国民民主党「令和8年度税制改正についての考え方」解説(第19章〜第21章)
今回は地方創生、固定資産税、そして印紙税の話です。特に固定資産税の問題は、都心でマンションや店舗を持ってる人には切実な話。そして印紙税廃止の提案は、「なぜ今まで残ってたの?」って思う時代遅れな税金の話です。
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第19章:地方創生版エンジェル税制の創設
第19章は、既存のエンジェル税制を地方創生に活用しようっていう、すごく面白いアイデアです。
エンジェル税制のおさらい
まず
「既存のエンジェル税制を地方創生のために拡充し、地元のスタートアップ企業への地元住民による投資に対して、減税措置をさらに拡大させます」
エンジェル税制っていうのは、スタートアップに投資した個人に対する税制優遇でしたよね。第18章で出てきました。
で、国民民主党は「これを地方創生に使おう」って言ってるんです。
優遇措置Aの拡充
「スタートアップ企業への投資にはエンジェル税制という特別な減税措置が存在しますが、その中の優遇措置Aを、地元住民による地元スタートアップ企業への投資の場合さらに拡充させます」
エンジェル税制には2つの優遇措置があるんです。
優遇措置A:投資した年に、投資額を所得から控除できる
優遇措置B:株を売却した時に、取得価額を控除できる
国民民主党が拡充しようとしてるのは、優遇措置Aの方。
具体的な拡充内容
「具体的には(投資額―4000円)をその年の総所得金額から控除し課税繰延を許すと共に、控除上限を総所得金額1600万円 or 総所得金額×80%のいずれか低い方とします」
今の制度だと、控除額とか控除上限がもっと厳しいんです。でも地元のスタートアップへの投資なら、もっと優遇しようってこと。
例えば、地元のスタートアップに100万円投資したとします。
現行制度だと、控除額は限られてるんですが、地方創生版だと「100万円−4000円=99.6万円」を所得から控除できる。
しかも控除上限が「総所得金額1600万円 or 総所得金額×80%のいずれか低い方」。
つまり、年収2000万円の人なら、1600万円まで控除できる。年収1000万円の人なら、800万円(1000万円×80%)まで控除できる。
これってかなり大きな優遇ですよね。
企業と地元の相乗効果
「こうすることで、企業側は地元からの投資を増やすため、地元の利益となる企業活動をするようになり、一方で投資家をはじめとした地元住民たちは当該企業を支えていくという相乗効果が生まれ、企業と地元双方にとって利益のある地方創生手段になり得ます」
これが面白いポイント。単なる減税じゃなくて、地域の経済循環を作ろうってことなんです。
例えば、地方都市に住んでるAさんが、地元のスタートアップに投資する。そのスタートアップは、地元の課題を解決するビジネスをしてる。例えば高齢者向けの配食サービスとか、地元農産物のオンライン販売とか。
そうすると、Aさんにとっては税制優遇があるし、スタートアップは資金が集まる。で、そのビジネスが成功すれば地元が活性化する。地元が活性化すれば、Aさんの生活も便利になるし、投資のリターンも得られる。
みんなハッピー、っていう好循環が生まれるわけです。
大都市への集中を防ぐ仕組み
ただし問題もあって、
「ただし全国で同施策を一律に実行すると、東京等の大都市に企業も投資家も集中してしまう可能性が高くなってしまいます」
確かにそうですよね。東京には投資家も多いし、スタートアップも多い。全国一律で優遇したら、結局東京だけが得をする。
だから国民民主党は、こう提案してます。
構造改革特区での展開
「あくまで地方創生が目的であることから、構造改革特区等の中で、財政力指数の低い地方自治体を中心に本施策を展開していきます」
つまり、東京とか大阪とかじゃなくて、財政力の弱い地方自治体でこの制度を使おうってこと。
構造改革特区っていうのは、特定の地域で規制を緩和したり、特別な制度を試したりする仕組み。国家戦略特区とかもそうですね。
財政力指数っていうのは、自治体の財政力を示す指標。この数字が低いほど、自主財源が少なくて、国からの交付税に頼ってるってことです。
地方の実情に合わせた制度設計
この制度の素晴らしいところは、「画一的じゃない」ってことといえるのではないでしょうか。日本全国で同じ制度を適用するんじゃなくて、地方の実情に合わせて、本当に必要なところで使う。
東京は放っておいてもスタートアップへの投資は集まる。でも地方は集まらない。だったら地方だけ優遇しようっていう、すごく現実的なアプローチです。
地元愛を経済に変える
この制度の背景には、「地元を応援したい」っていう気持ちを、経済活動に結びつけようっていう発想があります。地方に住んでる人の中には、地元愛が強い方が多くいらっしゃいますよね。「自分の町を良くしたい」「地元の若者を応援したい」って思ってる。でも、その気持ちを形にする方法が限られてた。ふるさと納税くらいでしょうか。
でもこの制度があれば、地元のスタートアップに投資するっていう形で、地元愛を表現できる。しかも税制優遇もあるから、経済合理性もある。
地域金融の活性化
もう一つの効果として、地域金融の活性化も期待できます。
今、地方銀行って厳しいんですよ。人口減少で融資先が減ってるし、超低金利で利ザヤも稼げない。
でもこの制度があれば、地方銀行が地元のスタートアップに投資するファンドを作るとか、新しいビジネスチャンスが生まれるかもしれない。
地方銀行が「地元のスタートアップ投資ファンド」を組成して、地元住民から資金を集める。投資家は税制優遇を受けられるし、地方銀行は手数料収入を得られるし、スタートアップは資金調達できる。
三方良しのビジネスモデルができるかもしれません。
成功事例の横展開
この制度を特区で試して、うまくいった事例を他の地域にも広げるっていう戦略も見えます。
例えば、ある地方都市でこの制度を使って、地元のITスタートアップが成功した。雇用も生まれたし、税収も増えた。
そういう成功事例があれば、「うちの町でもやろう」って広がっていく。これが「横展開」です。
課題は適格なスタートアップの見極め
もちろん課題もあります。
一番の課題は、「どのスタートアップが投資に値するか、地元住民がどう判断するか」ってこと。
プロの投資家でも、スタートアップへの投資は難しい。素人の地元住民が投資して、失敗したらどうするのか。
だから、何らかのサポート体制が必要でしょう。例えば
自治体や商工会議所による「認定制度」を作る
投資先スタートアップの審査基準を明確にする
投資家向けの教育プログラムを提供する
少額から投資できるクラウドファンディング的な仕組みを作る
こういう仕組みとセットで進める必要がありますね。

第20章:超金融緩和の恩恵を受けていない事業者の「固定資産税減税」
第20章は固定資産税の話。これ、都心で不動産を持ってる人には切実な問題なんです。
公示地価の上昇という現象
まず現状認識から。
「現在、公示地価が上昇しています。これは、異次元の金融緩和に基づく金余りの影響であり、都心マンション等では1990年前後のバブルピーク時を上回る水準に達しています」
公示地価って、国土交通省が毎年発表する土地の価格。これが今、すごい勢いで上がってるんです。特に都心部。東京の一等地のマンションとか、億単位の価格が当たり前。しかもバブル期を超えてるっていうんだから、異常ですよね。
金余りの影響
なぜこんなことになってるかっていうと、「異次元の金融緩和」のせいなんです。日銀が10年以上も大量にお金を市場に流し込んできた。金利もゼロ。お金を借りるコストがタダ同然。
そうすると、お金持ちや投資家は、そのお金をどこかに投資しなきゃいけない。でも株式市場も不安定だし、債券は利回りが低い。じゃあ不動産に投資しよう、ってなるわけです。不動産なら実物資産だし、賃料収入もあるし。
で、みんなが不動産を買うから、価格がどんどん上がる。これが「金余り」の影響です。
恩恵を受けていない人たち
ここが重要なんですが、
「業績が低迷する中での固定資産税増税は回避します」
不動産価格が上がって得してるのは、不動産を売る人とか、新しく買う投資家です。でも、ずっと前から不動産を持ってて、そこで商売してる人はどうか。
例えば、20年前に都心に小さなビルを買って、そこで飲食店を経営してる人。不動産価格が上がっても、売るつもりはない。だから値上がりの恩恵は受けてない。でも固定資産税は、公示地価に基づいて計算されるから、地価が上がれば税金も上がる。
原材料費は上がってる、人件費も上がってる、でも固定資産税まで上がったら、もう商売できないですよね。
固定資産税の仕組み
固定資産税っていうのは、土地や建物を持ってる人が毎年払う税金。税額は「固定資産税評価額×税率(標準は1.4%)」で計算されます。固定資産税評価額っていうのは、公示地価の70%くらいが目安。
だから公示地価が1億円の土地なら、評価額は7000万円くらい。税額は7000万円×1.4%=98万円。
でも公示地価が2億円になったら、評価額は1.4億円。税額は196万円。
倍になっちゃうわけです。
金融緩和の副作用
「この公示地価に基づいて固定資産税が増税されることは企業や事業者、また土地売却等の恩恵を何ら受けていない企業、事業者、個人にとっては大きな負担です」
これは本当にその通りで、異次元の金融緩和っていう政策の副作用なんです。政策の恩恵を受けた人(不動産投資家とか大企業とか)と、副作用だけ受けた人(中小の事業者とか個人とか)がいる。
これは不公平ですよね。
公示地価の調整か減税か
国民民主党の提案は2つ。
「固定資産税に適用する公示地価の調整、あるいは固定資産税の減税を行うことで、超金融緩和の副作用から国民を守ります」
方法1:公示地価の調整
固定資産税を計算する時に使う公示地価を、実際の公示地価より低く設定する。例えば、実際は2億円だけど、固定資産税の計算では1億円として扱うとか。
方法2:固定資産税の減税
税率を下げる。標準税率1.4%を、例えば1.0%にするとか。あるいは一定の条件を満たす事業者は税額を半減するとか。
どちらの方法でも、納税者の負担は減ります。
国の責任で実施
重要なのがこの部分。「なお、減税を行う場合は、国の責任で行い、地方自治体の負担とならないようにします」
固定資産税って、地方税なんですよ。市町村の収入になる。だから固定資産税を減税すると、市町村の財政が苦しくなる。でも、地価高騰の原因を作ったのは国の金融政策なんだから、減税で減る分は国が補填しますよ、っていう提案です。
これは筋が通ってますよね。地方自治体に迷惑かけないっていう配慮が見えます。

第21章:デジタル化に逆行する「印紙税廃止」
第21章は印紙税の廃止。「なんで今まで残ってたの?」っていう税金の話です。
印紙税は時代遅れ
まず冒頭でズバッと言ってます。
「印紙税は電子決済等の技術革新や社会のデジタル化に逆行する時代遅れの制度であり、『百害あって一利なし』です」
「百害あって一利なし」って、かなり強い表現ですよね。それだけ印紙税が問題だってことです。
印紙税って何?
そもそも印紙税って何かっていうと、契約書とか領収書とかに貼る「収入印紙」の税金です。
例えば、100万円の請負に関する契約書を作ったら、200円の収入印紙を貼らなきゃいけない。1000万円なら1万円の印紙。金額が大きくなるほど、印紙代も高くなる。
貼り忘れたら過怠税っていうペナルティが課されます。
印紙税導入当時の社会環境
「印紙税導入当時の社会環境やビジネス環境や一変しており、これを継続することは社会やビジネスのデジタル化の流れに逆行します」
印紙税っていつからあるかっていうと、とっても古いんですよ。明治時代からあります。当時は紙の契約書や領収書しかなかった。だから「重要な書類には税金をかけよう」っていう発想で作られた。
でも今は電子契約が当たり前の時代。
紙と電子の不公平
ここが一番の問題なんですが、紙の契約書には印紙税がかかるけど、電子契約には印紙税がかからないんです。同じ契約なのに、紙だと課税、電子だと非課税。
これ、おかしいですよね。しかもデジタル化を進めようって言ってるのに、紙を使うと税金かかるって、完全に逆行してる。
企業の対応
だから企業は、印紙税を節約するために、できるだけ電子契約にしてるんです。でも取引先が電子契約に対応してなかったら、紙の契約書を作らざるを得ない。そうすると印紙税がかかる。
特に中小企業とか個人事業主は、電子契約のシステムを導入するのが大変。だから紙のまま。で、印紙税を払い続けてる。これも不公平ですよね。デジタル化できる大企業は印紙税を払わず、デジタル化できない中小企業は払い続ける。
印紙税の実務負担
印紙税って、税額は大したことないように見えるけど、実務負担がめちゃくちゃ大きいんです。
まず、契約書の金額を確認して、印紙税額を調べて、郵便局に印紙を買いに行って、契約書に貼って、割印を押す。領収書を発行するたびに、金額を確認して、5万円以上なら200円の印紙を貼る。
これ、めちゃくちゃ手間じゃないですか。しかも貼り忘れたらペナルティ。経理担当者の負担が大きいし、ミスも起きやすい。
廃止の提案
だから国民民主党は「このため、印紙税は廃止する」ってハッキリ言ってます。もう要らないでしょ、この税金。時代に合ってないし、デジタル化の邪魔になってるし、事務負担も大きいし。廃止して問題ない。
税収確保の代替案
ただし、税収は確保しなきゃいけない。印紙税の税収って、年間1兆円くらいあるんですよ。
だから国民民主党は代替案を出してます。
「印紙税は廃止するとともに、税収確保の観点から、電子決済普及を促進するとともに、電子決済に対する『1円課税』等の新たな税制を検討します」
ここで1円課税って何?って話になりますが、これ以上のことは書かれていません。面白そうなので詳しい説明を聞いてみたいところです。

はい、ここまでが第19章から第21章の解説でした。どれも「時代の変化に合わせた税制改革」っていう共通点がありますね。地方創生も、金融緩和の副作用対応も、デジタル化対応も、全部「今の時代に合った税制」を作ろうっていう提案です。
特に印紙税廃止は、「なんで今までやらなかったの?」って感じです。明らかに時代遅れなのに、惰性で残ってる税金。こういうのをバッサリ切るっていうのは、評価できると思います。
次回は第22章以降、法人税とか国際課税とかが登場します。お楽しみに。
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