感性を活かす描き方(安心)
これは、わたしの描き方の特徴なので、参考程度に聞いていただけるとありがたいです。
みなさんは、何か作品を描くときに、テーマをある程度決めておられるのではないかと思います。
例えばわたしのファンタジー小説『滅国の英雄』(本編)は、少しシリアスな話になっているんですよね。
ですから、「不安」というものに対して向き合う必要があるというテーマになると思います。
そうするとなんですが…
わたしが「不安」を考えて、描かないといけないんですよね。
そうなってしまうと「不安」を描かなくてはいけないことにとらわれて…
ただただ、怖いだけの話になってしまうんですよね。
なので、逆に楽しいことも考えながら…「不安」描くみたいに。
最初は頭の中で交互にやっていました。
ところがなんですが、これをずっとやっていると…
すごく、疲れます。
なぜ、疲れるのかというと、その楽しい情景は本編で多く描かないのに…
頭の中で考えて、消すような感覚だからですね。
(本当に忘れそうにもなる感覚)
そして、修正するときには消した情景をまた思い出す必要があるんですね。
脳への負担が大きすぎました。
なので、一旦本編が終わった時に、こう思いました。
この作業こそ非効率であると。
何が、もったいないのか。例えばです。
セレスにも、『こんな過去があったんだけど』…
今はこんな状況なんだよな。
『こんな過去があったんだけど』を、頭の中で毎回描いては、消していることですよね。これは、わたしの感覚で無駄だと思えました。
「なぜ、わたしはこの情景を残さないのか…」
楽しさの反対が、悲しさ、悔しさ、切なさ…ですから。
過去の楽しい情景が、今はそうでないという対比がないと、
今(本編)が描けないという感覚です。その逆もそうです。
究極的にいうと…「別に国が滅びても、どうでもいいよね」
こうなったら、本当に「滅国」です。
滅びるわけにはいかない理由を常に描く感じですね。
でも、それが本当に正しいのかも考えて描きます。
そう思った時に。
よし!過去編は楽しい話を描いておけばいいじゃないかと。
こうなったんですよね。
◇
人間同じ事ばかりを考えていると、精神が疲れます。
視野が狭くなって、アイディアも出にくくなるんですよね。
ですが、断章の中の楽しい話を描いておくと、楽なんですよね。
楽しい思い出もあった(断章)…が…今は(本編)こうなっているんだ。
これが、キャラの心理描写を描くときに楽になる。(見えやすい)
師匠とナギの話、断章「漆黒の一族」を描いた後。
セレスから見ると…(知らない過去)
「なんで、師匠はこんなに堂々としていられるの?」
こうなるわけなんですが。
主人公から見ると…(知っている過去)
「ナギを中心とする『チムニースイープ』もいるし、たぶん大丈夫だろ」
こんな感覚で、わたしが描けるんですよね。
その次、師匠とセレスの話、断章『魂の継承者』を描いた後になると…
セレスからすると…(知っている過去)
「いつも、師匠は助けてくれた…けど…さすがに今回は…」
「あの時の想いが…やはりわたしの力では…期待に応えられない…」
こういう感じになります。
主人公からすると…(知っている過去)
「わたしの弟子は優秀だから、たぶん大丈夫だろ」
こういう雰囲気で描くんですね。
この感覚のズレが見えやすいんですよね。
そして、番外編を描いた後は…となっていく。
このように、心理描写の各キャラのズレが見えてきます。
楽しいと厳しい。過去と今。これを往復することで。
今(本編)の感情がリアルになっていく感覚です。
そして、セレスから見えるズレの感覚が。
未来が…見えなくなっていく描写が濃くなる。
◇
わたしの感覚では、資料を2つ(過去と今)用意して見比べる感覚です。
そうすると、ここは、もう少しこの過去があるから…こうじゃないかな?
というように、じぶんの中で根拠をもって描ける感じになります。
感性(その日の気分)で描くと話がすすむ感じもありますね。
今日は気分がいい。楽しい話の部分をちょっと見直そう!のように。
この描き方でわかったこと。
『滅国の英雄』シリーズにおいて、分類わけしてみると。
・シリアスパート 本編 居場所の話
・コメディパート ナギのお遊び
・真面目で感動的なパート 友情 跡継ぎ 想い
だいたい同じくらいの比率になっているかなと思います。
この中で一番頭を使うのは、シリアスパートだなとわたしは感じますね。
というのも、そこが崩れると本編が大きく崩れるからだと思います。
でも、楽しい遊びや感動的な情景を描いているからこそ。
自信をもって、本編に取り組めるようになれると思います。
(何を守るのかという問いやカタルシスの描き方)
◇
わたしは、中編くらいのサイズが向いていると思いました。
そんな、わたしから見ると。
「短編で新たなストーリーが描ける方は凄いなー」
「長編でストーリーが描ける方が凄いなー」
こうなるわけですが。
短編を描いている方は…
「中編も描いてみたいな…」
長編を描いている方は…
「中編くらいのサイズでまとめてみたいんだよな…設定が多くなって…」
みんな悩んでいるということを、最近知りました。
この状態が、わたしの小説『滅国の英雄』における…セレスの状態。
そのため、わたしが『滅国の英雄』で学んだことは…
この主人公(師匠)から見える安心の感覚。
何かに今挑戦し、その未来に不安になりそうなとき。
何かが、見えなくなってくる感覚になりそうなとき。
「たぶん、大丈夫だろ」
じぶんの中に、こう思える何かがあるだけで
気持ちが軽くなるということだと思う。
ファンタジー小説『滅国の英雄』という中編作品を描いた中で
わたしが感じた、『わたしが大切にしたい安心』とは…
この感覚を忘れないようにすることだと
物語の創作者として、強く想う。
『わたしは、時代を描かない』
『わたしは、わたしの生きた時代を描く』
▼『滅国の英雄』シリーズはこちらからどうぞ(全11話)
