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第十一章 空中大決戦!グリム・イン・ザ・スカイ(最終回) 

探偵グリム2-這い寄るファラオの呪い-
Grimm and the Curse of the Crawling Pharaoh

第十一章 空中大決戦!グリム・イン・ザ・スカイ(最終回)

 
 夕暮れのロサンゼルス。
赤く染まった空に、
二機のヘリコプターが影を走らせる。
一機は、カルト教団“黒太陽の眼”の教祖、
エズラ・ブラックウェルの逃走機…、
UHI-1ヒューイ。
もう一機は、グリムたちを乗せた、
BeLL206ジェットレンジャー、
“ハッピー・グリム号”。
操縦桿を握るドン・チャンのヘリ・テクで、
距離は一気に縮んだ。
「この距離じゃ、弾は届かないな…、」
 グリムが呟き、アクセルに訊く。
「ロケットランチャー、ないか?」
「師匠、さすがにそれは…、」
「知ってるよ。」
 だが、アクセルはふっと笑った。
「でも…師匠。
とっておきのヤツなら…、」
アクセルはエージェント・スミスに確認した。
「もちろん、
お前が言うから、持ってきたけど…、」
「サンキュー、どこ?」
「後ろの箱の中だ。」
アクセルが後ろにあった、
金属製のケースを取り出し、
ガチャリと開けて、
中の物を、グリムに見せた。
「なんだ、この鉄のランドセル…、」
「師匠、84年の、
ロサンゼルス・オリンピックの開会式、
見てなかったんですか?」
「見るわけないだろう。
で、何だこれ?」
「“ロケットマン・スーツ”の改良版です。
これ、背負って飛べるんですよ。」
「まじか?」
「俺がこれで飛んで、
向こうに乗り込みますよ。」
エージェント・スミスが血相を変えて、
アクセルを怒鳴る。
「おい、アクセル、
そんなことさせれるわけないだろう!!
ドル箱スターのお前に何かあったら、
どうするんだ!?」
「だけど…、俺はアクションスターだ…、
しかも、
こいつには安全に安全を重ねてあるし、
万が一にも備えてあるだろう。」
「ふざけるな!!
たとえ、そうだとしても、
絶対にダメだ!?」
グリムが黙って、
ロケット・スーツに手を伸ばした。
「よし、俺がやろう。」
グリムはロケット・スーツを背負おい、
操作方法を確認する。
「師匠、飛べる時間は三〇秒ですからね。」
グリムは、親指を立てると、
「よし、ドン、頼むぞ。」
「了解!」
ヴァレリーは、エージェン・トスミスに、
カメラを回すように指示し、レポートを始める。
「これ、全世界に放送してやるわ。
最前列の特等席で!」
ドン・チャンが高度を調整、
機体を敵機と並走させる。
「あと百メートル…、
九〇メートル…、八〇メートル…、」
ヘリ同士が並走する。
プロペラの風が乱れ、機体が揺れる。
「よし!」
グリムは一瞬の隙をついて、
左手で操縦スロットル握って押し込み、
エンジンをかけると、
噴射ノズルから、
白い蒸気が唸り声を上げて吹き出した。 
グリムは、夕暮れの空へと飛び込みんだ。
爆音とともに空中へ躍り出たその身体は、
風にあおられながらも、
両手でスロットルを調整し、
風圧と騒音の中を突っ切る。
風圧、轟音、振動、
三〇秒間の生死を賭けた空中突撃。
横に並んで並走し、
そして…、燃料が尽きる寸前に、
敵機のスキッドに片手でしがみつく。
「…ギリだったな。」と呟きながら、
敵機に乗り込んだ。
突然の来訪に驚くブラックウェルは、
「ちっ…、
どこまでも非常識な、
このオカルト探偵風情が…、」
ブラックウェルは、罵しりながら、
グリムに掴みかかった。
ヘリコプターの機内で、
二人の男が取っ組み合う。
銃声が一発、二発。
弾丸がグリムの頬を掠める。
しかし、
次の瞬間、
ブラックウェルは銃で操縦士の頭を撃ち抜いた。
「ふふふ、グリム、
これで、お前も道連れだ…、」
黒衣の教祖は不敵な笑みを浮かべると、
「…私を導くのは死ではない!
…黄泉の神!
…“永劫の目”が私を導くのだー!!」
振り向きざま、ドアを開き、
そのまま飛び降りた。
夕暮れの空を、
ローブを、はためかせて墜ちていく黒い影。
数秒後、地上から乾いた音が…。
 
グシャッ。
 
その瞬間“黒太陽の眼”は…地上で潰えた。
しかし、
操縦士を失ったグリムは…、
迷わず、ロスの茜空へとダイブした。
そして…、
ロケット・スーツの緊急ボタンを押した。
 
ボシュウー!!
 
パラシュートが鮮やかに開いた。
空気を捉え、
目いっぱい開かれたシートにも…、
グリムの顔と、
“ハッピー・グリム”の文字が描かれていた。
絶句するグリムは、
ポッケトから煙草を取り出した。
4人を乗せた“ハッピー・グリム号”は、
静かにロス上空を旋回する。
ヴァレリーはサングラスを外し、夕陽を見つめた。
「やれやれ…、
これがあたしの仕事って…わけね…、」
ドン・チャンが機体を操りながら、
鼻歌を口ずさむ。
アクセルは次作の役作りに生かすため、
熱心にメモを取り、
エージェント・スミスは、
ブリックタイプのモトローラ(デカい携帯電話)を、
肩に担いで、
さっそく「ユニバーサル映画」に映画化を、
持ちかけていた…。
そして、
オカルト探偵ジャック・グリムは、
落日がロサンゼルスの街を赤く照らす中、
黙って煙草に火をつけた。
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次回は、7月14日(月)
探偵グリム0-木の盟約-
Grimm and the Wooden Covenant
Episode1「 Bang Bang, Wooden Man!/バン・バン、ウッデンマン!」
(1)(2)です。

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