梅雨こそマクロレンズが輝く——NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sを使って気づいたこと
梅雨に入って、外に出られない日が続いている。
鳥を撮りに行きたくても、雨が降れば機材を抱えて出かける気にもなれない。そんな時期に意外と重宝しているのが、NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sだ。
購入した当初は「そこまで使わないかもしれない」と思っていた。マクロレンズはあくまで特殊用途のレンズで、普段使いには向かないという先入観があった。ところが実際に使い始めると、梅雨の巣ごもり期間にこそ真価を発揮するレンズだということがわかってきた。

ピント面の繊細さが気持ちいい
このレンズを使って最初に驚いたのが、中央部のピント面の精度だ。
ピントが合った部分の解像感が非常に高く、かつそこから落ちるボケの質も美しい。日常のなんでもないものに向けてみると、普段気にも止めなかったディテールが浮かび上がってくる。
机の上に置かれたコーヒーカップの縁、窓ガラスについた雨粒、テーブルの木目——そういった被写体が、ファインダー越しに見ると別物のように見えてくる。この感覚は、広角や標準レンズでは体験できないものだ。

「寄れる」という体験の楽しさ
105mmという焦点距離でここまで寄れることに、最初はかなり新鮮な驚きがあった。
通常の望遠レンズは最短撮影距離が長く、被写体に近づけない。ところがマクロレンズは近接撮影に特化しているため、被写体のすぐそばまで寄ることができる。この「寄れる」という体験が、日常スナップの幅を一気に広げてくれた。
外に出なくても撮れるものが、家の中にいくらでもある。そのことに気づいてから、雨の日が少し楽しみになった。

ポートレートレンズとしても使える
マクロレンズをポートレートに使うという発想は、持つ前はあまりなかった。
でも105mmという焦点距離は、ポートレートに適した画角でもある。近接撮影だけでなく、少し離れれば人物撮影にも対応できる。1本で複数の役割をこなしてくれるという意味でも、思った以上に汎用性が高いレンズだと感じている。

気になる点も正直に
もちろん、使っていて気になる部分もある。
描写が少し硬くなる場面があること。柔らかい空気感を出したい時には、表現の方向性が合わないこともある。また、レンズ自体がそれなりに重く、スナップ的な軽快さとは少し距離がある。Nikon Zfに装着すると、バランスとしては前寄りになるのが正直なところだ。
それでもこれらのデメリットは、得られる描写力や撮影体験の幅の広さと比べれば、十分に許容できる範囲だと思っている。

普通のレンズに飽きてきたら
これまでずっと標準や広角を使ってきて、「なんとなく似たような写真になってきたな」と感じている人には、マクロレンズを試してみてほしい。
視点が変わるというより、見えているものが変わる感覚がある。身近にある何気ないものが、撮影対象になる。外出できない日こそ、手の届く場所にあるものを丁寧に写していく楽しさを、このレンズが教えてくれた。
梅雨の時期は、マクロレンズのシーズンでもある。
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