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t_eclectus
誰ソ彼
山陰に沈もうとする太陽は、狐の毛皮のようにまろやかな橙色(だいだいいろ)だ。五線譜のような電線に、数羽のカラスが羽を休めている。ガァガァという鳴き声は誰もいない空間に虚しく不気味に響き渡る。
夕暮れを表す名を『黄昏時』というらしい。全てがオレンジに染まる妖しい雰囲気に、思わず不安が募る。
−−今日は早く帰ろう……。
−−駅はどこだっけ……?
−−おかしいな、時間がさっきと変わらない。
腕時計の長針と短針はピクリとも動かず、秒針だけが円を描く。日付もずっと前から変わらない。
終わらない黄昏時。私はまたあの階段を登りきり、ビルの上から階下を見下ろす。
狐色の太陽は先ほどと同じ場所で、変わらない丸い形で、どこか嘲笑うようにしてぼんやりと佇んでいる。
