マイケル・シェンカー・グループ『Dancer』|高校時代の憧れは今も色褪せない

高校生の頃、私はマイケル・シェンカーに憧れていた。

ギターを始めたのは小学6年生の頃だったが、本格的に夢中になったのは高校時代だ。

当時、先輩がマイケル・シェンカー・グループ(MSG)のコピーバンドをやっていた。

初めて聴いた瞬間、衝撃を受けた。
気がつけば私自身も、マイケル・シェンカー・グループのコピーバンドを組んでいた。

あの独特のギターサウンド。
胸に突き刺さるようなメロディ。
そして、どこか哀愁を帯びた旋律。

当時のギター少年たちは、とにかく速く弾くことに憧れていた。
そこに大きな価値を置く雰囲気があった。

だが、マイケル・シェンカーは少し違った。

彼の魅力は、速弾きだけでは語れない。

速く弾いても、ゆっくり弾いても、そこに感情がある。

一音一音に意味があり、音が歌っている。

テクニックの先にある表現力。

それがマイケル・シェンカーだった。

MSGの楽曲は数え切れないほど聴いてきたが、その中でも特別な輝きを放っている曲がある。

『Dancer』だ。

今聴いても色褪せない。

他のMSGの楽曲とは少し趣が異なり、爽快で、心地良く、そして力強い。

私自身、この曲をコピーしようと挑戦したことがある。

ところが間奏のギターソロが難しい。

音は追えても、あのニュアンスが出ない。

結局、思うように弾けず挫折した記憶がある。

しかし、それも含めて忘れられない曲になった。

そして、この曲を語るうえで欠かせないのがメンバーの存在だ。

私にとって『Dancer』は、まるでロック界のオールスター戦なのである。

まずはマイケル・シェンカー。

彼は10代でUFOに加入し、『Doctor Doctor』『Rock Bottom』など数々の名曲を生み出した天才ギタリストだ。

派手なパフォーマンスよりも、ひたすらメロディで勝負する。

そのメロディは美しいだけではない。
鋭く、力強く、はっきりとした存在感を放つ音の連続なのだ。

だからこそ、40年以上経った今でも色褪せない。

そしてボーカルはグラハム・ボネット。

この人ほど不思議な存在はいない。

一般的なヘビーメタルのボーカリストといえば、長髪で革ジャン、黒っぽいシャツ、鎖ジャラジャラな姿を思い浮かべる。

ところがグラハムは違う。

短髪でオールバック。

スーツにネクタイ。

まるで会社帰りのビジネスマンのような格好でステージに立つ。

しかし、ひとたび歌い始めると空気が変わる。

圧倒的な声量。

突き抜けるハイトーン。

そして魂を叩きつけるような表現力。

レインボー時代の『Since You Been Gone』や『All Night Long』、その後のアルカトラスでも証明されたように、彼はハードロック界屈指のボーカリストだった。

見た目と歌声のギャップも含めて唯一無二の存在だったと思う。

さらにドラムはコージー・パウエル。

ロック史に名を残す名ドラマーである。

ジェフ・ベック・グループ、レインボー、ホワイトスネイク、ブラック・サバスなど数々の名バンドを渡り歩いた伝説的存在だ。

彼のドラムは決して無駄に派手ではないが、重く、太く、そして正確。

楽曲全体を前へ押し出す推進力がある。

『Dancer』でもその存在感は圧倒的だ。

楽曲を支えながら、しっかりと個性を刻み込んでいる。

残念ながらコージーは1998年に交通事故でこの世を去った。

しかし今でも多くのドラマーが彼を敬愛し続けている。

改めて考えると、この『Dancer』という一曲の中には、

マイケル・シェンカーという天才ギタリスト、
グラハム・ボネットという唯一無二のボーカリスト、
コージー・パウエルという伝説のドラマー、

そんな主役級のミュージシャンたちが集まっている。

だから私は今でもこの曲を聴くとワクワクする。

高校生だった頃の自分が戻ってくる。

ギターを抱えて、必死にコピーしていたあの頃。

「いつかこんな風に弾いてみたい」

そう思いながらレコードを何度も針を落として聴いていた自分がいる。

音楽の不思議なところは、曲だけでなく、その頃の自分まで連れてきてくれることだ。

『Dancer』は、私にとってまさにそんな一曲なのである。

イントロが流れた瞬間、私は今でも高校生の頃の自分に戻ってしまう。


※追記
公開後、読者の方からご指摘をいただきました。長年『Dancer』のドラムはコージー・パウエルだと思い込んでいましたが、実際にはテッド・マッケナでした。ご指摘いただきありがとうございました。
40年以上聴き続けてきた曲なのに、まだ新しい発見があるものですね。
(この演奏映像に登場するのはコージー・パウエルです)

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