使い込むほど好きになる。Nikon Zfとエイジングの話
カメラを選ぶとき、スペックより先に「育てられるか」を考えるようになった。
撮影性能はもちろん大切だ。でも最近、それと同じくらい「長く使い込んだときにどうなるか」が気になる。傷がついて、角が削れて、手の脂が馴染んで——そうやって少しずつ自分色に変わっていくものに、どうしようもなく惹かれる。
エイジング、という言葉が好きだ。
エイジングへの偏愛
もともとデニムが好きで、RESOLUTEを何本か持っている。
穿くたびに色が落ちて、自分の体型に合わせてシワが入って、洗うたびに表情が変わっていく。その変化が「使ってきた証」になる瞬間がたまらない。新品のときより、くたびれてきたころの方が愛着が増す。不思議な感覚だけど、分かる人には分かると思う。
カメラでも、まったく同じことを感じるようになった。
外装が削れて素材の地肌が見えてきたとき、「あ、自分のものになってきた」という感覚がある。使い込むほど所有感が増していく。これはスペック表には絶対に載らない価値だ。
Nikon Zfというカメラ
そういう視点でカメラを選んだとき、Nikon Zfは答えのひとつだと思っている。
まず、デザインが本当にいい。
ニコンのフィルム一眼レフをオマージュしたレトロなボディ。上面のダイヤル類は真鍮素材で、使い込むほどに削れて地金が露出してくる。このエイジングが、Zfを語るうえで外せないポイントだ。新品のときはマットな質感だったダイヤルが、使い込むうちに角から輝きはじめる。それだけで、撮影前から気分が上がる。
デザインの話をもう少しすると、Zfはファッションの文脈でも語られるカメラだと思っている。YouTubeや InstagramなどのSNSを見ていても、女性ユーザーに人気があるのが分かる。「カメラを持って出かける」こと自体を楽しむライフスタイルに、Zfのデザインはとても馴染む。カフェでテーブルに置いても絵になるし、街中でストラップにかけて歩いても様になる。所有欲を満たすという意味でも、非常に優秀なカメラだ。
性能面では、フルサイズセンサーを搭載していて描写力は申し分ない。Nikon Zマウントのレンズはもちろん、アダプター経由でVoigtländerやオールドレンズも楽しめる。レンズを変えるたびに違う顔を見せてくれるのも、長く使い続けられる理由のひとつだ。
エイジングを楽しめるカメラたち
Zfと並んで、エイジングを語るうえで外せないカメラがある。
ひとつはLeica Mシリーズ。
真鍮ボディにブラッククロームやシルバークロームの塗装を施したLeicaは、エイジングの文化そのものと言っていい。使い込むうちに塗装が剥げ、真鍮の地肌が見えてくる「ブラスシルバー」と呼ばれる状態は、Leicaユーザーの間で長く愛されてきた。価格は現実的ではないことも多いけれど、そのエイジングへの憧れは本物だ。
もうひとつはFUJIFILM X-Proシリーズ。
こちらもレトロデザインを纏ったカメラで、マグネシウム合金ボディが使い込むうちに質感を変えていく。富士フイルムのフィルムシミュレーションと組み合わせることで、撮って出しの写真にもフィルムのような雰囲気が出る。「撮影体験ごとエイジングさせていく」感覚が強いカメラだ。

一台を育てることにした
いろいろ試してきたけれど、Nikon Zfに一本化することにした。
複数台を使い分けることもできるけど、一台を深く使い込む方が愛着の密度が違う。レンズを少しずつ買い足しながら、撮り方のスキルも上げながら、その間にボディは静かに育っていく。そういう時間の過ごし方が、今は一番しっくりくる。
数年後、真鍮がしっかり出てきたZfで撮った写真を見返したとき、きっとそのカメラへの愛着はいまの比じゃないと思う。
所有欲を満たしたい人にも、じっくり使い込んでエイジングを楽しみたい人にも、Nikon Zfは本当におすすめできる一台だ。
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