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プロの仕事について、もう少し考えてみた 〜スマートウォッチのバイタル測定からの気づき〜

プロの仕事について、もう少し考えてみたいと思います。

話は急にスマートウォッチでのバイタル測定に変わりますが、あとでプロの仕事の話に繋がります。

私はスマートウォッチで毎日、自分のバイタルを測定しています。

心拍数、睡眠時間、安静時心拍、心拍変動。
最初は健康管理のために何となく見ていた数値でしたが、最近になって、仕事の疲労とかなり関係があることに気づきました。

特に印象的だったのは、ある週のことです。

月曜日から水曜日まで仕事が忙しく、睡眠時間も普段より1時間ほど短い、5時間程度の日が続きました。すると木曜日の通勤時、電車の中で心拍数が120bpm前後まで上がり、それが10分ほど続いていました。
それをスマートウォッチが通常と違う数値だということで通知してくれたのです。

激しい運動をしていたわけではありません。
ただ通勤していただけです。

ところが不思議なことに、気分としてはそこまで疲れていませんでした。
むしろ、やる気はありました。気持ちは前向きでした。

しかしスマートウォッチの数値は、「あなたは疲れている」と教えていました。

ここに、私はひとつのギャップを感じました。
主観的な元気さと、身体の回復状態は必ずしも一致しないのです。

「まだいける」は、体が大丈夫という意味ではない

人は、気分が前向きなときほど、自分の限界を過小評価しやすいのかもしれません。

仕事が忙しい。
責任感がある。
やるべきことがある。
ここで止まるわけにはいかない。

そう思っていると、体は疲れていても、頭の中では「まだいける」と判断してしまいます。
むしろ、忙しい時期ほど気持ちが高ぶり、少し高揚したような状態になることもあります。

だから、本人の感覚としては「疲れていない」「まだ動ける」と思ってしまうのです。

しかし、心拍数はごまかせません。
睡眠時間もごまかせません。
身体は、気分とは別のところで正直に反応しています。

このとき思ったのは、体調管理においては、気分だけを信じるのは危ういということでした。

気分はアクセルです。
心拍数や睡眠時間は、エンジンの温度計です。

アクセルを踏みたい気分であっても、エンジンが熱を持っているなら、出力を落としたほうがいい。
スマートウォッチのバイタル数値をみるようになって、そう考えるようになりました。

そこで私はその週の木曜と金曜は意識的に仕事量と活動量も減らし、いつもより休息をとるようにしました。

あとで振り返ると、その時の気分にしたがって、そのまま仕事に集中して業務をこなしていたら土日の休みは疲れが溜まってしまい活力も落ちたまま寝て過ごす休日になっていたかもしれません。
しかし、今はこうしてnote用の原稿をまとめていることができています。

個人的な印象ですが、身体の異変を感じたら早めに休みととる方が、長い期間でみるとトータルの活動量は落とさずに済み、効率的な時間の使い方ができると実感しました。

仕事も限界突破型より、早期調整型のほうが総活動量は多い

体調管理の考え方には、大きく分けて二つあると思います。

ひとつは、限界突破型です。
もうひとつは、早期調整型です。

限界突破型は、多少疲れていても無理をします。
その日の予定をこなします。
今日中に終わらせます。
多少しんどくても押し切ります。

一方、早期調整型は、疲労が浅いうちに活動量を落とします。
まだ動ける段階で休みます。
心拍や睡眠の乱れを見て、予定を軽くします。
限界を超える前に調整します。
今回、私がスマートウォッチのバイタルをみてやった方法がこれです。

感覚的には、限界突破型のほうが活動量を最大化できそうに思えます。
今日できることを全部やるのですから、そのほうが合理的に見えます。

しかし、実際にはそうとは限りません。

限界を超えてしまうと、その後の回復に時間がかかります。
翌日の集中力が落ちます。
判断力が鈍ります。
ミスが増えます。
睡眠の質も乱れます。
結果として、数日単位で見れば活動量は下がってしまいます。

反対に、軽い疲労の段階で早めに休めば、回復は早くなります。
少し活動量を落としても、翌日以降に持ち直せます。
結果として、トータルの活動量はむしろ増えるのではないかと思います。

これは、体調管理というより、稼働率管理に近い考え方です。

毎回レッドゾーンまでエンジンを回すより、異音が出た段階で出力を下げる。
そのほうが、機械全体の稼働率は高くなります。

人間も同じではないでしょうか。

プロスポーツ選手は、限界突破を常態化させない

このことを考えていて、プロスポーツ選手のことを思い出しました。

特にメジャーリーガーのピッチャーは分かりやすいです。
彼らは、登板間隔や球数をかなり厳密に管理されています。

本人が「まだ投げられる」と思っていても、球数が増えれば交代します。
それは、限界まで投げさせることが美徳ではないからです。

ピッチャーに求められているのは、1試合だけの根性ではありません。
次の登板でも、次の月でも、シーズン終盤でも、一定のパフォーマンスを出すことです。

つまり、プロに求められているのは、瞬間最大風速ではなく、継続した再現性なのだと思います。

私は、プロフェッショナルな仕事とは
再現性があること。
と考えました。

つまり、プロの仕事とは限界突破型でやるものではないのです。

たまたま良い結果を出すことではありません。
調子が良い日にだけ成果を出すことでもありません。
一定の品質を、一定の確率で、繰り返し出せること。
それがプロの条件ではないかと思います。

そう考えると、休むこともプロの仕事の一部になります。

プロスポーツ選手にとって、練習だけが仕事ではありません。
食事、睡眠、休息、コンディション管理、故障予防。
それらすべてが、試合でのパフォーマンスを再現するための準備です。

休息は、仕事をしていない時間ではありません。
次の仕事の品質を保証するための準備工程なのです。

休むことも、仕事の品質を守る行為である

スマートウォッチの心拍数から始まった話ですが、「仕事におけるプロフェッショナルとは再現性があること」ということを考えに確信を持つようになりました。

心拍数が高い。
睡眠が短い。
疲労アラートが出る。
それでも気分は元気で、まだやれる気がする。

この状態は、個人の中にある「限界突破型」の誘惑です。

しかし、プロの条件が再現性であるなら、限界突破を常態化させる働き方は、プロの働き方とは言いにくいのではないでしょうか。

プロに必要なのは、今日だけの頑張りではありません。
明日も、来週も、来月も、一定の品質を出せる状態を保つことです。

そのためには、休むことも必要です。
出力を落とすことも必要です。
無理なものを無理と言うことも必要です。

休むことは、仕事から逃げることではありません。
次の仕事の品質を守ることです。

そう考えると、体調管理は単なる健康管理ではありません。
それは、プロとして再現性のある仕事をするための、重要な準備なのだと思います。

このあと、この「再現性」という考え方を、個人の体調管理だけでなく、組織の働き方にまで広げて考えてみたいと思います。

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