なぜ彼らは戦い続けるのか? ロールプレイングで学生にパレスチナ問題を理解させる教育方法が提案される
国際政治学を学び始めたばかりの学生に対して、ある戦争が長期にわたって継続するメカニズムを政治学的に理解させることは大変なことです。多くの学生は戦争がよくないもの、あるいは戦争のリターンはコストを上回らない不合理な行為であると考えています。このような考え方では、地域紛争が数十年にわたって続く理由を説明することができません。
このような問題を解決するため、一部の政治学者はロールプレイングの方法を使って学生の戦争に対する見方を抜本的に変えようとしており、その方法の詳細が論文で発表されています。
時として戦争が長期化する場合があることを理解する上で中東は絶好の題材です。特にイスラエルとパレスチナは数十年にわたって戦い続けてきた歴史があり、しかも未だに解決されていません。学生はこのような問題があること自体に戸惑い、なぜそのような不合理なことが発生するのか説明を求めますが、著者らはそこで教員が解答を与えるのではなく、それぞれの当事者の利害関係を疑似的に体験する方がアクティブ・ラーニングの効果で理解が深まると主張しています。
具体的な方法は以下の通りです。このロールプレイングでは、国際政治ゲームに国内政治ゲームが影響を及ぼす2レベルゲームとして政治がモデル化されています。国内政治ゲームでは、イスラエルの議会であるクネセトと、パレスチナの議会である立法評議会がそれぞれ別々に開かれます。クネセトには、リクード、イスラエル労働党など、政治的立場が異なる多数の政党が存在しています。立法評議会にもハマース、ファタハなど、いくつかの勢力が存在しています。
学生には、それぞれの党派、あるいは議員の役割を与え、どれほど正確にその役割を演技することができるかどうかで成績を評価すると伝えます。そのため、学生はそれぞれの役割を演技するため、時間をかけて準備しなければなりません。どのような意見を表明すべきか、賛否をどのように使い分けるべきかを考えさせます。この際に学生は過去の政治家の言動を調べ、その意味を考えることができます。
国内政治ゲームの最終的な目的は難民、国境、防衛といった問題で自国がとるべき政策的立場を決定することです。この決定に基づいて国際政治ゲームが行われます。国際政治ゲームでは、国際会議が開催され、双方の交渉担当官となった学生が交渉を実施します。また、交渉を仲介する役割を与えられた学生は、交渉担当官の話し合いを促し、交渉が決裂しないように努力しなければなりません。
交渉担当官は可能な限り有利な条件でまとめるため、相手に譲歩を求め、それと引き換えに自分も譲歩します。この交渉に対して国内政治ゲームの参加者は口を出すことができません。ただ、もし交渉が想定外の状況となり、交渉の方針を抜本的に検討しなければならなくなれば、交渉担当官は国内政治ゲームの参加者に討議を要請できます。ただ、これは望ましくない場合が多いため、国内政治ゲームの参加者を除外し、国際政治ゲームの参加者だけで、秘密交渉を行うことも可能です。両者の利害の調整には時間がかかることが多いだけでなく、交渉が決裂する場合もあります。
著者は、このようなロールプレイングを通じて、イスラエルとパレスチナの交渉をまとめることが、どれほど難しいことかを疑似的に体験することができるようになると述べています。過去にこのようなロールプレイングで学んだ学生は、自分で演じてみたことによって、さまざまな勢力の利害や立場の隔たりを交渉で埋めていくことの難しさが理解できたと報告しました。しかも、著者はこのロールプレイングを経験した学生には長期にわたって学習の効果が残ったことや、別の分野の学習に寄与した可能性を指摘しています。
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