20260520 喫茶のススメ
午前中に授業のない月曜日から水曜日、私は朝の一服を喫することにしている。
簡単な朝食を済ませ、仕事の下準備や整理整頓が一区切りついたら、おもむろに茶を点て始める。それまで視聴していた音楽や映画を消して、イケてるコレクションと自負する絵画やら民藝品やらを眺め、フンと軽く息を整える。
茶匙2杯の鹿児島茶の抹茶を、茶漉しでふるいにかけて茶碗に落とす。80度の湯を注いだら、竹の茶筅で茶碗を強く擦らぬように茶を点てる。耳を澄ませて、茶筅の小気味良い音を聞きながら、泡立ちの様子をみる。小さな茶碗のなかで点てられていく茶は、一度として同じ表情を見せることはない。これが不思議だ。別世界の入り口のように見える。
ひとしきり点てたら茶筅立てに茶筅を置き、深呼吸をして、自己評価は満点の絵画や民藝品を眺めながら、茶碗を手に取って回す。再度深呼吸をしたら、茶碗に口をつける。
この一服が、実に心身を整えるのに効果的だ。まず、丁寧な暮らしをしてる感が出て自己満足できる。そもそも、茶を点てる、という響きがたまらない。また、飾ってあってもロクに観てない絵や民藝品にも、スポットライトが当てられる。次に、栄養ドリンクを飲むのと同じように、強烈なカフェインによって、とにかくキレッキレの午後が過ごせる。そして最後に、私は胃腸が弱いのだが、なぜか一服した日は頗る胃腸の調子が良くなるのだ。
そもそも、この喫茶習慣を始めたのはつい最近で、動機もイマイチなものである。私は本来なら今頃、海外の大学に出向中の予定だった。そして、現地で薄茶を振る舞うイベントでは、学生時代にちょろっと裏千家の茶道を齧っただけの私が、お茶会の担当になってしまったのである。そこでコッソリ茶道具を買い揃え、イベントまで練習するつもりでいた。ところが、折悪しく国際情勢の悪化に伴い、出張ごとマルっと急遽中止となった。そして、茶道具も抹茶も宙ぶらりんになってしまったのである。このまま道具も抹茶も放置しておくのはなんだか悔しくて、最初は意地で点て始めたというわけだ。
しかしまぁ、結果往来で良い習慣を身に付けたような気がする。是非是非、朝の一服はオススメしたいところである。
だが、問題が一つある。お茶の入手だ。空前の日本ブームのせいで、抹茶がなかなか手に入らないのだ。有名店だと、お一人様一日一品まで、というような購入制限があったりする。
ちなみに私のオススメは鹿児島茶の抹茶だ。東京の自由ヶ丘に喫茶室がある店で、ネット購入もできる。芳醇でフレッシュな香りと、後味も爽やかで飲みやすいのが特徴だ。初心者向けでもあるし、気楽にお薄が楽しめると思う。
