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ChatGPTの「おすすめ商品」はどこから来るのか?AI時代のEC戦略を根底から変える発見

ChatGPTに「おすすめのワイヤレスイヤホンを教えて」と聞くと、商品カルーセル(横スクロール型の商品一覧)が表示されることがあります。

価格、画像、購入リンク付きで、まるでECサイトのようです。

ここで一つ、考えてみてください。

この商品たち、一体どこから連れてこられたのでしょうか?

ChatGPTが独自に世界中のECサイトをクロールして商品データベースを構築している——そう思っている方も多いかもしれません。

しかし、2026年3月に公開された大規模調査が、その常識を覆す事実を明らかにしました。

結論から言うと、ChatGPTの商品カルーセルに並ぶ商品の83%以上が、Google Shoppingの検索結果から取得されていることがわかったのです。

この記事では、この調査結果の意味を噛み砕きながら、日本のEC事業者やマーケターが今すぐ考えるべきことを整理していきます。

発見のきっかけ:ソースコードに残された「指紋」

この発見の出発点は、2025年11月にさかのぼります。

複数のAIリサーチャーが、ChatGPTのソースコード内にある不思議なフィールドに気づきました。

そのフィールドをデコード(復号)してみると、中にはGoogle Shoppingの商品ID、オファーID、そして商品を検索するために使われたクエリが含まれていたのです。


出典:

わかりやすく例えるなら、こういうことです。

高級レストランで出された料理が美味しかったので「このお肉はどこの産地ですか?」と聞いたら、厨房のゴミ箱に隣のスーパーのレシートが残っていた——そんな発見です。

もちろん、これだけでは「たまたまでは?」という疑問が残ります。そこで調査チームは、43,000件以上のChatGPTカルーセル商品と、Google・Bingそれぞれ20万件超のショッピング検索結果を突き合わせる大規模検証を実施しました。

調査結果:数字が語る圧倒的な偏り

調査は10の業種カテゴリ(家電、アパレル、美容、スポーツ用品など)にわたって行われ、ブランド名を含むクエリと含まないクエリの両方がテストされました。

結果は非常に明快でした。

Google Shoppingとの一致率は83%以上。一方、Bingとの一致率はわずか約11%。

しかも、Bingで見つかった商品のほぼ全てはGoogleでも同時に見つかっており、Bingだけでしか見つからなかった商品は全43,000件中わずか70件(0.16%)に過ぎませんでした。

つまり、ChatGPTの商品棚はほぼ丸ごとGoogle Shoppingの品揃えでできているということです。

見えてきたChatGPTの「二重構造」

この調査でもう一つ興味深いのは、ChatGPTが内部で2つのまったく異なる検索プロセスを使い分けているという発見です。

一つは、回答文(テキスト)を生成するための「コンテキスト検索」。もう一つは、商品カルーセルを埋めるための「ショッピング検索」です。

この2つは98%以上の確率で異なるクエリが使われており、性質もまったく違います。

コンテキスト検索は平均12語の長いクエリで、1つのプロンプトに対して平均2.4回実行されます。Webページの文脈を幅広く集めて、回答の根拠を構築するためです。

一方、ショッピング検索は平均7語と短く、実行回数もプロンプトあたり平均1.16回。「Google Shoppingの検索結果1ページ分で、8商品のカルーセルは十分埋まる」というわけです。

これは何を意味するかというと、ChatGPTのテキスト回答で「この商品がおすすめです」と書かれることと、カルーセルにその商品が並ぶことは、別々のロジックで決まっているということです。

レストランに例えれば、メニューの説明文を書くシェフと、食材を仕入れるバイヤーが別の人間で、それぞれ独立して動いているようなものです。

Google Shoppingの「上位」であることの価値

さらに注目すべきは、ChatGPTがGoogle Shoppingの中でも上位の商品を優先的に選んでいるという点です。

調査によると、カルーセルに表示された商品の約60%がGoogle Shopping上位10位以内の商品と一致し、約84%が上位20位以内から来ていました。

ChatGPTカルーセルの1番目に表示される商品は、Google Shoppingの平均5位付近の商品に対応しており、カルーセルの後方になるほどGoogle Shoppingでも下位の商品が対応するという正の相関が確認されています。

つまり、Google Shoppingで上位に入れなければ、ChatGPTのカルーセルにも載らないということです。

しかもこの傾向は、特定の業種やクエリタイプに限った話ではなく、10業種すべてで一貫して観察されました。

日本のEC事業者が今考えるべき3つのこと

この調査結果は米国市場を対象としたものですが、ChatGPTのアーキテクチャがグローバルで共通である以上、日本市場にも大きな示唆があります。

1. Google Merchant Centerの最適化が「AI対策」の第一歩になる

ChatGPTに商品を表示してもらいたいなら、まずやるべきことはGoogle Merchant Centerの商品フィードを最適化することです。

商品タイトルの正確さ、画像の品質、価格情報の鮮度、在庫ステータスの正確性——これらはGoogle Shoppingでの順位に直結し、それがそのままChatGPTへの露出に繋がります。

今まで「Google Shoppingは広告枠でしょ?」とオーガニック面を軽視していた事業者は、認識を改める必要があるかもしれません。

今回の調査では有料広告は除外されており、あくまでオーガニックのショッピング結果が対象です。つまり、広告費をかけなくても、フィードの質で勝負できる領域です。

2. 「AIに語られる商品」になるためのコンテンツ戦略

カルーセルへの掲載はGoogle Shopping経由ですが、ChatGPTのテキスト回答で商品が言及されるかどうかは別のプロセスで決まります。

ここで重要になるのが、レビューサイト、比較記事、専門メディアでの露出です。

ChatGPTのコンテキスト検索は、Web上の多様なソースから情報を収集して回答を構成します。

自社商品が信頼性の高いソースでポジティブに言及されていれば、テキスト回答でも推薦される可能性が高まります。

つまり、カルーセル対策(Google Shopping最適化)とテキスト回答対策(評判・コンテンツ管理)は別々に取り組む必要があるということです。

3. GEO(Generative Engine Optimization)の具体的な入口が見えた

「GEO」というキーワードは最近よく耳にしますが、「具体的に何をすればいいの?」という声も多いのが実情です。

今回の調査は、少なくとも商品カルーセルに関しては明確な答えを示しました。GEOの入口はGoogle Shopping SEOである、と。

もちろん、OpenAIがいつでも取得先を変更する可能性はあります。しかし調査チームによれば、この挙動は少なくとも4か月以上にわたって一貫しているとのことです。すぐに変わるリスクに怯えるよりも、今のうちに手を打っておくほうが合理的でしょう。

まとめ:「見えない仕入れ先」を知ることの意味

AIがユーザーに商品を推薦する時代、その推薦ロジックの裏側を理解しているかどうかは、EC事業者にとって大きな差になります。

今回の発見が示しているのは、一見すると革新的に見えるChatGPTの商品推薦が、実は既存のGoogleのインフラに深く依存しているという事実です。

これは「AIだから全く新しいルールで動いている」という思い込みへの強力な反証でもあります。

新しい技術の裏側にある「仕入れ先」を知ること。それが、AI時代のマーケティングで先手を打つための第一歩です。

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参考: Search Engine Land "New finding: ChatGPT sources 83% of its carousel products from Google Shopping via shopping query fan-outs"(2026年3月5日)

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