【先生の思索ノート】#39 教師にも「援助を求める力」が必要な理由 — 孤立しない教育現場へ
📘 『「援助を求める力」を大切にする支援』を読んで — 教師自身が助けを求められる社会へ
教育現場では、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用、特別支援教育の充実、合理的配慮の実践といった新しい専門性の獲得が次々と求められています。そんな時代だからこそ、『「援助を求める力」を大切にする支援 — 子ども・保護者・教師の援助要請』という本が、教師自身のあり方を考えるうえでとても示唆に富む一冊だと感じました。
📌 教師にも必要な「援助を求める力」(第6章)
本書第6章では、教師自身にも援助を求める力が必要であるという視点が示されています。
教育現場では、授業だけでなく子どもへのきめ細かい支援、保護者対応、校内外の連携など、仕事の幅と専門性が広がっています。しかし、その一方で、困ったときに周囲に助けを求めることが苦手な教師が多い現実が描かれています。教師が一人で抱え込んでしまうと、心身の負担は大きくなり、ストレスや孤立感が深まってしまいます。
💻 「新しい専門性」が求められる時代だからこそ
昨今の教育現場では、たとえば以下のような新たな専門性が求められています:
GIGAスクール構想によるICT活用とデータ活用
多様な学習ニーズへの対応
特別支援教育の実践と合理的配慮の提供
多文化・多言語・発達特性への理解と教育的支援
こうした変化は、むしろ教師の仕事の幅を拡大し、複雑化させています。
しかし、これらすべてを研修だけでカバーすることには限界があります。
どれだけ研修を積み重ねても、現場で直面する困難や微妙な判断、他者との連携、支援の優先順位づけなどは、形式的な研修だけでは身につきにくいのが現実です。
――これは、技術や知識の問題だけではありません。
援助を求め、支え合う関係性や文化を育てることこそが、これからの教育現場に不可欠なのです。
👩🏫 教師が援助を求めにくい背景
教師が援助を求めにくい理由として、本書と現場の状況を合わせて考えると、次のような構造が浮かび上がります:
■ ① 教師は「個業」である
教師の仕事は、自分のクラスや授業を中心に一人で遂行する個業的な役割が基本です。
他の専門職(看護職・福祉職など)が本質的にチームアプローチを重視し、互いに相談・支援し合う文化が制度として根付いているのに対し、教師にはそのようなシステムや文化が弱い傾向があります。
そのため、困ったときに「助けてほしい」と言い出しにくく、結果として抱え込んでしまうケースが多くなりがちです。
■ ② 役割や担当を柔軟に変える仕組みが乏しい
福祉職のように、相性や専門性に応じて担当者を変える、支援体制を柔軟に変更する仕組みが、学校現場にはほとんどありません。
担任や担当教科・学年が固定されやすい現実は、教師が「この役割は得意ではない」「今は負担が大きい」という状況から抜け出すことを難しくしています。
🧠 研修だけでは解決できないもの
もちろん研修は必要です。ICT活用や合理的配慮、特別支援教育に関する研修は、教師の専門性を高めるうえで重要です。しかし、技術や知識だけでは足りません。
研修で学ぶべきはあくまで手段であり、困難な状況で周囲とつながり、支援を求め、支え合う力そのものは、形式的な研修だけでは育ちにくい――本書はそのことを示唆しているように思います。

✍️ 最後に — 教師にも助けを求められる文化を
教育現場は「教える・導く」だけではありません。
子どもに援助を求める姿をモデルとして示すためにも、教師自身が援助を求められる環境をつくることが、これからますます重要になってきます。
GIGAや合理的配慮、特別支援教育など「新しい専門性」が拡大する時代だからこそ、教師が助けを求め合い、支え合う関係性の構築こそが、学校全体の力を高める道筋なのではないでしょうか。
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