作品を手にするという切り口
この間、1点の絵画が郵送で届いた。
接点のない作者の作品を購入したのは初めてだった。
絵画作品は自分の店に何か置きたいなぁと考えていた。自分の身の回りの人たちの作品だけを配列するのでは、かなりパーソナルな空間になってしまい、それはそれで良いのだろうけれど、もっと自分が今欲しいと思えるものとを混合させた空間の方が客観的に自分自身を映し出すのではないかとも思い、今欲しいと思えるものを購入した。
作品を実際に目にして、線の動きの非対称性から出る自然発生的自律、絵の具の重なりや轍が作品の実在性を強く肯定していると感じた。
自分は少し前にかなり沈んでいた時期があって、そんな微睡みを経てようやく周りの人たちのおかげで店をできているが、そんな内在的・外在的変遷や他者との関わりを通じて、今もなお変化し続ける自分自身とようやく対等に向き合えた気がして、作品を見つめていると本当に涙が出た。
作品には、作者の言葉が添えられた小さな紙とInstagramのアカウントが載った名刺サイズのカードが同封されていて、すぐに上記に述べた旨と感謝を伝えた。
作者の方は、感激で胸が震えるといった旨の連絡を返信してくれた。普段はデッサンや具象を主に描くが抽象画は久々で、線の持つ広がりや繋がりを大事に大切に描いたと教えてくれた。
普段、レコードや書籍等を手にすることで、ある程度常態化してしまっている、作品を手にするという事に於ける哲学的観念があると思った。
これからももっと、今現在の嗅覚を頼りに良い悪いを区別して、惹かれたものには伸ばせるだけ手を伸ばそう。
自分が作品を手にするという事から自分で切り開いていく関係性や時間。その中にいる自分と他者との間には常に作品が介在していて、店に於いてもお客さんと話す時はできるだけそうありたいと思った。
