
もし納得いかないところがあれば、遠慮なくおっしゃってくださいね」。

ご主人は少し微笑みながら言った。

「いや、私もいいと思います。

妻が気に入ってるなら、それが一番ですから」。

その言葉に、奥様も自然と笑顔になった。

YESを取ったのは、この日3回目だった。

やっぱり、流れができていた。

■ “新しい生活”を想像させた時、背中が押せる

私は最後に、こう締めくくった。

「ちなみに……最近の車って、生活もちょっと変わるんですよ」。

・パワースライドドアで、買い物帰りもラク。

・追随機能で、高速の遠出も安心。

・スマートキーで“鍵探し”ともおさらば。

・燃費が上がって、ガソリン代も軽くなる。

・ヒーター装備で冬の朝も快適(夏のハンドルは…正直そこまでは対応外ですが(笑))。

お二人の顔が、少しずつ緩んでいくのが分かった。

そして、契約のサインをいただいた。

📌 このnoteの学びまとめ

1. “聞く営業”は大事だが、聞くだけでは決まらない。

2. 小さなYESが、商談の流れを前向きに変える。

3. テストクロージングは、“空気を読む力”とセットで使う。

4. “新しい生活”を想像させた時、背中を押す力が生まれる。

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いつもとはちょっと違う、“高城拓真”の営業人生の原点。
学歴なし、まじめとは程遠い人間だった。
ガソリンスタンドでプロ根性を叩き込まれた20代の頃。
飲み会大好き、でも現場では誰よりも真剣だった——
営業ってなんだ?人と向き合うってどういうこと?
小説タッチで、お届けします。

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