あなたのことは嫌いです。【いつか季節が廻ったら #15】
まだまだ半袖。それでも少し暑さがマシになったころ、私達は面談した。
事務局にも入ってもらった。
日程をどうするか悩んだ。近い日程にすると、私の考えがまとまらず、怒りや悲しみが襲ってきて、言わなくていいことを言ってしまう可能性がある。
悩みに悩んで、「データのこともあるし、忙しい期間に入ったので、本当に申し訳ないけれど」と言葉を添えて、約10日後に設定した。
何をどうやって伝えるか、
これまでのことから、伝わっているのかよくわからないと思うことが多々あった。少し深い話をすると、とたんに反応が薄くなるのだ。心に届いているのかわからない。
学生相談室に伝え方について聞きに行こうと思ったけれど、あいにく予約が取れなかった。
どうして大学に来ることが
私の「機嫌」を取ることになってしまったのか。
ずっとわからなかった。
そして、こんなにうまくいかなくなっても、
年下彼は大学に「先生がパワハラした」とは言わなかった。
「関係性が悪い」と言った。事実通りだ。
学生が言ったもん勝ち風潮の強い大学、
いくらでもこちらを陥れることはできたと思う。
関係性が悪いなら、指導者を変わることが出来ると、大学事務局は提案していた。
「そういうことじゃないんです。」
・・・?
「先生との関係性が悪くなったら研究ができない、のか研究に対してモチベーションが下がったのか、さいごまでよくわかりませんでした。」事務局担当者はのちに私に言った。
彼のモチベーションは「先生」ありきだったと今になって思う。
私だからやろうと思ったのであり、ほかの誰かと研究するという選択肢はきっとなかった。だから、学科長がゼミの先生を変えると面談で言ったころから、きっと、ああもう自分はダメだ、先生に見捨てられた、そう思っていたかもしれない。
学科長が年下彼と私に対して、いい加減な対応しなかったことも、もしかすると拍車をかけたかもしれない。
時間は戻らない。
面談の時、聞いてみた。
「年下彼君は、私のこと好き?」
「嫌いです」
告白もしてないのに嫌いって言われてフラれた、と思った。
これまで生きてきて、面と向かって言われたのは初めてだった。
と同時に、あ、これは本心じゃないのかもなあ、と思った。
「いつから?」
「3月からです。」
「そっか。」
面談では終始ふてくされていた。
悪態をつくところも、ずっと見てきた年下彼そのものだった。
私の心は静かだった。
後から思った。
「私は大好きなんだけどな。年下彼君のこと」
言えばよかったと。
私は、ちょっと
「えっ?」って驚いたときに、ちょっと頭を後にして眉毛を動かす癖がある。
しばらく話していて思った。年下彼には私のしぐさが移ったままなのだ。この状態になった今でも。
仲良かったころ、
年下彼が私を慕ってくれていたころ、いろんな話をした。きっとそのころ移ったのだろう。
「先生が自分で決めろと言ったから、退学と決めた。文句ないでしょう。」
「先生のわからずや!」
ふてくされた態度がそう言っているように見えた。
