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終わらなかった世界で生きてる

「世界よ終われ」と願った日を、私は一生忘れないだろう。

1999年12月31日23時59分、私は確かに、世界が滅ぶ事を望んだ。
そして1分後、世界は変わらずに続いていく事を理解した。
あの時の絶望と安堵と恥ずかしさがぐちゃぐちゃに混ざった気持ちを、大人になった今も忘れられないでいる──。

あ、まって、引かないで。
変な話ではないから(たぶん)。説明させてください。

⭐️

1999年…とある予言が一部界隈を賑わせていた。

【ノストラダムスの大予言】である。

覚えていますか。『1999年7の月、空から恐怖の大王が降りてきて、人類は滅亡するだろう』というアレです。

あの頃、テレビではノストラダムスの大予言に関する特番をよく放映していたと記憶している。
私はあの番組がとても怖かった。

恐怖の大王って何?みんな死んじゃうの?どうやって??

私は1999年の4月に中学3年生になったのだが、この予言をそれなりに信じていた。
思春期・中二病・黒歴史更新オンパレードである。

1999年の7月、私はいつ終わるか分からない世界で、すご~~く頑張った……。というわけでもなく、普通に日常を過ごしていたと思う。学校に行って、勉強して、友達とあそんで、漫画読んで、テレビゲームして、寝て、起きて、勉強して、「世界が終わるとしたら、どうなるのだろう」などと空想をした。

しかし皆さんご存知の通り、8月になっても世界は滅びなかった。この時点で現実を見ても良さそうなところだが、私は以下のように考え始める。

「もしかしたらノストラダムスは、月を間違えたのかもしれない……」

まさかの延長戦突入である。

「まだ油断できない」という気持ちでさらに数ヶ月を過ごしたが、世界からは何の音沙汰もない。どうなってんだノストラダムス。あ…もしかして、1999年の最後の日にトンデモナイコトが起こるのかも……

↑こんなにノストラダムスを信じてやまない中学3年生ってどうなのよ?

思い返すと、あの頃は 見たくないものが見えるようになってきた時期だった。

自分の恥ずかしいところ、友達の嫌な一面、親や先生からの言葉が気になって仕方がない。
何かにつけて「そんなことしてはいけない」と「いや、みんなしてるし」という2つの感情がぶつかって忙しい。

正しくいられない自分が醜くて汚いもののように感じた。

知りたくない。これが大人になるということなら、私は何も知りたくない。大人になんてなりたくない。

都合の良い予言にすがりたかったのだと思う。

世界が滅べば、大人にならなくて済む。
でも、ひとりで死ぬのはこわい。
みんな一緒だったら、きっとこわくない。

そうだ、世界なんて滅べばいい。

終わるなら、一思いに、一瞬で
ぜんぶ消し飛んでほしい。

世界よ、終われ。
終われ、終われ、終わってしまえ。

⭐️

そしてやってきた最後の日(予定)。

1999年12月31日23時59分、私はなぜか外にいた。
母に「高校受験の合格祈願のために、二年参りに行こう」と誘われて神社を訪れていたのだ。

たくさんの人が列になって、参拝の順番を待っている。その光景を見ながら、私はドキドキしていた。

終わる。もうすぐ終わる。

でっかい隕石が地球に落下して全て消滅するのかも。それとも、2000年問題でコンピューターがおかしくなって、世界中のミサイルが一気に発射されるのかも。

新年まであと10秒。

終われ、終われ、終われ。

いや、ちょっとまって。

やっぱりこわい、終わらないで。

だめだ、終われ、終わるな、終われ──

自分の中に正反対の感情が生まれて戸惑った。それでも、カウントダウンは止まらない。

3、2、1──

「あけましておめでとう」

私の横で、母がにこやかに言った。

あんなにドキドキしたのに、なんともあっけなく2000年が来て、拍子抜けしたのを今も覚えている。

「あ……おめでとう」

まじか……。
世界は、終わらなかった。
当たり前だけど、終わる気配すらなかった。

何度も「終われ」と願った世界で、これからも生きていかなくてはならない絶望感。
私の横で、母がいつも通りの調子で笑っているという安堵感。
「どうしてこんなに世界が滅びると信じていたんだろう?バカみたい」という情けなさ。

全部がぐちゃぐちゃに混ざっていく。

お参りの順番が来て、願ったのは「高校に受かりますように」だった。私はようやく現実を見た。

星空はいつも通りにキレイで、冷たい空気はキリリと澄んで、世界がやけに美しく感じた夜だった。

未だに年末の夜空を見上げると、あの時の何とも言えない気持ちを思い出す。
終わらなかった世界で、私は今日もしぶとく生きている。そう思うと、ちょっとだけ世界が面白く感じるのです。
 


こちらの企画に参加させていただきました🙏

いつも楽しい企画をありがとうございます!
急いで書いたので、支離滅裂かもしれない😂
読みにくかったらすみません。
世界…滅びなくてヨカッタ…!!

#紅白記事合戦2025
#年末のエッセイ

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玉三郎 お読みいただき、ありがとうございました☺️