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Vol.6 五臓(肝心脾肺腎)の夜話

今夜は「五臓を根とした人体」という視点で、からだの成り立ちを辿っていきます。
「全機性」...そう、からだはひとまとまりのチームなのです。

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目次

  1. 東洋医学概論:五臓の夜話を始めます

  2. 人体生成の起源:はじまりは腎精の“一滴”

  3. 先天力と後天力:腎精力と五臓力という二本柱

  4. 腎生体はどう育つ?:脾化作用と大気作用

  5. 体質は一つではない:五氣(木火土金水)と「五旺体」

  6. 流年という時間の川:腎→肝→心→脾→肺の旺盛期

  7. 全機性:からだは「ひとまとまりのチーム」

  8. 治療の基本の考え方:脾を整え、腎を補う

  9. おわりに


1. 東洋医学概論  
五臓の夜話を始めます

私の卒業した鍼灸学校の創設者でもある 故 小林三剛さんごう先生の教えを土台に、五臓を根として“人がどう生成し、どう移り変わるか”を、ひとつずつ区分けしながらお話ししていくつもりです。

最初に触れたいのは、「そもそも人体はどこから始まり、どんな仕組みで育つのか」という事。
寝る前のひととき、肩の力を抜いてお付き合いください。


2. 人体生成の起源                       はじまりは腎精の“一滴”

人体の生成の起源は、父の精子成熟と母の卵子成熟に始まります。そして誕生の起点は、母体の中(ラッパ管)で精子と卵子が結合すること。

この“精子卵子”は、三剛先生の教えでは「人体原子」とも言うべき存在として語られます。

東洋医学的に換言すれば、これは「腎の精(腎精)」であり、「腎生体」――つまり腎のいのちの“独立した一滴”なのだ、と。

父母の体から離別し、独立した腎生体が一つ生まれ、そこから人の一生が始まるのです。

ここで大切なのは、人体の基本が腎に置かれているという見方です。

腎は生命源であり、人体の基礎。

特に胎育期には腎の化成活動が旺盛に行われ、心臓系・肝臓系・肺系・
(胃・十二指腸・膵臓・脾臓の消化器系の総称)系これらの系統の組織が、それぞれ形づくられていく――そう語られています。


3. 先天力と後天力                        腎精力と五臓力という二本柱

この教えの中心を、ひと言でまとめるならば

  • 先天力=腎精力(父母から受け取った遺伝的な力)

  • 後天力=五臓力(生まれてから取り込んでいく力)

腎の力は、その人の生命源です。

また同時に、心・肝・肺・脾といった後天の働きを助けていくのも重要な腎の働きになります。

先天は土台、後天は日々の積み重ね。

どちらが欠けても、健康を損なう原因になります。


4. 腎生体はどう育つ?             
脾化作用と大気作用

独立した一滴の腎生体は、どうやって“人のかたち”へ育つのでしょう。ここで出てくるのが「脾化ひか作用」と「大気作用」です。

胎内で腎生体は、母体から食物の精(栄養)や大気の作用を受け取り、それを脾化(消化吸収し、変換して巡らせる)することで、膨張し生育していく。

言い換えれば、私たち一人ひとりは「天食・地食を吸収することによって膨張生育化したもの」に過ぎないという少し大胆ですが本質を突く言い方がされます。

ただし――いくら脾化作用が働いても、元の腎力がなければ成長できない。

だから健康維持の基本は、「脾(消化器系)の働きを整えて、大元の腎の働きを補う」という方向に定まってくるのです。


5. 体質は一つではない            
五氣(木火土金水)と「五旺体」

腎生体は飽食性を持って脾化していくので、元は腎体であっても、全体から見れば脾化体でもある――この視点が面白いところです。

腎生体は、年齢や生活の変化とともに“よく食べる体質”になり、次第に“脾(消化吸収)タイプの体質”へ移っていく傾向がある。

後天の脾化作用の中には、腎を始めとする心肝肺脾の作用が含まれている、と捉えます。

さらに、食物の性質(木氣・火氣・土氣・金氣・水氣)との相性によって、吸収のされ方が偏り、それぞれの臓器の旺盛な体質の傾向が形づくられる、と説明されます。

  • 木氣性食品を吸収しやすい → 木気肝旺体もくきかんおうたい

  • 火氣性食品を吸収しやすい → 火氣心旺体かきしんおうたい

  • 土氣性食品を吸収しやすい → 土氣脾旺体どきひおうたい

  • 金氣性食品を吸収しやすい → 金氣肺旺体きんきはいおうたい

  • 水氣性食品を吸収しやすい → 水氣腎旺体すいきじんおうたい

また、人には先天的な「肝旺体・心旺体・脾旺体・肺旺体・腎旺体」もありうると言われており、そこに、時間の流れ(流年)が重なって、人生の各段階で“どの臓が旺盛になりやすいか”が変わっていく――こうして人体を「先天後天の五旺体」として眺めることができる、と言うのです。


6. 流年という時間の流れ            
腎→肝→心→脾→肺の旺盛期

生まれてから老いるまでの過程は「流年」しており、東洋医学では年代によって脾化性臓器(相性の良い食物を取り入れて旺盛な臓器)が異なる、とされます。

流年的に見ると、

  • 胎養・幼年:腎旺盛期

  • 小児・少年:肝旺盛期

  • 青年・壮年:心旺盛期

  • 中年:脾旺盛期

  • 老年:肺旺盛期

たとえば少年期は「肝旺体の肝旺盛期」であり、全身が肝臓体で成っているのと同じく神経過敏になりやすい。

そして木氣の身上どおり、伸びることが旺盛――つまり身体の成長が著しい、というわけです。

また、肝旺氣は「すべてのものが一様に成長を遂げる」力でもあり、木系だけが伸びるのではなく、それぞれのタイプが“その人なりの最高の成長”をする気でもある、と語られます。

肝旺体の子は胆力があり筋肉がつきやすく、よく身体を動かす。

反対に金水旺盛体の人は、背が高くなるよりも中身が締まり、中背になりやすい――こうした経験的観察も語られています。

そして老年期は肺旺期。

食物はあまり必要としない一方で、大気中の栄養を取り入れることが盛んになる、という独特の見立ても語られています。

このように、流年の流れは腎旺期から始まり、肝旺期、心旺期、脾旺期、
肺旺期へと移り、生から死までの変化を示している――ここが全体像です。


7.全機性                    
からだは「ひとまとまりのチーム」

ここで改めて大事になるのが「全機性」という言葉です。

全機性とは、人間は体内の各部分の活動が、生命維持に対して“ひとまとまりのもの”として高度に統合された個体である、という考え方。

臓器を単独で見るのではなく、つながりと統合として見る。

根は本来、脳に置ける――という含みもありますが、生理作用を理解する
道筋としては、まず五臓に根幹を置いた方がわかりやすい。

だからこそ、人体生成機序と腎生体(腎を基本とした身体観)へ入っていくのです。


8. 健康維持の基本の考え方                           【脾を整え、腎を補う】

腎精が結合して始まった腎生体は、母体内で大気と食物を吸収し、脾化作用によって育ちます。

ですが、脾がどれほど働いても、元の腎力がなければ成長できない。

ここから導かれるのが『脾の働きを整えつつ、腎の働きを補う』という考え方です。

消化器系を整える事で栄養を取り込む臓器の状態を健やかにする。

そうした上で、五臓を動かす源である腎気に栄養を送るエネルギーを補う事が健康維持に繋がります。


9. おわりに                               

先天の力(腎精)は、元々の体質で、ひとりひとり違います。

後天の力は、五臓の働きを使い、脾化作用で積み上げていく力です。

先天の力+後天の力=私たちの今の身体

だからこそご自身の体質を常に観察することで先天の力を見定めて、
後天の力で補いながら有効に使うことが大切です。

先天の力は定まったものだから、削らない(無理をしない、休まない、気力を使い過ぎない)ように暮らすことも大事です。


今夜の夜話はここまで。

おやすみなさい。

今日も1日お疲れさまでした!

第6話も終わりました。
いよいよ第7話目突入です!
皆さんが気になる肩こり、しかも夜にひどくなるタイプの肩こりについて 夜話にしてみました。
是非ご覧ください。



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