究極の一問:元数学教師が数学を本気で好きになるきっかけの問題
どうもこんにちは。元高校教師のバッツです。
高校では数学を教えていました。
なぜ私が数学教師になったか?
それを詳しく説明させていただくには、 1記事丸々使っても
説明できないくらいふか~~~い理由がありますが、
超簡潔に説明するならば、そりゃあ
「算数・数学が好きだったから」
この一言に尽きます。(ありきたりな理由で申し訳ございません)
この記事では、私が本気で数学を好きになり 将来的には数学教師になるほどドツボにはまるきっかけとなった 「ある一問」をご紹介させていただきます。
1.小学校時代
両親ともに厳しい環境で育ったことが理由でもあるのですが、
よく勉強をやらされていた小学校時代でした。
九九は完璧に言えるようになるまで、
寝させてもらえなかった記憶があります。
でもそのおかげで、算数が得意な子供に育っていきました。
計算テストで一番に先生に提出し、満点を取ってほめられることに
何より喜びを感じていました。
褒められるからどんどん勉強するようになり、さらに好きになり、
算数に関しては、誰に言われなくても自ら進んで勉強するようになっていきました。
2.因数分解との出会い
中学生になり、数学を学び始めます。
自然数から負の整数へと数の世界が広がり、
数字だけの式から文字を使う数式へと発展していきます。
方程式や関数など、新しい概念との出会いに、
私の数学への興味は爆発的に膨らんでいきました。
そんな中で、数式の展開と因数分解に出会います。
因数分解は展開の逆の操作で、共通の文字でくくって
数式をすっきりとまとめる例のアレです。
例題.次の数式を因数分解しなさい
$${3ax+6ay=3a(x+2y)}$$
私はこの因数分解の問題が特に好きでした。
因数分解の問題を解いている間は、それを勉強だとは毛ほども
感じませんでした。 例えるならば、
何か楽しいパズルを解いているような、そんな感覚でした。
しかし、この因数分解の応用問題が私の将来を決定づけることになります。
3.ぶち当たった壁
前置きが長くなってしまい大変申し訳ございません。
それでは今回の記事のテーマである、
「数学にはまるきっかけとなった一問」を紹介させていただきます。
この問題は、ある日の授業中に問題を解き終わって暇そうにしていた私のために、 授業担当の先生が出してくれた因数分解の応用問題です。
問.次の文字式を因数分解せよ。
$${x^4+4y^4}$$
ん?
んんん?
ちょっと先生!
これが問題ですか?
何か数式間違ってませんか?
そもそも4乗の公式なんて習ってませんけど?
3乗すっとばしてますし、こんなん無理ゲーじゃないですか!?
というのが当時の私の噓偽りのない初見時の感想です。
今まで見てきた問題の中でも、おそらく最も短い数式。
使用されている文字の種類も少なく、一見単純そうな数式。
でもよ~く観察してみると、共通因数が何一つない上に、次数が4次になっていたり、これまで覚えたどの公式にも当てはまらない形式になっていたり、 本気で先生のミスを疑うほどパニックになったことを覚えています(笑)
以下はその時の私(バッツ)と先生の会話です。
バッツ:先生、これって習った範囲じゃ解けませんよね?
先生:いやいや、解けるんだなこれが。
バ:え?だって4乗の公式とかって習ってないですよね?
先生:そうだね、2乗までしか習ってないね。
バ:ほらやっぱり!じゃあ解けないじゃん!
先生:でも4乗ってさ、2乗を上手く利用すれば表現できるよね?
バ:???
先生:指数の法則!この単元の最初に習ってるよね?
バ:(指数法則ってたしか文字の計算をするときのルールだったような…
あ!?)
先生:気づいたかな?
バ:4乗は「2乗の2乗」です。
先生:正解!じゃあもうできるね。
バ:いやちょっと待ってください!
4乗を2乗で表せるのはわかりましたよ。
でも2乗+2乗の公式はないじゃないですか!?
2乗-2乗はありますけど…
先生:そうだね。ここからがこの問題のおもしろいところだね。
ここでいったん習った内容を復習しながら、
バッツ少年の思考を振り返ります。
指数法則
・積の法則:$${a^m×a^n=a^{m+n}}$$ …(1)
・累乗の法則:$${(a^m)^n=a^{m×n}}$$ …(2)
因数分解の手法
①共通因数でくくる:$${ab+ac=a(b+c)}$$ …(3)
②乗法公式を利用した因数分解
・和と積のパターン :$${x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)}$$ …(4)
・平方の差の公式 :$${a^2-b^2=(a+b)(a-b)}$$ …(5)
・完全平方の形 :$${x^2±2ax+a^2=(x±a)^2}$$ …(6)
バ:(2)を使って4乗を2乗で表現できることはわかった。
だけどそこからが手詰まりだな。
共通因数がないから(3)はダメ。
項が2つしかないから(5)っぽいけど、
この問題は「差」じゃなくて「和」なんだよな。
2乗の項が2つあるから(6)っぽいけど、
そもそも項の数が足りないんだよな…
先生:ないなら自分で足しちゃえばいいんだよ。
その一言を聞いて、私の中にライデインが走りました。
それまでの私は、
「覚えた公式にあてはめさえすれば、数学なんて簡単じゃん」
数学の問題をそんな風に軽々しく捉えていました。
なんと浅ましく残念過ぎる考え方だったんだと、今でも反省しています。
しかし、このときの先生の一言で、これまでの自分が全否定され、
新しい見方・考え方の扉が完全に花開きました。
バ:ないものを足す!?そんなことしていいの?
そんなことしたらイコール成り立たなくなるじゃん!?
でも逆にイコールが成り立つように考えて工夫すれば、
今より項が増やせて、使える選択肢が増えるのか!
その先生の一言のおかげで、その後何とか解答することができました。
しかし、今回のエピソードのポイントは問題が解けたことではなく、
新しい発想に目覚めさせてくれた、的確過ぎる先生の一言にあります。
答えを教えるわけでもなく、ヒントを出しすぎるわけでもなく、
ただむやみに情報を与えるだけでもない。
その一言で、生徒が問題の本質に辿り着けるかどうか、
微妙なラインを見極めて 最も効果的なタイミングで放たれるアドバイス。
「そのとき、その問題、その生徒に対して、
最も効果的なアドバイスとは何か?」
それだけを追い求めて私は日々教材研究に打ち込んでいました。
そのアドバイスを送った結果、生徒の才能を伸ばす手助けとなることが、
教員として何よりも幸せなことではないかと、今でも思っています。
私はその先生のおかげで、数学の楽しさに改めて目覚め、 それ以降も意欲的に応用問題に取り組むようにもなり、 結果的には大学の理学部数学科に進み、教員免許を取ることができました。
すべてはあの問題、あの一言から始まっているのです。
私の体験をお読みになることで、今現在生徒との接し方で悩まれている先生方の一助となれば幸いです。
また、数学が苦手で悩んでいる生徒の皆さんにとっては、数学に興味を持つきっかけとなればこれ以上の喜びはありません。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
問題の解答を以下に記載しておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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