メモリ高騰・円安・インフレが招く「iPadという第三のカテゴリー」の消滅—13インチ M5 iPad Pro 1TB WiFi-Cellular購入記
性能的には地味なアップデート
「AI特需でメモリが高騰すれば、最終製品価格が高くなるだけでなく、在庫が枯渇して買えなくなる可能性すらある」
そんな話が昨年秋ぐらいから囁かれていて、眉に唾を塗りながらも年末にメモリを盛ったPC(Windows機)とメモリ株(指数)を買って備えていたら、本当に爆上がりしてしまいましたよね・・・。
そして今年に入ってからの、さらなる円安進行とインフレの加速。
こうなると、自らの資産防衛も兼ねてApple製品も更新しておかねばと思い、13インチ M5 iPad Pro 1TB WiFi-Cellular(2025年10月モデル)の購入に至りました。2024年に購入していた同型機種の買い替えです。

外箱のデザインが先代と一切変わってないのは衝撃…Appleらしくない
CPU:M4 → M5 (Neural Accelerator含)
ユニファイドメモリ:12GB → 16GB
メモリ帯域幅:120GB/s → 153GB/s
Wi-Fi:6E → 7
Bluetooth:5.3 → 6.0
Thread:非対応 → 対応
外部ディスプレイ出力:4K 60Hz → 4K 120Hz
高速充電:非対応 → 対応
2024年5月モデル→2025年10月モデルの主な変更点はこれだけ。アーキテクチャが先代と変わってないので、基本性能的にも地味なアップデートに見えます。ただし1点だけ、新たにN1チップが積まれ、無線回りがMacBook Proよりも先行して強化されたのは体感しやすい部分です。

背面からiPad Proの銘が消された
AI時代にメモリはどれだけ必要か
今回購入したM5モデルに性能面での懸念があるとすれば、「このAI時代にユニファイドメモリ16GBで足りるんだっけ?」 という点です。
これについては、
仮に32GBや64GBの選択肢があったとしても、ローカルLLMがスムーズに動くような水準にはならないこと
法人の開発機としても使われる現行MacBook Pro M4の吊るしモデルが24GB/最新MacBook Air M5でも16GBであること
を考えると、この2−3年は16GBあればOKだろうと考えます。
そもそも、大多数のエンドユーザーがメモリ16GBの環境にすぐに切り替えられるわけでもない以上、事業者もそうしたユーザーの端末環境を前提としてサービスを設計せざるをえないはずです。
他方で、メモリ12GB未満のPC・モバイル端末については、一気に使い物にならなくなるだろう、と見立てています。少なくとも、Appleがこの秋にリリースするiOS27 / Siri AIは12GBを要求していますし、iPhone18も12GBを搭載するようです。
2026年6月25日、値上げ当日の朝に来た「虫の知らせ」
さて、私が今回購入した13インチ M5 iPad Pro 1TB WiFi-Cellularモデルの購入価格は、本体 358,800円 + AppleCare 26,800円 = 385,600円でした。
先代M4モデルと日本円での購買価格を確認してみると、
M4モデル(2024年5月15日発売/同日のレート:1ドル156円)
└ 本体 358,800円 + AppleCare 26,800円 = 385,600円(税込)
M5モデル(2025年10月22日発売/同日のレート:1ドル151円)
└ 本体 358,800円 + AppleCare 26,800円 = 385,600円(税込)
そう、M4モデル発売時と比べて5円もの円高傾向だったにもかかわらず、M5モデルの販売価格は据え置きされていたんですよね。しかもM5モデル発売日から8ヶ月ほど経った現在は1ドル161円もの円安になっていて、このドル円レートの変動だけを捉えても、値上げの可能性は相当高まっていたといえます。
これに加えて、ティム・クックが取材に対し「近いうちに、メモリ等部品調達価格の高騰を理由とした値上げを余儀なくされる」と答えたインタビューも話題になっていました。
これらを踏まえると、そろそろ値上げが来るのは間違いなさそうだ。2026年6月25日の、まだ頭もぼんやりとしている早朝にそんな虫の知らせがあり、私はオンラインストアで「本日店舗在庫を受け取る」を選択して購買ボタンをポチっていました。

さて、今回のように店舗受け取りを選択してポチった場合、通常ならお昼ごろには店頭で実機を受け取れるはずです。ところが、なぜかこの日に限って、夕方になっても「処理中」ステータスのまま注文処理が一向に進まないのです。困ってカスタマーサポートに電話やチャットで問い合わせても「理由は分からない」の一点張り。
ダメもとで、仕事帰りに引き取り予定の店舗で事情を説明し交渉してみたものの、結局「“受け取り待ち”のステータスにならないと、引き渡しはできない」と言われてしまいました。面倒になった私は、スタックしているオンラインの注文は後でキャンセルすることとして、店舗にあったラス1のフリー在庫をその場で購入して帰宅したのでした。
しかしその数時間後、今朝発注した分をキャンセルしようとオンラインストアにアクセスすると・・・

ストアがこのような一時クローズ状態に。はて?WWDCが終わったばかりのこのタイミングで、新製品の発売はありえません。となると、これは値上げ作業のためのストアクローズということになります。
まさか、購入した日に値上げとは!
そうして1時間ほど経ち、再オープンしたApple Storeオンラインで確認できた同モデルの価格を確認してみると、
本体 409,800円+Apple Care 26,800円 = 436,600円
となっていました。5.1万円の値上げです。
iPadが初めて20万円超えた時の驚きは鮮明に覚えていますが、40万円超えと聞くと、元号がまだ昭和だった頃の、よっぽどの物好きでなければ手を出さなかったApple製品に戻った感覚です。

「iPadという第三のカテゴリー」が消える日
一定程度のインフレはある意味で望ましいことでもあるし仕方ない、とはいえ、一般的な日本の労働者の月給水準がインフレにアジャストして40万円を超えるには、それなりの年月を要するはずです。
そして、一般人の月給水準を超えるような価格帯に設定されたタブレットなど、ワコムのペンタブで仕事をしていたプロイラストレーターか、お金の使い所のないガジェット好きマニアしか購入しないでしょう。なんなら、AI時代のイラストレーターは、もはやApple Pencilを握っていない可能性もあります。
時を同じくして、次世代のMacBookがタッチスクリーンに対応するとのリーク情報を目にするようになりました。
けれど、タッチスクリーン付きMacBookとは、もはや「キーボード付きのiPad」なのではないでしょうか?これが本当に出れば、iPadのヘビーユーザーの多くにとって、わざわざ月給水準の金額を支払ってまで「キーボードなしのiPad」を選択する理由はなくなるように思います。
加えて、ただでさえメモリをはじめとするハイテク部品は供給不足により原価高騰していきます。それでもAppleは「タッチスクリーン付きMacBook」と「キーボードなしiPad」を並行して製造・販売し続けるか?雲行きは相当怪しいと覚悟すべきでしょう。

Is there room for a third category device in the middle? Something that’s between a laptop and a smartphone?
スティーブ・ジョブズが「スマートフォンでもラップトップ(ノートブック)でもない、iPadという新しい第三のカテゴリー」を唱えてから、16年が経ちました。
私自身、この間iPad / iPad Air/ iPad mini / iPad Proを計10台ほど購入して乗り継ぎ&併用してきた、それなりのヘビーユーザーです。しかしそんな私ですら、40万円を超える次のiPadを購入するイメージがまったく持てていません。
悲しいかな、メモリ高騰・円安・インフレがきっかけとなり、「iPadという第三のカテゴリー」が消える日が近づいている気がします。
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