VRダンスレッスンへの思い
VRP Dance Studioは、『VRダンスシーンの発展』を目的として活動しています。
なぜ、そのために作ったのがダンススタジオなのか。今日はそれをお伝えできたらと思います。
まずは簡単な自己紹介から。
VRP Dance Studio代表のたみです。
中学3年生から21年間ダンスをしています。
最初はOld Schoolの真似から始め、
たまたま足を運んだワークショップでインターロックを学びます。
それから10年間はBPM80~100のインターロック用の35分のテープを毎日流して練習し、独学でダンスを身に付けていきました。
たまに来る有名なダンサーのワークショップを手あたり次第に受け、大学生のときはデビー・レイノルズ・ダンススタジオに通い2週間で40本のレッスンを受けました。
誰かの技術を身に付けたというよりは、ダンスの技術で知らないことは何でも知りたかったという感じでした。なので、固定の先生はいません。
ダンス部やダンスサークルでは指導役をすることが多かったので、
気付けば、どのレッスンに行っても、ダンスの技術と同時に「教え方の技術」を吸収しようと努めていました。
みんなそうなんだと思っていました。
違うということに気が付いたのは、大人になってからでした。
ここまでにバトルは毎月1本は出ていたので50本以上、ショーは年6回くらいだったので30本くらい出ていたと思います。
大学3年でスポーツクラブのダンスプログラムを担当し、卒業後は2年間HIPHOPのインストラクターをしていました。
そんな僕がVRに手を伸ばしたきっかけ、についてはこの場では関係ないので割愛します。
話を2022年まで進めます。
当時ぽっともダンス部で毎週木曜にHIPHOPのレッスンをしていた僕は、
日に日に「VRダンス」、そして「VRダンスレッスン」の魅力に、価値に、気づいていきました。
このシーンは、みんなで大切に育てていかなければいけないものだ、と確信したのです。
そこは、「ダンスの知識」が十分に浸透していない世界でした。
まるで、異世界転生したような気持ちです。
僕が前世の経験をもとに新たなメソッドを持ち込むと、
それはあっという間にその世界の新常識となるのです。
こんなに恐ろしくて、そしてやりがいがあることは今まで経験がありませんでした。
そして僕は、この世界でなら、前世で絶望したダンスシーンとは違う道を築くことができる。そう考えました。
その年の4/3、VRダンスシーンでインストラクターとして活動する同志の集い、「Vトラ連盟」を発足します。
が、インストラクターとして指導する技術が浸透しておらず、ダンスレッスンをするにもどうすれば良いかみな分からない状況。
申し遅れましたが、僕はブラックと有名な小学校教員、そして当時は1児、今は2児の子をもつ父親です。自分ひとりで使えるプライベートの時間はほぼ全てVRダンスシーンを発展させることを考えて生きてきましたが、他の人がインストラクターとしてレッスンができるよう指導する時間までは取れませんでした。
「インストラクターとして活動するVRダンサー」という選択肢を定着したくて始めましたが、誰かが旗印とならなければうまくいきません。
どうしても諦められませんでした。
なぜそんなにこだわったか。
VRChatには、当時イベントで踊るダンサーはたくさんいましたが、
みんなダンスの知識はあまり持っていませんでした。
もちろん、知識がなければ技術の発展も遅いです。
職人技のように、自身とアバターとの融合を果たした稀有なダンサーだけが
感覚だけで人を魅せるショーをしていたのです。
この世界には、人に習っていないダンスを踊るダンサーが多い。
誤解がないようはっきり言っておきますが、悪いことではありません。
僕にとっては、それもVRダンスシーンの希望であり、生かしていきたい特徴の一つです。
その人たちが、その人たちの得た独自の「感覚」を言語化して人に教えられるようになれば、VRダンスのための新たな指導法も確立されると考えています。
僕はVRダンスはそのような選ばれしものだけに与えられるものではなく、アバターを使う全ての人に楽しんでもらいたいと思っています。
それくらい手軽で、身近で、敷居の低いものを目指しています。
「アバター」と「ダンス」の相性。
自分の好きなアバターを選び、その子が魅力的なダンスをできるとしたら。
動画を撮って人に見せたり、自分だけで楽しんだりしてもいい。
それを、もっとたくさんの人が平等に学ぶ機会が与えられるようになれば、みんなが自分の好きを自由に表現できる幸福なダンスシーンが築けるのではないかと。
しかし、そうはなりません。
知識をもつ人が、それを与える人が、インストラクターがいない。
その原因は、おそらく今のVRchatのいびつさにあります。
プロが趣味でワールドを作ってタダで公開するような世界です。
ダンスシーンも例外ではありません。
現実の世界では、インストラクターは仕事です。
報酬がもらえるから、生活のためにそれが必要だからやるものです。
それを、趣味でやろうとする人がどれくらいいるでしょうか。
毎晩クラブで酒を飲んで音楽が聴ける。
イベントで人前でショーができる。拍手がもらえる。
「機材以外は」基本無料のこの世界で、
その楽しみを蹴ってダンスレッスンにやりがいという報酬を見出す人が。
少ないのは分かり切っています。
でも、必要なんです。
少なくとも僕が知ってる。
VRでダンスレッスンをするということの「楽しさ」を知る僕が、
インストラクターが趣味として成立しうることを、
その身をもって証明したい。
そう考え、9/5、「VRダンスシーンの発展」を目的にかかげ、VRP Dance Studioを設立しました。
設立されてからの注目度はかなりのものでした。
雑誌ananに取り上げられ、テレビに3回出演しました。
アバターとダンスの相性が良いように、
VRとダンスレッスンというのも非常に相性が良い。
リアルの動きが正確に再現できないため、
工夫は必要になりますが、
ダンスが習える、しかも自分の家で、
しかも生身じゃなくて、アバターで。
ダンスができたら面白そうだなぁ、とは思っていても
リアルでダンスレッスンに通えない人の理由の多くが解決される。
需要があるのは確認できました。
ダンスレッスンの認知度が上がれば、その需要はさらに増すはずです。
その先は、歴代のインストラクターみんなで頑張りました。
平日の夜にダンスレッスンを開催するのは、
仕事が終わってからボランティアを主催するようなものです。
そうそう長くは続きません。
誰かがやめても、また誰かが初めて、
バトンをつないでくれた。
ダンスを教えるという文化をつないでくれた。
そして、今やそれは日常となりつつあります。
しかし、その日常の裏には今でもインストラクターたちの苦労があり、
「楽しい」だけでやれている人は、やはりリアルのダンス経験者が多い。
この状況を何とかしたい。
頑張ってくれている人に、お金ではなく、「楽しい」と思えるという報酬を用意したい。
そのために、僕はダンスシーンの中でインストラクターが注目を浴びる立場となる環境を整えたいと考えています。
まず、僕のもつ知識と、指導技術の伝達。
これは大きな武器になるでしょう。
それを、ダンスレッスンではなくインストラクターのためのクラスで伝授することで、自信をもってレッスンができるようになる手助けになると信じました。
そのまま自分のダンスクラスを継続していてはいつまでも実現する時間がないので、今まで大切に実施してきた「たみクラス」をやめて、
本気で取り組むと決めたのです。
それが、この「インストラクター育成クラス」です。
そしてもう一つは、発表会イベント「First Step」でのインストラクターの活躍です。
今年は、アニメーションによる省略のないダンスショーを取り入れています。インストラクターの撮影した動画でしか見たことがないクオリティのVRダンスを、目の前で見ることができます。
しかし、これは来年予定している、より大きなプロジェクトの布石です。
シーンの担い手であるインストラクターが、インストラクターをやっていて良かった、楽しい、と思える仕掛けを、僕ができる限りで用意したいと考えています。今は全貌を明かすことができないので、来年の開催を楽しみにしていてください。
今までとは比べ物にならない大きなプロジェクトとなるはずです。
僕は、VRダンスシーンにおいて優秀なリーダーではありません。
僕が考える優秀なリーダーとは、時間が豊富にあり、スタッフ一人一人と密にコミュニケーションを取り、悩みを聞き取り、状況を把握し、良い方向へと導いていける者です。
船に例えると、クルー全員に気を配り、みんなで一緒に同じ船に乗って目的地を目指す船長です。
僕にとっては、一番に家族が大事です。家族全員に、今日が最高の日だったと思って眠ってもらうのが僕の一番の責務で、やりがいだと思っています。
仕事も楽しい。全力で楽しんで、できる限りの結果を出し、残業は1時間以内におさえて帰り、次の日また笑顔で頑張ることをモットーに全力で子どもたちと向き合っています。公務員なので、VRPを会社にすることはできません。今はNPOも無理です。それができる人が代表であれば、もっと有効な手立てを山ほど打てるでしょうが、僕にはできません。
仕事以外のプライベートで、しかも毎日家族に不満な思いをさせることなく、残った時間でVRダンスシーンを発展させるために自分ができる効果的な手を打たなければなりません。
こちらを船に例えると、目的に向かってひたすら前を向き、リタイアするクルーがいても満足にフォローできるタイミングがなく、ついて来られるクルーと一緒に進み続ける船長。これが僕です。船を降りたクルーを待っていては、目標とする世界には到底到達できないからです。ひどいやつです。
やり始めたけど結局やめたものもたくさんあります。
飽きたのではありません。飽きてやめたものは一つもありません。
単純に、時間がないから仕方なくやめたのです。
僕は、日々より効果的な手を探り、本当に継続するべきもの、僕がやらなければならないことを見定めなければなりません。
現実世界において、ダンスというものの地位は、残念ながら低い。
近年ではアーティストとして評価されるダンサーも増えてきましたが、
今までずっと長い間、ダンサーというのは決まって路上やクラブ、晴れ舞台ではアーティストの後ろにいるものでした。
僕は、VRの世界では、ダンスを芸術として認めさせたいと考えています。
VRダンスを牽引する人が、長いものに巻かれ、ダンスを食われるものとしてただ消費される発展の仕方を選べば、簡単にそっちに流れていくでしょう。
僕はそれが嫌だ。
リアルの世界ではまだ成し遂げられていない、多くの人の日常にダンスがあり、大人も当たり前のようにダンスレッスンに通い、みんながダンスに夢中になる世界をVRで達成したい。
そう考えています。
VRダンスにはその価値も、可能性もあります。
リアルでは、踊ってみたやTiktok、Youtubeショートでダンス動画を発信するインフルエンサーの功績で、ダンスというものがぐっと一般的になりました。
それでも、まだ一部の人たちが発信するものであり、受信する側の人の方が圧倒的に多い。
多くの人の日常にダンスを。もしかしたら、VRではそれができるかもしれない。
そして、そのために必ず必要なピースがインストラクターなのです。
ちなみに、僕はいつまでもインストラクターが無償である必要はないと思っています。
VRでのインストラクターが仕事として成立する時が来れば、供給量が増える。その方が良い可能性もある。
しかし、お金を払うとなったことで敷居が上がるのであれば、無償のダンス教室の需要が消えることはないでしょう。
そして、VRPのインストラクターたちのように、それに応えようとする人もいるはずです。
そのバランスがどうなるかは分かりませんが、VRダンスを多くのVRChatterにとって身近な存在にするというゴールだけは死守したいと考えます。
それがブレると、VRでも結局ダンスはアートとして評価されない世界線に収束するでしょう。
今回、インストラクター育成クラスを4か月実施しました。
今日をもって一期を終了します。
次のステップに進み、今後は他のインストラクターを含めて、
「指導者の技術交流を行う場」を企画していきます。
やっと、僕がVトラ連盟でやりたかったことを実現するフェーズに来ました。長かったです。うまくいくかも分かりません。
効果が薄いと分かれば、一度やめて、必要なピースを埋めてからまたここに戻ってくるだけです。今までずっとしてきたことと同じです。
いずれは第二期も実施したいと思います。
それによって他のことがまたできなくなる、ということにならないよう、
今回の一期でアーカイブ動画を撮影しました。
第二期以降は、その動画を使って新たな同志を集め、
「指導者の技術交流を行う場」を活性化させていきたいと考えています。
もちろん、僕一人ではそんなに頻繁に実施できないので、年に1期が精一杯でしょう。
僕の理想に共感し、何かしたいと考えてくれた人は、是非インストラクターまたは運営チームとして一緒に活動してほしいと思います。
インストラクター育成クラスで教えたことは、きっとダンスのインストラクター以外でも役に立つ内容だったと思います。ですが、参加したメンバーには、できればこのままVRPでインストラクターを続けてほしいと思います。
僕はこれ以上無理強いはしないのであとは個々の判断に任せます。
今回の企画とは違い、個々のクラスをもつようになれば、
需要があるものにしか人が来ません。
ですが、逆に言えば、来てくれる人は、あなたのレッスンを本当に必要としてくれる人となります。色んなイベントがある中で、わざわざそのダンスレッスンを来てくれるのですから。
これはやっている人にしか分からない幸せですし、それに応えるためにインストラクターとして一生懸命になるのも「楽しい」ものです。
一人一人DMを送るので、興味があれば是非継続してみてください。
それでは、本日のレッスン「VRダンスレッスンへの思い」
をもちまして、インストラクター育成クラス第一期を終了します。
インストラクターとして参加してくれた人も、レッスンに参加してくれた人も、今日はじめて来てくれた人も、ご参加いただきありがとうございました!
実は、全てのレッスンに参加してくれたとーしろさんが
第一期のインストラクターたちに感想を贈らせてほしいとわざわざDMをくれました。
一度バトンタッチしたいと思います。
とーしろさん、前に出てきてください。
~とーしろさんの話~
ありがとうございました。
ダンスシーンの発展に期待してくれているということが伝わってくる
話でした。
インストラクターはもちろんですが、参加者の中にもこうやってシーンの発展に強い思いをもってくれている人がいるということを誇りに思います。
こういうとき、みんなで作っていってるんだなというのを実感できて
幸せな気持ちになります。
自分の時間を全て費やすのに値する楽しい趣味です。
僕は、心から楽しんでVRPの代表をやっています。
代表として十分なことができているわけではないので、僕やVRPの活動をもどかしく感じる人は、自分で団体を作ってください。してほしいことがしてもらえないと思うなら自分で行動してください。絶対に、時間がある人がやった方が良いと思います。
それは僕の目指す「VRダンスシーンの発展」の役に立つので、非常に助かります。
さて、最後に告知をさせてください。
インストラクター育成クラス一期終了に伴い、
これをするために我慢していた活動を再開したいと考えています。
VRP代表のダンスレッスン、
たみクラス、来年1月に復活予定です。
しかも、今回は新たな試みで全く新しいダンスレッスンとして
リニューアルオープンします。
また大げさなこと言って、と思うかもしれませんが、
本当です。
これも今はこれ以上言えないので、12月中の情報解禁をお待ちください。
それでは、みなさん、お疲れ様でした!!
本当にこれで終わります。
