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エミリア・ペレス(2024)

第97回アカデミー賞で、非英語作品としては史上最多となる12部門13ノミネートを果たし、2部門を受賞したジャック・オーディアール監督「エミリア・ペレス」を観た。

”人の欲望には限りがなく、人生はどこまでいっても後悔の繰り返し”というのが映画を観終えた瞬間の率直な感想。

本作はミュージカルと言われているが、さほどミュージカル色は強くない。本格的に歌って踊る曲はそう多くないが、それらの曲の演出のインパクトは凄く、キレッキレの踊りを見せるゾーイ・サルダナは見事だ。助演女優賞、納得!

他の場面は普通のドラマとして展開するので、ミュージカルが苦手な人でもあまり気にせず観ることが出来るだろうし、その分ミュージカルシーンのインパクトが強調されていて上手い。

弁護士リタは、メキシコの麻薬カルテルのボス”マニタス”から「女性としての新たな人生を用意してほしい」という極秘の依頼を受ける。リタの完璧な計画により、マニタスは女性となり姿を消すことに成功。数年後、イギリスで新たな人生を歩むリタの前に現れたのは、新しい存在として生きるエミリア・ペレスだった… というお話なんですが。

【以下、ネタバレ】
マニタスは多くの人を殺し、残虐な行為をさんざんしてきた人間で敵対する組織との争いも命懸け。ところが、自分は物心ついた時から性別に違和感があったので、真剣に女性になりたいと言う。

それで結局、自分は死んだことにして、別の人物=女性として別の世界で生きるというのだが、これがこれまでの罪や敵から逃れるための偽装にもなっていて、女性になりたい気持ちがどこまで純粋なのかよくわからん。

というのも、せっかく女性になって新たな人生を歩み始めたのに、自分はマニタスの親戚だと偽って妻や息子を呼び寄せてしまうし、その後好きになるのも女性だったりして、姿形は女性になったものの、内面まで女性として生きているというより、女性の"外見で"自分を生き直しているだけにも見えてしまうのだ。

つまり、整形して全く見かけの異なる男性になっていてもこの話、成立したんじゃない?って思っちゃう。だとしたら、女性になるのって映画のインパクト高めるため?という穿った見方も。

あと、物語としてどうも合点がいかないのが、エミリアという別人になりすましても体型や顔などマニタスに似た部分があるというのに、わざわざ元住んでた街に戻り、テレビなどメディアに出まくって自分を晒しまくるのも…

女性としての新たな人生を歩むんとちゃうんかい!? ってね。まぁ、新たな良いことをしようとはしたけど。

あと、子供と一緒に暮らしたいばかりにスイスに逃してた家族をメキシコに連れ戻したら、(エミリアが自分の夫だと知らない)嫁が他の男と再婚して子供も連れて行くと言い出して大慌てって展開は面白かったな。

ホント、”人の欲望には限りがなく、人生はどこまでいっても後悔の繰り返し”なのだ。

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