チャイデモの悪夢を超えて:スラッシュの「All New」に賭ける最後の希望「GUNS N' ROSES」入門
「25年前に私がギターを手にした時、その指先が探していたのは常に彼らが撒き散らした『危険な香り』でした。 1987年にLAの路地裏から現れた5人の野良犬達が世界を席巻しました。アルバム『Appetite for Destruction』です。それは単なるロックの名盤ではありません。美しさと汚濁・計算と衝動が奇跡的なバランスで結晶した人類史上最も美しい『猛毒』でした。
私は普段、ストラトを使用しています。なぜこの泥臭く、そして不器用で常に崩壊の予感を孕んだバンドに人生を預けてしまったのか?その答えを探す旅が始まりました。」

GUNS N' ROSESとは?
1985年に結成したロサンゼルス出身のバンドです。1970年代からのアメリカン・ハードロック(キッスやエアロスミスなど)の流れを汲んだ「LAメタルの真打ち」として登場しました。
1991年にニルヴァーナが登場して「グランジ」が台頭する前の王道ハードロック最後の巨星とも言えます。
当初は過激な歌詞や態度で賛否両論ありましたが、現在はその音楽性の高さが再評価されています。
主要メンバーの解説
バンドを象徴する黄金期のメンバー5名の紹介です。
アクセル・ローズ Axl Roseボーカル : 驚異的な音域とハイトーンとピアノも弾きこなす多才なリリシストです。
スラッシュ Slashギター : 当時の速弾きブームとは一線を画す、レスポールによる泥臭くセクシーなプレイが特徴です。
イジー・ストラドリン Izzy Stradlinギター : リズムギターの枠を超えて、曲のフックを作る「縁の下の力持ち」です。
ダフ・マッケイガン Duff McKaganベース : パンクの影響を感じさせるゴリゴリのピック弾きとメロディアスなフレーズが魅力です。
スティーヴ・アドラー Steven Adler ドラムス : デビュー作のみ参加です。ギターを引き立てる為の「溜め」と手数の少なさが絶妙なドラマーです。
その他のメンバー
マット・ソーラム Matt Sorum ドラムス (1990-1997) : Use Your Illusion期に参加しています。
ギルビー・クラーク Gilby Clarke ギター (1991-1994) : Use Your Illusion期に参加しています。
ポール・トバイアス Paul "Huge" Tobias ギター (1994-2002) : ギルビー・クラークの後継のして参加しています。
ロビン・フィンク Robin Finck ギター (1997-1999, 2000-2008) : Chinese Democracy期に参加しています。
ジョシュ・フリース Josh Freese ドラムス (1997-2000) : Chinese Democracy期に参加しています。
トミー・スティンソン Tommy Stinson ベース (1998-2016) : Chinese Democracy期に参加しています。
クリス・ピットマン Chris Pitman キーボード (1998-2016) : Chinese Democracy期に参加しています。
バケットヘッド Buckethead ギター (2000-2004) : Chinese Democracy期に参加しています。
ブライアン・マンティア Bryan "Brain" Mantia ドラムス (2000-2006) : Chinese Democracy期に参加しています。
ロン・サール Ron "Bumblefoot" Thal ギター (2006-2014) : Chinese Democracy期に参加しています。
DJアシュバ DJ Ashba ギター (2009-2015) : Chinese Democracy期に参加しています。
フランク・フェラー Frank Ferrer ドラムス (2006-2025) : Chinese Democracy期に参加しています。
トレイシー・ガンズ Tracii Guns ギター (1985) : 初期の活動時に参加しています。
現在のラインナップ
アクセル・ローズ Axl Rose ボーカル (1985- )
スラッシュ Slash ギター (1985-96, 2016- )
ダフ・マッケイガン Duff McKagan ベース (1985-98, 2016- )
ディジー・リード Dizzy Reed キーボード (1990- ) : Use Your Illusion期から参加しています。
リチャード・フォータス Richard Fortus ギター (2002- ) : Chinese Democracy期から参加しています。
メリッサ・リーズ Melissa Reese キーボード (2016- ) : Not in This Lifetime... Tourから参加しています。メンバー初の女性です。
アイザック・カーペンター Isaac Carpenter ドラム(2025- ) : フランク・フェラーの後継として参加しています。
Appetite for Destruction
世界中で3000万枚以上売り上げている彼らの中で最も有名なアルバムです。
あらゆるデビューアルバムの中で最も完成度が高いと絶賛されています。
このデビューアルバムの衝撃があった故にその後のキャリアの苦悩がありました。『Welcome to the Jungle』『Sweet Child o' Mine』など、代表曲が詰まっています。デビュー当初はバンドメンバーのアルコールやドラッグの問題から、MTVがミュージック・ビデオの放映を拒否するが、ゲフィン・レコードの上層部の説得で『Welcome to the Jungle』が放映されると一気に人気に火がつき、50週間後に1位まで昇り詰めました。全米ビルボード初登場182位で、MV放映後からじわじわと順位を上げていきました。
ロボットが女性を強姦するジャケットの絵柄に人権団体などからの抗議により販売が見直された結果、アクセルの右腕のタトゥーである十字架柄に変更しました。結局、それらの何がいいのかというと、ギターリフの軽快な感じと曲のわかりやすさがあり、ボーカルのレンジの広さによる表現にあると思います。
アルバム最後の曲『Rocket Queen』の間奏で流れる女性の声は生声です。

Welcome to the Jungle
It's So Easy
Nightrain
Out Ta Get Me
Mr. Brownstone
Paradise City
My Michelle
Think About You
Sweet Child o' Mine
You're Crazy
Anything Goes
Rocket Queen

GN'R Lies
前半は疑似ライブアルバムで、後半はアコースティックギター中心の構成です。『Patience』はシングルカットされ、MVも流れました。
当時はYoutubeのようなストリーミングの環境はなく、MVが主流のメディアでした。『One in a Million』は歌詞が移民や同性愛者を差別していると言われ、物議を醸しました。BOXセットでは収録されていません。
Reckless Life
Nice Boys (Rose Tattoo cover)
Move to the City
Mama Kin (Aerosmith cover)
Patience
Used to Love Her
You're Crazy (Acoustic Version)
One in a Million

Use Your Illusion
2枚同時発売された超大作で、合わせて3時間近いボリュームがあります。
ピアノやストリングスなどが加わり、大作が増えました。前の2作と比較すると、聞くのに集中力が必要になることがあり、若干敷居が上がった感じはあります。壮大なバラードや後に定番となるカバー曲がこの2枚に収められています。いい意味で表現の幅が広がったアルバムです。
Use Your Illusion I
2枚のアルバム・カバーはマーク・コスタビが手がけたもので、ラファエロ・サンティによる『アテナイの学堂』の一部が使用されています。
ライブで定番になったカバー曲『Live and Let Die』と『Don't Cry』や大作『November Rain』が収録されています。ロック色の強い曲では『Garden of Eden』『Right Next Door to Hell』など重厚な感じがみられます。
Right Next Door to Hell
Dust N' Bones
Live and Let Die (Wings cover)
Don't Cry (Original)
Perfect Crime
You Ain't the First
Bad Obsession
Back Off Bitch
Double Talkin' Jive
November Rain
The Garden
Garden of Eden
Don't Damn Me
Bad Apples
Dead Horse
Coma
Use Your Illusion II
発売直後はIよりも本作の方が多くの枚数を売り上げ、全米・全英ともに1位を記録しました。こちらもライブで定番のカバー曲『Knockin' on Heaven's Door』や映画ターミネーター2のタイアップ曲『You Could Be Mine』と大きく認知される曲があります。『Yesterdays』のようなシンプルな曲とこちらにも『Estranged』という大作が収録されています。
『Civil War』のような重厚な曲も含まれています。
両方のアルバムでわかったことはシンプルな曲であろうと、大作であろうとこのバンドではこなすことができるということです。
Civil War
14 Years
Yesterdays
Knockin' on Heaven's Door (Bob Dylan cover)
Get in the Ring
Shotgun Blues
Breakdown
Pretty Tied Up
Locomotive
So Fine
Estranged
You Could Be Mine
Don't Cry (Alt. Lyrics)
My World


The Spaghetti Incident?
2枚組の大作をリリースした後にカバーアルバム『The Spaghetti Incident?』をリリースします。1曲目の『Since I Don't Have You』を聞くと、こんな曲もやるんだ?という発見もあったし、ナザレスの『Hair of the Dog』は現在まで続くAxl Roseのボーカルスタイルの原型になったという点では興味深いものであった。あくまで彼らを深く知るというアルバムだと思います。
Since I Don't Have You
New Rose
Down on the Farm
Human Being
Raw Power
Ain't It Fun
Buick Makane / Big Dumb Sex
Hair of the Dog
Attitude
Black Leather
You Can't Put Your Arms Around a Memory
I Don't Care About You
Look at Your Game, Girl (Hidden track)

Sympathy for the Devil
ギルビー・クラークが解雇され、アクセルが友人のポール・トバイアス(加入時はポール・ヒュージ名義)を独断で加入させました。スラッシュに無断でポールのギターフレーズを追加したシングル『Sympathy for the Devil』をリリースしたことがきっかけで、スラッシュとダフがアクセルへの不信感を抱き、脱退のきっかけとなりました。
これはシングルではありますが、分岐点になった作品なので項目としました。

1995年にスラッシュが脱退をして、自身のバンド『Slash's Snakepit』を結成しました。その後、1997年にアクセル・ローズがGuns N' Rosesのバンド名を法的に獲得したことが報じられました。
最終的にGuns N' Rosesはアクセル・ローズのみ残り、他のメンバーは全員脱退しました。
Live Era '87–'93
デビュー当時から93年までのライブレコーディング盤の2枚組をリリースしました。当時、海賊版以外で音源に巡り合うことが難しかったので、公式でリリースされたのは嬉しかった。このアルバムをリリースした後にバンドは長い冬眠に入りました。
Disc 1
Nightrain (Las Vegas, 1992)
Mr. Brownstone (London, 1991)
It's So Easy (Paris, 1992)
Welcome to the Jungle (Buenos Aires, 1992)
Dust N' Bones (New York, 1991)
My Michelle (London, 1991)
You're Crazy (Tokyo, 1988)
Used to Love Her (Tokyo, 1988)
Patience (Mexico City, 1993)
It's Alright (Black Sabbath cover / Houston, 1992)
November Rain (Tokyo, 1992)
Coma (Omaha, 1993) ※日本盤・一部エディションのボーナストラック
Disc 2
Out ta Get Me (London, 1987)
Pretty Tied Up (Tokyo, 1992)
Yesterdays (Las Vegas, 1992)
Move to the City (Tokyo, 1992)
You Could Be Mine (Tokyo, 1992)
Rocket Queen (Las Vegas, 1992)
Sweet Child o' Mine (Paris, 1992)
Knockin' on Heaven's Door (Bob Dylan cover / London, 1992)
Don't Cry (Tokyo, 1992)
Estranged (Tokyo, 1992)
Paradise City (Las Vegas, 1992)

Velvet Revolver結成
その後、脱退したメンバーを中心に元ストーンテンプルパイロッツのスコット・ウェイランドを迎えて『Velvet Revolver』を結成し、『Contraband』えおリリースしました。シングル・カットされた「スリザー - Slither」は第47回グラミー賞ベスト・ハード・ロック・パフォーマンス部門を受賞しました。メタルは冬の時代に突入していましたが、脱退したメンバーは結果を残し続けました。2枚目の『Libertad』をリリースをリリースした後にスコットが脱退し、古巣に戻ることになった。しかし2015年にアルコールとドラッグのの過剰摂取により、帰らぬ人となりました。バンドのWebサイトも閉鎖さtれており、ボーカルがみつからず終わったものと思われます。
Sucker Train Blues
Do It for the Kids
Big Machine
Illegal i Song
Spectacle
Fall to Pieces
Headspace
Superhuman
Set Me Free
You Got No Right
Slither
Dirty Little Thing
Loving the Alien

Let It Roll
She Mine
Get Out the Door
She Builds Quick Machines
The Last Fight
Pills, Demons & Etc.
American Man
Mary Mary
Just Sixteen
Can't Get It Out of My Head (Electric Light Orchestra cover)
For a Brother
Spay
Gravedancer / Don't Drop That Dime (Hidden Track)

Chinese Democracy
1994年から新作『Chinese Democracy』の制作に着手します。
しかしボーカルのアクセル・ローズの完璧主義と独裁体制により、レコーディングは泥沼化し、主要メンバーが次々と脱退・解雇される「熟成」の時代に突入しました。新メンバーの採用には霊能力者による「アクセルとのオーラ適合性」のチェックがおこなわれました。またギタリストのバケットヘッドはスタジオ内に本物の「鶏小屋」を建設したり、犬の糞の掃除を拒否したり、小屋の中でポルノビデオを流しながら演奏したりといった狂気的なエピソードがありました。アクセルの気分次第で、数年かけて作った音源が何度もゴミ箱に捨てられました。クイーンを手掛けた巨匠ロイ・トーマス・ベイカーが参加した際も前任者の音源を全消去して1から作り直すなど、迷走を極めました。クイーンのギタリストのブライアン・メイもレコーディングに参加しましたが、最終的に彼のパートはアクセルによって無断で全カットされました。10年以上完成しないまま、レコード会社の経費は約15億円に達しました。最終的にアメリカの家電量販店ベスト・バイが15億円を肩代わりする形で独占販売契約を結び、2008年のブラックフライデーという「期限」が設定されたことで、ようやく発売に漕ぎ着けました。
発売時にはドクターペッパーが「年内に発売されたら全米に1缶無料配布する」という公約を掲げ、実際に発売されたことでサーバーがダウンする騒動も起きました。14年待たされた結果、世の中の音楽トレンド(R&Bやヒップホップ)とは大きくズレてしまい、最終的にはワゴンセールで200円で投げ売りされるという悲惨な結末を迎えました。近年では『Better』などの一部の曲で評価が見直され、1周回って少しずつ評価される部分も出てきました。
Chinese Democracy
Shackler's Revenge
Better
Street of Dreams
If the World
There Was a Time
Catcher in the Rye
Scraped
Riad N' the Bedouins
Sorry
I.R.S.
Madagascar
This I Love
Prostitute

Not in This Lifetime... Tour
バンドにメリッサが加入しました、バンドに紅一点が入るとはずいぶん変わったものだと思いました。

その他のリリース作品
再結成後の「空白を埋めた」シングル群 (2021-2026)
スラッシュとダフがアクセルのアーカイブを「今の音」で再構築した楽曲たちです。
Absurd (2021)
Hard Skool (2021)
Perhaps (2023)
The General (2023)
Atlas (2025)
Nothin' (2025)
今、私達は一つの残酷な事実に直面しています。 ガンズのようなスタジアムを熱狂させ、一音で空気を変える「ロックの象徴」の後継者が現れていません。デジタルで完璧に補正された音やAIが作るフレーズ……。それらは正しいかもしれないが、スラッシュが鳴らすフレーズがもたらす、あの生々しい熱量には到底及びません。 彼らが今もステージに立ち続けるのは、自分達が「最後のアナログな怪物」であることを自覚しているからかもしれません。
2016年からだいぶ時間も経過しましたが、このまま過去の焼き増しで終わるのか、それとも新作がリリースされるのか?年齢を重ねた彼らはデビューアルバムのテンションはもう厳しいと思うので、年齢相応の作品が出てくれると嬉しく思います。スラッシュの「既に膨大な量の素材(a ton of shit)を書き溜めている」と発言はあります。ゆっくり待ち続けたいと思います。


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ありがとうございます!音楽記事を書く為の音源大や書籍代に活用させていただきます。