Vol.4 簡単に陰陽の話
夜...張り詰めた身体の力が抜けて、疲れが一気に押し寄せます。
「今日は頑張りすぎたかな」「なんだか冷える」
「頭は元気なのに、体がついてこない」
そんな症状ありませんか?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「陰」と「陽」
夜、お湯をティーポットに注ぎ、入れたての大好きなお茶の香りを嗅げば、ようやく肩の力が抜けてホッとする。
気を張っていた「陽」から、リラックスした状態の「陰」に身体のスイッチが切り替わるひと時です。
漢方の世界でよく聞く、【陰陽五行】
難しそうに見えるけれど、入り口は案外やさしい。
「この世の出来事には、流れと偏りがあって、整えるヒントがあるよ」
そんな、昔の人の【暮らしの観察ノート】みたいなものが【陰陽五行】だと思うと
「観察ノートってなんだ?」
みたいな興味が出ませんか?

陰陽五行は、もともと別々だった
陰陽五行は、最初から一つの理論だったわけではないと言われています。
陰陽論と五行説という、別々に育ってきた考えが、あとから結びついた。
古代中国の人々は、日々の経験をそのまま流さず、自然の動きにならって
整理し、「きっとそこに道理がある」と考えました。
陰陽五行は、その“経験をまとめて理解しようとした努力”の結晶なのだと思います。
だから「観察ノート」のようなもの。
陰陽は、「入れ替わるもの」
陰陽はどちらが良い悪いではなく、
世界を眺めるための、二つのレンズみたいなもの。
これを【陰陽二元論】と言います。
陰陽二元論は、万物を陰と陽の二つの性質に分けて理解する古代中国の哲学思想です。
たとえば、
昼は陽、夜は陰。
明るいは陽、暗いは陰。
外は陽、内は陰。
ここまでは、なんとなくうなずけますよね。
でも大事なのは、陰陽が固定のラベルじゃないこと。
ずっと陽、ずっと陰――そんなふうには続きません。
動き続ければ、やがて休みたくなる。
静かにしすぎれば、ふっと動きたくなる。
心の中で湧き上がるもう一つの感情のような、
動の中に静があり、静の中に動がある。
陰陽は、行ったり来たりしながら、私たちの毎日を動かしています。

よく見かける「太極図」は、陰陽の移り変わりを白い部分を「陽」黒い部分を「陰」で表現しています。
陽遁とは冬から春・夏へと温かくなっていく陽の気の巡り
陰遁とは夏から秋・冬へと寒さくなっていく陰の気の巡り
徐々に白い部分が多くなり黒い部分が無くなっているところ(太極図中央の●がある辺り)が季節で言う陽が極まる【夏至】になります。夏に至る。
その反対(太極図中央の○がある辺り)は【冬至】です。
夏至を過ぎると少しづつ陰の気である黒い部分が出てくるという事です。
中心部に●と○がありますが、これが動の中に静があり、静の中に動がある。
いわゆる●【陽中の陰】と○【陰中の陽】を表しています。
陽は「進む力」、陰は「整える力」
陰陽論では、
陽は「活動・広がる・前へ進む」力、
陰は「休む・まとめる・整える」力、
そんなふうにイメージされます。
どちらかだけが強すぎると、どこかで息切れしたり、滞ったりする。
だから陰陽は、互いに支え合って、ちょうどよく保たれることが大切だと考えます。
今日は予定を詰め込みすぎたなら、“陽”が多かった日。
考えすぎて動けなかったなら、“陰”が強かった日。
どちらも自然で、どちらも起こりうる。
「今の自分はどっち寄りかな?」と眺めるだけでも、少し肩の力が抜けます。
漢方は「偏りを見つけて、戻す」知恵
この陰陽の見方は、漢方の診断や治療にもそのまま使われます。
体を「表(外側)と裏(内側)」「背中とお腹」のように捉えたり、
働きを「上がる/下がる」「出る/入る」といった動きで眺めたりして、
不調を【陰陽の偏り】として見立てます。
不調とは、そのバランスが崩れている状態。
だから基本は、難しい理屈よりもシンプルで、
偏りを、ちょうどいいところへ戻すこと。
逆に健康とは、陰陽のバランスが保たれている状態。
この事を漢方では「中庸《ちゅうよう》」と言います。
熱っぽいなら、冷ます方向へ。
冷えが強いなら、温める方向へ。
陰陽五行は、体と暮らしを“全体で眺めて整える”ための、やさしい地図なのかもしれません。
眠る前に...
眠る前に、ほんの小話。
私も大好きな占い。中でも「易」をご存じでしょうか?
たまに街中で細い棒(筮竹《ぜいちく》)を持ってジャラジャラと占ってくれるあの占いです。
私の出身の鍼灸学校は創設者の理事長先生が易者さんだったので授業に易の時間がありました。
偉そうなことは言えませんが...私、易の試験は学年1番でした。
ーーー鍼灸で1番になれよ...(笑)
脱線してしまいましたが、その「易」という文字を分解すると、上が日、下が月の象形文字の組み合わせでできています。
つまりは、陰陽を組み合わせた文字であるため、易とは、陰陽の学問と言えます。陰と陽の組み合わせで八卦六十四卦《はっけろくじゅうしか》で占いますので...。
さて、皆さん本日は陽が多かったでしょうか?
それとも陰が足りなかった一日でしたでしょうか?
答えが出なくても大丈夫。
ただ、そうやって自分を静かに見つめる時間そのものが、
きっともう“整える”の始まりです。

今夜の夜話はここまで。
おやすみなさい。
今日も1日お疲れさまでした!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
第四話もご覧いただきありがとうございました。
夜の寝しなに「ふくろうの夜話」を...。
より良い内容にするべく奮闘中です。
第五話もぜひご覧ください。
