【第1話】「説明がつかない症状」の背景にある“見えない感覚”──内受容感覚という視点から
【内受容感覚】【基礎知識】【シリーズ連載】
はじめに
「痛みに鈍感/過敏」「体温調節がうまくできない」「不安や緊張が強い」「体調不良が続く」「感情の波が大きい」「なんとなく疲れがとれない」「息がしづらい感じがする」──
こうした症状や訴えに、臨床や支援の現場で出会うことは少なくありません。
対象は子どもだけでなく、大人も含まれます。
発達障がいのある方はもちろん、うつや不安障害、統合失調症、摂食障害、慢性疼痛など、**診断名を超えて共通する“困りごと”**として、これらの症状が見られることがあります。
これらの現象を、
「発達の特性だから」
「ストレスの影響だろう」
「精神的な問題では?」と、既存の枠組みの中で説明しようとすることも多いでしょう。
けれども実際の支援現場では、どうにも納得できない、説明がつかない、対応が難しいと感じることはありませんか?
私は理学療法士として、医療・福祉・教育のさまざまな現場で子どもから高齢者まで関わってきましたが、「なんでこうなるんだろう?」「何か他に見落としているものがあるのでは?」という違和感を持ち続けてきました。
その中で出会ったのが、「内受容感覚(interoception)」という視点です。
🔍 内受容感覚とは?
内受容感覚とは、身体の内側(内臓、血管、体温、痛み、空腹感など)からの情報を脳が感知する感覚です。私たちはこの感覚をもとに、「お腹が空いた」「暑い」「ドキドキしている」「不安だ」「疲れている」など、自分の状態を知り、調整し、安心感を得ています。触覚や視覚といった五感とは異なり、“身体の内側”の状態を感じ取るこの感覚は、目に見えない分、見落とされやすいのが特徴です。
つまり内受容感覚は、身体的な安全・情緒的な安定・自己理解・自己調整の根幹を支える感覚とも言えるのです。
ところがこの内受容感覚に「過敏さ」や「鈍さ」があると、身体の状態を正確に感じ取れず、その結果として、行動・感情・対人関係・健康管理にまで影響が及ぶことがあります。
例えば──
痛みに気づかない/痛みに過剰に反応する
暑さ寒さに気づかず脱水や熱中症になる
自分の気持ちに気づけずパニックになる
原因が分からない不調を繰り返す
身体感覚に頼れず、他者の言動に強く依存する
など、その表れ方は多様です。
🎯 こんな人に向けたシリーズです
このシリーズでは、療法士・看護師・保育者・教師・家族など、誰かを支える立場にある方々に向けて、内受容感覚という視点をわかりやすく伝えていきたいと考えています。
医療現場で「説明できない訴え」への対応に悩む人
教育現場で「感情のコントロールが難しい子ども」への支援に迷う人
支援現場で「自己理解やセルフケアが難しい人」と関わる人
ご家族として、見えない困難を理解し寄り添いたい方
にとって、ヒントになるようなシリーズを目指します。
📚 今後の展開(予告)
今後の記事では以下のようなテーマに触れていきます(気になる方はフォローをお願いします):
内受容感覚の分類と役割
発達・精神・身体における関連症状
脳との関係(島皮質など)
内受容感覚の評価とチェックリスト
感覚へのアプローチ例(療法士・教育現場・日常生活)
*テーマは変更する可能性がありますが、ご了承ください。
「見えない困りごと」に光をあてるために──
まずは一緒に、「内受容感覚」という感覚に耳を澄ませてみませんか?
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