プロペラに生きる~モノづくり国家日本の底力
世界が称賛する日本No9
自尊史観を持って進むために~日本の中小企業の実力
私の会社はプロペラの専門会社で、どんな不況でも撤退することはできなかった。
そこで生きるしか、頑張るしかなかった。
そんな「プロペラに生きる」という一途な姿勢が、世界トップシェアを取れた最大の理由でしょう。
黒崎誠著「世界を制した中小企業」より
これは船舶用プロペラで高い世界シェアを持つ
中島プロペラ株式会社
の中島基善社長(当時)が、自社の発展を省みて述べた言葉です。
この会社の前身は、祖父の中島善一氏が大正時代に創業した漁船用プロペラを製造する「中島鋳造所」という小さな会社でしたが、高度経済成長時代に業績を大きく伸ばして、日本の造船業界を支える部品メーカーとなることができました。
その後他国のメーカーの猛追に遭い、日本の大企業が次々と撤退する中、中島プロペラだけは唯一専門メーカーとして生き残り、今では
世界のナカシマ
と言われるほどになり、船舶用プロペラメーカーとしての確固たる地位を築き上げました。
この会社は資本金や規模の面では中小企業で、株式も上場していませんが、それでもその事業規模は世界トップクラスです。
日本には、このように企業規模は小さくても、持前の技術力で世界的シェアを持つ中小企業が1000社近くあるそうです。
中小企業と言えば
大企業の下請け
いつ倒産するか分からない
と言ったようなマイナスイメージが先行しますが、日本には目立たないながらも世界的貢献度の大きい中小企業があまたあるようです。
また、トヨタのような大企業を見ても分かるとおり、そこで製品化される車も、それを構成する各種部品の固まりであり、それぞれの部品はその下請けとなる中小企業が提供しています。
トヨタというブランドが一流であるということは、それを支える部品も一流でなければならないということです。
当然部品メーカーも世界トップレベルの技術力を持たなければ成立せず、外国の名だたる車メーカーも、部品レベルでは多くの日本の中小企業に頼っているのが実情のようです。
同じことが、世界の他の大企業にも言えます。
現在の世界経済は、主に資本力の大きい巨大企業が単価の高い製品を市場に提供することによって成立しています。
車、航空機、船舶などの製造メーカーがそのよい例でしょうが、そのような巨大企業が提供する製品は、いずれもその製品を構成する部品で成り立っており、どうやらそこを日本の中小企業が押さえているという産業構造になっているようです。
航空機の主翼も日本の炭素繊維素材に頼っており、最近の高性能な車も日本の精密な電子部品がないと成立しません。
造船業界も上述のとおり中島プロペラのような中小企業が圧倒的シェアを誇っています。
中国や韓国が力を入れている半導体製造も、日本がほぼ100パーセントのシェアを握るフォトレジストという精緻な部品がなければ作れないそうです。
最終製品を構成する部品レベルの供給には、日本の中小企業がたくさん関わっているのです。
また部品を組み立てる段階においても、世界の工場は日本の精密な工作ロボットがなければ稼働せず、そのメンテナンスも日本頼みというのが実情のようです。
つまり世界の工場は、日本の部品と日本のロボットがなければ市場に製品を提供できないということになります。
いわば、日本は世界のブランドを支える縁の下の力持ち的存在となっているのです。
穿った見方をすれば、世界経済を牛耳っているとでも言えるでしょう。
中国は
中東に石油があるように
中国にはレアアースがある
と世界経済を支配したように豪語します。
自らを誇示しない賢い日本人は敢えて豪語せずとも
日本には中小企業がある
と密かに自負すればいいでしょう。
日本には創業百年を越える、いわゆる「老舗企業」が、10万社以上あると言われており、その多くが中小企業です。
中島プロペラのように、世代を越えてひとつの事業を継承していくのも、先人との繋がりを大切にする国民性の強みでしょう。
日本の中小企業が世界経済を支えているという実態に、長い歴史に培われた日本の「モノづくり文化」のとてつもない底力を垣間見る思いです。


