声劇脚本【雪のひだまり】
声劇脚本:『雪のひだまり』
制作/2000年
Tana.Ellis.Kelly
【2人台本、1人でも】
登場人物
• お母さんきつね
• こどもきつね
冬の森の小道🌳
⸻
◾️風が少し吹く音。雪がふわりと落ちる
こどもきつね:
……おかあさん、さむいよ。
あしが、つめたくて……。
お母さんきつね:
あらあら、がんばって歩いたのね。
ほら、お背中においで。
お母さんの毛は、冬じゅう太陽を貯めているのよ。
◾️こどもきつねがもぐり込む
こどもきつね:
わぁ……あったかい。
お母さん、どうしてこんなにあったかいの?
お母さんきつね:
ふふ。
あなたを守りたいって思うとね、
胸の奥に小さな焚き火が灯るのよ。
⸻
■風がやみ、静かな雪の音
こどもきつね:
お母さん、ゆきってね……
つめたいのに、きれいだね。
お母さんきつね:
ええ。
冬って、冷たさの中に
“ほんとうのあたたかさ”が隠れているの。
こどもきつね:
ほんとうの、あたたかさ……?
お母さんきつね:
そう。
誰かのことを大事に思う気持ち。
手をにぎりたくなる気持ち。
抱きしめたいと思う気持ち。
それはね、雪よりゆっくり、
でも深く降り積もるものなのよ。
⸻
■小さな足音。雪を踏む音
こどもきつね:
お母さん。
ぼく、お母さんのこと……
だいすき。
お母さんきつね:
(やわらかく笑う)
知ってるわ。
お母さんもあなたが大好き。
それは雪が溶けても、春が来ても変わらない。
◾️こどもきつねがそっとお母さんに寄り添う
こどもきつね:
じゃあ、ぼくも……
お母さんみたいに、
だれかをあったかくできるかな?
お母さんきつね:
ええ、きっとできるわ。
あなたのなかにも
小さな焚き火がちゃんとあるもの。
⸻
■雪がやさしく降り続く
お母さんきつね:
さぁ、帰りましょう。
今日の巣穴はね、
あなたのためにふかふかにしておいたの。
こどもきつね:
ほんと?
じゃあ、いっしょに寝てもいい?
お母さんきつね:
もちろんよ。
冬の夜は、寄り添って眠るのがいちばん。
……おやすみ、わたしの小さなひだまり。
こどもきつね:
おやすみ、お母さん。
◾️静かに雪の音、フェードアウト
