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いのち短し買い漁れよ写真集

2025年がはじまって早くも1か月が経過しようというところまできましたね。歳を重ねるごとに1年が短く感じる現象には、“ジャネーの法則”という「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」といった名前がついているそうです。

個人的にはこのジャネーの法則よりも、「道順を知らずに進む行き道よりも、その帰り道の方が道順を知っているから短く感じる」といった実体験の方がしっくりくるのですが、あなたはどうでしょうか?

人生経験が増えることで目新しいものが徐々に少なくなり、生じた既視感により反オートマチックに過ごせてしまう時間が増えるため、1年が圧縮されているのではないか。というのが僕の持論です。

少し前置きが長くなってしまいましたね。

今回はそんな人間の一生と経験に少し関わるお話を、写真と絡めて話していきたいと思います。


平均年齢から逆算した、一生経験不足であるという事実

人生100年時代と呼ばれる昨今の日本において、日本人の平均寿命(令和4年時点)は、女性は87.09年、男性は81.05年だそうです。

80年という歳月を長いと取るか短いと取るかは人それぞれだと思いますが、僕は短いと、そう思いました。

80年の中でこの世にある全てのやりたいこと、未経験なことを0にするのは現実的に不可能です。そういった視点から僕はこの80年という歳月を短いと感じました。

今熱心に打ち込んでいる写真表現という、数ある表現方法の中の1つに過ぎないものでさえ「全てやり尽くしたぞ!」と言える気がしません。

ですが、擬似体験を含めれば限りなく0に近い場所まで辿り着くことができるかもしれない。そう考え、僕は写真集を読むようになりました。

AIが真似できない「不安定さ」という名の

写真集にはその写真集を作った人、写った人の人生が詰まっていると僕は考えています。
AI技術が飛躍的に発達し、広告写真を中心にAI画像が使われるようになった昨今。今写真に求められているのは「誰が撮ったか」ということです。

AI画像の精度は今後も増していくことでしょう。しかしその一方で、AI画像はドンドンつまらない普通のものに収束していくとも言われています。

考えてみれば至極当然のことで、AIとは一番効率的に最適解を人間よりも早く導き出してくれます。その早さの根元には、各ジャンルの「最適」を思考という過程を飛ばしてノンレスで引っ張ってこれる部分にあります。

ですが「最適」とは面白いものでしょうか?
僕はそうは思いません。効率的に物事を進める上ではとても有用ではありますが、ユニーク性が欠如したその無駄のない解には人の心を動かす“何か”は宿っていません。

では、人の場合はどうでしょうか?
どんな優れた人だとしても、状況次第では必ずしも「最適」を導き出せるわけではありません。

この“不安定さ”こそ人間味であり、個性だと僕は考えています。

個性を生むのは誰か?

そう。あなたです。

だからこそ、今写真に求められているのは「誰が撮ったか」ということなのです。そしてその最たる結晶体として「写真集」が存在します。

写真集には思想が宿っている

前章で写真集の存在を「その人そのもの」と明記しましたが、この章ではどういった部分に“その人”を感じるのかについて話していきたいと思います。

写真集にはどれも「ここを見せたい」あるいは「このことを伝えたい/残したい」といった制作者の意図が必ず組み込まれています。

例えば僕の好きな写真家、奥山由之さんの写真集『BACON ICE CREAM』には、全く関係のないもの、連続性のないものを合わせるといった意図が全ページに渡って組み込まれています。
タイトルの「BACON」と「ICE CREAM」もそうです。全く関係ありませんよね。
綴じられた写真通しにも関係性はなく、全てを1枚の写真に戻しバラバラに組み直したとしてもこの写真集の場合は成立してしまいます。
さらにこの写真集に載っている写真は全て、奥山さん自身が「自分らしさの正体を“言語化できなかった”自分らしい写真」だけで構成されています。なぜそうしたかなどの詳細は、2019年発売の『SWITCH』奥山由之特集をに掲載されているのでぜひご一読ください。

このように奥山さんに限らず、写真集には制作者の意図という名の思想が反映されているのです。

まとめ

写真集を読むことで自分にはない考えや経験を追体験できるといった僕の持論。いや、ここは思想と言っておきましょう。
僕の思想はいかがだったでしょうか。

僕はこのように自分に“上手い言い訳”をして写真集を収集しています。

もし今写真集を買うかどうか迷っていれば、僕のように「これは“人生の時短”だ」と自分を納得させてみてください。




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