今日の一言エッセイ「かゆい」
布団に入る。
電気も消した。
枕の位置も決まった。
あとは目を閉じるだけ。
……腕がかゆい。
少しかく。
今度は首が気になる。
さっきまで何ともなかったのに、眠ろうとした瞬間から、身体のあちこちが急に存在を主張し始める。
一度気になると、そこばかり意識してしまう。
「もう大丈夫。」
そう思って目を閉じる。
今度は足。
またかく。
寝たいだけなのに、全然終わらない。
似たようなことは、本を読んでいる時にも起こる。
面白くなってきて、文章に集中したい。
その時に限って、頬がかゆい。
鼻の横が気になる。
背中まで気になる。
一度ページから意識が離れると、さっきまで入っていた物語に戻るのに少し時間がかかる。
放っておけるくらいのものなのに、
「気にしないようにしよう」
と思った瞬間から、逆にそこしか気にならなくなる。
眠る時も、本を読む時も。
何か一つに集中したい時ほど、身体は妙に細かいことで邪魔をしてくる。
