販路開拓のリアル。届ける難しさ
お元気様です。京丹波の農家、たけみファームのtakemiです。
午前中は「京丹波の風」なんて爽やかな話をしましたが、
お昼はもう少し泥臭い、でも農家として生きていく上で避けては通れない
「お金と販路」の話をします。
就農したての頃、私は大きな勘違いをしていました。
「こだわって、飛び切り美味しい野菜を作れば、自然とお客さんは集まってくるはずだ」と。
結論から言うと、これは大間違いでした。
「いいものを作れば売れる」という幻想
日本の農家(職人)は、どうしても「作ること(生産)」に100%の情熱を注ぎがちです。
私もそうでした。
土を作り、品種を選び、手塩にかけて育てた最高傑作の野菜たち。
「食べてさえもらえば、絶対に分かる!」
しかし、現実は非情です。
どれだけ美味しかろうが、栄養価が高かろうが、
「知られていなければ、存在しないのと同じ」なのです。
畑で完熟した最高のトマトも、誰の口にも入らなければ、
それはただの堆肥。
「待っていれば売れる」というのは、既にブランドがある人の話。
私たちのような新規就農者にとって、それは甘い幻想でしかありませんでした。
「誰から買うか」の壁
スーパーに行けば、野菜は安く手に入ります。
そんな中で、わざわざ私の野菜を選んでもらう理由は何なのか。
販路開拓で最初にぶつかったのは、「信用」の壁です。
「あんた誰?」 「どんな想いで作ってるの?」 「安全性は?」
直売所に出しても、最初は価格を下げるしかない。
飲食店に営業に行っても、実績がなければ門前払いです。
野菜の味以前に、私という人間、たけみファームという農園を信頼してもらうまでのハードルが、想像以上に高かったのです。
「売る」のではなく「届ける」
痛い目を見て気づいたのは、農業とは「野菜を作って終わり」ではないということです。
「お客様の口に入るまで」が農業なんですね。
そこから私は、考え方を変えました。
ただ「買ってください」と頭を下げるのではなく、
「なぜ私がこれを作っているのか」「どんな風景の中で育ったのか」というストーリーごと届けるようにしました。
SNSでの発信(このnoteもそうです!)
たけみファームの体験を通して、ファンになってもらう
友達の友達へと広げていく
そうやって泥臭くコミュニケーションを重ねていくと、少しずつ変化が起きました。
「野菜が欲しい」ではなく、「たけみさんの野菜が食べたい」と言ってくれる人が現れ始めたのです。
届ける難しさと、その先にある喜び
それでも、販路開拓は今でも難しい課題です。
送料の問題、鮮度の維持、価格設定……悩みは尽きません。
営業が苦手な私にとって、胃が痛くなるような日もあります(笑)。
でも、「届ける難しさ」を知っているからこそ、
「美味しかったよ!」という感想をいただいた時の喜びは、何倍にもなります。
それは単に売上が上がった喜びではなく、
私の想いが相手に届き、共鳴した証だからです。
おわりに
野菜作りは自然との対話ですが、販売は人との対話です。
どちらも一筋縄ではいきませんが、両輪が回って初めて「農家」として自立できる。
これからも、美味しい野菜を作る腕を磨きつつ、
それを皆さんの食卓へ「届ける力」も磨いていきたいと思います。
さて、午後は出荷作業! 一つ一つ、丁寧に袋詰めして送り出します。
今夜(21:00)のエッセイは、そんな私が愛してやまない京丹波の宝石。
「黒枝豆の甘さは、魔法の味」について。
ただの枝豆とは次元が違う、その魅力(魔力?)を語り尽くします。
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