なぜ日本の家は今も「坪」で測る?元数学教師が解明する、身体と「畳」の深い関係
石川県、福井県で活動する、元高校数学教師の土地家屋調査士、北川巧です。
不動産の広告を見ていると、土地や建物の広さが「〇〇㎡(平方メートル)」と「〇〇坪」で併記されているのをよく見かけませんか?
「今はメートル法が基本なのに、なんでわざわざ古い単位の『坪』を使うの?」
そんなふうに疑問に思ったことがある方もいるかもしれませんね。
実はこれ、単なる古い慣習ではなく、私たち日本人の身体感覚に深く根ざした、とっても合理的な理由があるんです。
今回は、元数学教師の視点も交えながら、この面白くて深い「坪」の世界をのぞいてみましょう。
■法律では「メートル」が基本だけど…
まず大前提として、日本の法律(計量法)では、取引や証明に使う単位は「メートル法」が基本とされています。
なので、不動産の売買契約書や、法務局にある登記簿(とうきぼ)には、「㎡(平方メートル)」で面積が記載されています。
でも、不動産広告などでは、「㎡」と一緒に「坪」も書かれていることが多いですよね。これは、多くの人にとって「坪」の方が広さを直感的にイメージしやすいからなんです。
では、なぜ私たちは「坪」だと広さがピンとくるのでしょうか?
その秘密は、日本の歴史と、私たちの「体」にありました。
■「一間(いっけん)」は、人が寝転んだ長さ!?
「坪」のルーツをたどると、豊臣秀吉が行った「太閤検地(たいこうけんち)」にまでさかのぼります。
この時、長さの基準として「一間(いっけん)」という単位が定められました。これが、約1.818メートル(正確には6尺)です。
この「一間」という長さ、実は「大人が両手を広げた長さ」、あるいは「大人が一人、ごろんと寝転んだ時の長さ」に基づいていると言われているんです。
これを「身体尺(ヒューマンスケール)」といいます。
つまり、私たちの体のサイズが、そのまま長さの基準になっていたんですね。

そして、この「一間」を縦と横にした正方形の広さ(一間四方)が「一坪」と定められました。
これは、ちょうど「畳(たたみ)2枚分」の広さに相当します。
「大人が二人、ゆったりと並んで寝られる広さ」 これが「一坪」の感覚なんです。
どうでしょう?「3.3㎡」と言われるより、「畳2枚分」と言われた方が、なんとなく広さが想像できませんか?
■現代の住宅も「尺」でできている
この「尺貫法(しゃっかんほう)」に基づく寸法は、現代の日本の住宅にも深く息づいています。
例えば、一般的な住宅の廊下の幅や、柱と柱の間隔は、今でも「910mm(これは『半間』、つまり一間の半分です)」を基準に設計されていることが多いんです。
これを建築業界では「尺モジュール」と呼んだりします。
家の設計そのものが、昔からの「尺」や「間」をベースにしているから、「坪」や「畳数」で広さを表すほうが、家の構造とマッチして、感覚的にわかりやすいんですね。
「この部屋は6畳間です」と言われれば、「あぁ、坪でいうと3坪だな」と、パッと広さが浮かぶ。
これが、日本で「坪」がなくならない最大の理由だと私は考えています。
■まとめ
「坪」は、決して古臭いだけの単位ではありません。
日本人の体格や生活様式、そして「畳」という独自の文化と深く結びついた、非常に人間味のある、便利な「ものさし」なんです。
デジタル化が進む現代ですが、こうした体に染み付いた感覚は、これからも大切にしていきたいですね。
これから不動産広告を見る時は、ぜひ「坪」という単位の裏にある、歴史や身体感覚にも思いを馳せてみてください。
きっと、今までとは違った面白さが見えてくるはずです。
石川・福井エリアで、土地の境界や測量についてお困りの際は、お気軽にご相談くださいね。
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