立ち姿勢の見方〈脱巨人体型〉 | 姿勢 - 6
「進撃の巨人」の作者・諫山創さんが天才だと思う理由は、漫画のストーリーだけでなく、「巨人の体型」が本当に人間味があって書き分けられているところにもあります。
かっこいい人間に近い巨人たちはとても姿勢がいいのですが、周りのモブ巨人はお腹ぽっこりで、反り腰・猫背・内股…など、あの独特の不気味さは、姿勢の悪さから来ていると思っています。
なぜこんな話をするかというと、日本人のほとんどは、この「巨人体型予備軍」だからです。

・顎が前に出てる・内股(ガニ股)
この姿勢のままでは、いくら筋トレをしても下腹は凹みませんし、肩こりや腰痛も消えません。なぜなら、脂肪や筋肉の問題ではなく、骨格の形そのものが崩れているからです。
前回の記事で「座り姿勢(上半身)」について説明しました。
今回は、それを足という不安定な土台に正しく乗せるための「立ち歩き姿勢」パートです。
「モブ巨人体型」を卒業し、正面からも横からもカッコよく見える「立ち方・歩き方」を身につけましょう。
🔽座り姿勢についてはこちらから
✅ この記事でわかること
「巨人体型(スウェイバック)」が全身の不調を引き起こす理由
扁平尻・下腹ぽっこりが立ち方の問題である理由
正しい立ち方を作る具体的な手順
後ろ重心で歩く方法と足トラブルへの効果
👩🏫 なぜ「巨人体型」になるのか

🗣️「さすがにこんな巨人みたいな歩き方してないよ」
と思うかもしれませんね。
自分自身もそうでしたし、そもそも無自覚でした。
しかし、姿勢を意識しなければ誰でも同じ体型になっていきますよね。
強いて言えば痩せているか太っているかくらいです。
つまり、今は大丈夫でも、体型崩れは歳を重ねるごとに顕著になります。
今は華奢で可愛い方も、姿勢を意識しなければ体型が崩れます。
街中を歩く人を観察してみてください。
この巨人のようなシルエットの人が、驚くほど多いはずです。
お腹がパカーンと前に開き、腰が反っている
背中は丸まり顎を突き出している猫背。さらには巻き肩
その上、バランスを取るために内股かガニ股でペタペタと歩く

細い人がお腹パッカーンすると、
・肋骨が浮き出る
・下腹だけぽっこり
・僧帽筋(肩)もっこり
・体重に対して足がパンパンといった状態になりがちです。
なぜこうなってしまうのでしょうか?
それは単純に、正しい「立ち方」と「歩き方」を誰も教えてくれず、トレーニングしていないからです。
本来なら、抗重力筋(重力に逆らうための筋肉)を正しく使い、股関節から脚を動かして歩く感覚が重要です。
意識的にはみぞおちの辺りから脚を動かすと、ラクに股関節から脚が動きます。
多くの人はラクな姿勢で骨盤に寄りかかり、膝から下だけでちょこちょこと歩いてしまっています。その代償は大きく、足や膝の痛み・慢性の腰痛・治らない肩こりなど全身の不調が現れます。
そして見た目において最も早く、顕著に現れるのが「お尻の形の崩れ」です。
👩🏫 正しい立ち方・歩き方の強烈な違和感

まず最初に理解すべきは、腰痛・猫背・巻き肩・脚の疲れやすさなど、すべて「立ち方の崩れ」から同時に発生するものだということです。
その最初のサインとして外見に現れやすいのが、下尻ペったんこ(扁平尻)です。
お尻は「体を支えられていない状態」を最初に反映するため、不調改善のチェック指標になります。
※反り腰だと出っ尻になりやすいです。

1. 日本人は下尻ショボショボ扁平尻

反り腰・スウェイバックどちらでも、お尻の形は崩れます。
スウェイバックでは扁平尻寄り、反り腰では出っ尻寄りになる人も多いです。
この状態では体幹もお尻の筋肉も使えず、腰痛・猫背・巻き肩・脚の疲れやすさが発生しますが、外見でも以下のようなことが生じます。
体重の割にお尻が薄く見える
脚が太く見える
脂肪がなくても下腹ぽっこり
こういう見た目は筋肉量や脂肪だけで説明できないケースも多く、実際は立ち方の影響がかなり大きいです。
筋トレガチ勢になってくると、股関節を引き込んで行うスクワットなどをするので、正しいフォームであれば自然と姿勢が良くなっていく人も多いです。
おすすめするのは違うと思っています。
特に、扁平尻状態から筋トレするとピーマン尻になりやすく、放置するとタレ尻・四角尻につながります。

多くの人は、立っている時に自分の筋肉ではなく、股関節の靭帯や可動域に体重を預けています。
そしてほとんどの人は腰を前に突き出したスウェイバックと呼ばれる立ち方で、ヒップが扁平尻気味でしょぼしょぼしている方が多いです。
腰が前に突き出る
骨盤が後ろへ倒れる
股関節をロックしてしまう
太ももとお尻が常に押しつぶされる
もし、肩こり・腰痛や下腹ぽっこり・前ももパンパンに対して、姿勢矯正をせずに筋トレや食事制限をさせるトレーナーや施術者がいたら、指導方針を確認した方がよいかもしれません。
そもそも立ち歩き姿勢くらいなら、筋トレしなくても姿勢を正すだけで自然と体の使い方はかなり変わります。
最短で姿勢改善したいなら整体とウォーキングレッスンに行った方がよいです。
2. 正しい立ち方・歩き方は仰々しいプリケツ感
正しい立ち方・歩き方に戻す時に最初に必要なのは、股関節をしっかり後ろへ引き込み、骨盤をニュートラルな状態にすることです。
この「股関節を引き込む」「骨盤ニュートラル」の2つが揃わないと、体は正しい位置に乗りません。(もちろん歩く時は多少前傾してOKです)
股関節だけ引き込む → ただの反り腰
骨盤だけ立てる → お尻が潰れたまま
どちらも不十分 → 体幹が働かずフラフラ
そして、この2つを成立させるために絶対に必要な土台が足裏です。
3. お尻がショボくなる原因は「足裏の使い方」ただ一つ
足裏の使い方が崩れると、必ずこうなります。
くるぶしが内側・外側に倒れる(過剰回内・回外)
足裏のアーチが潰れる(扁平足)
足先重心で立つ(外反母趾)
指が浮く(浮き指)
小指が倒れる(寝指・内反小趾)
こうなると体重を足で支えられません。
結果として、
足裏の使い方が崩れる → 連鎖で膝・股関節がうまく使えない → お尻が潰れる
という流れになります。
これではどれだけ骨盤だけ正そうとしたり、筋トレしても、絶対に改善しません。
ただし足裏の条件が整えば、必然的に脛・膝・もも・股関節の使い方も変わり、自然と体が支えられます。
その結果としてお尻の使い方が変わり、形が変化する人も多いです。
🔽 足裏についてはこちらのnoteからどうぞ
👩🏫 整えるための考え方
これから正しい立ち方・歩き方についてお伝えしようと思いますが、正しい形を作るとよく起こる「初期反応」だけお伝えしておきます。
腰で誤魔化せず、下腹〜みぞおちが強烈につらい
今まで使っていなかった脚がやたら疲れる(脛・外もも・ハム)
後ろ重心すぎて倒れそうになる
プリケツにしすぎている気がする
全部正常です。最初1〜2週間はほぼ全員こうなります。
足裏〜股関節〜体幹がやっと正しい順番で働き始めた証拠です。
脳が「崩れた姿勢基準」で記憶していたため、正しい位置が仰々しく感じるだけです。
とはいえ強い痛みが出る場合はやり方の見直しが必要です。
もちろんすぐに正しい姿勢が取れるわけではないので、家や街中のガラスや鏡で何度もチェックしてください。
下尻に丸みがあるか
僧帽筋上部が抜けているか
骨盤が前に逃げていないか
膝が内に落ちていないか
執念深いくらいで、ちょうど良いです。
立ち姿勢の感覚が掴めなくなったり疲れたら、座りに戻ってリセットしてください。
🔽 座り方についてはこちらのnoteからどうぞ。
🔥【実践1】「巨人体型」を卒業する「立ち方」
いよいよ実践パートです。
立ち方は、姿勢改善の中で最重要です。
座り姿勢で胸郭と頭の位置を整えてから行うと、スムーズに体が乗ります。
立つ→座る→また立つを何度も繰り返して身につけてください。
🔽 参考動画
1. 基本ポジション
ポイントは、いつでも歩き出せる立ち方をすることです。
足幅は「こぶし1つ」、膝は「正面」
膝と股関節は「ロック」せずに「緩める」
気をつけの姿勢のように膝や股関節をピーンとしていても動き出せませんので、1〜2°だけゆるくするような感じで脱力しておきましょう。
最重要ポイントは「膝の向き」です。
膝のお皿が内側を向くと、大転子(太もも外側)が張り出し、股関節もロックしやすくなります。
判断方法としては、軽いスクワットをした時に膝が内へ落ちるなら要注意です。
お尻の外側(中殿筋)が働いていません。
🔽 膝を正面に向ける方法は、こちらの動画が最もわかりやすいです(足幅は異なります)。
2. 重心は「後ろ(くるぶし下)」
体重はくるぶしの下へ乗せるイメージが一番近いです。
多くの人はつま先に体重を落として生活しているので、この位置に戻すと必ず後ろに倒れそうに感じるでしょう。
重心を後ろへ戻した時に足指が浮くなら、浮き指の典型例で、足指も足裏のアーチも機能していない状態です。
かかとへ体重を乗せつつ、親指と小指の付け根を床へ吸い付け、足裏三点で立ちます。
これができると土踏まずが自然に働き、脚を前側ではなく後ろ側で支えられるようになります。
3. 横姿勢を整える
まず最初に参考動画です。
横から見たとき、くるぶし・膝・大転子・肩先・耳の穴の五点が一本のラインに揃うと、重力に対してもっとも負担が少ない姿勢になります。
目線は遠くを見るようにして、頭の位置は上顎を軽く後ろへ引きます。

コツとしては、股関節を少し引き込むことです。
腹部のインナーマッスルの画像を見ていただくとわかりますが、腹部は円柱型ではなく、少し斜めの状態です。だから股関節を入れ込むことが必要です。

股関節を深く引き込むと、ほぼ全員が「自分、かなり出っ尻じゃない?」と感じます。
しかし鏡を見ると普通で、むしろ姿勢が整って見えます。
⚠️ここで問題になりやすいのが、股関節を引き込んだはずなのに腰を反って「お腹パッカーン」になるパターンです。
股関節を後ろへ引いたまま、みぞおちを軽く下げて肋骨を閉じ、骨盤をニュートラルに戻します。お尻はプリッとしながら、お腹は平らです。ここはかなり腹筋を使いますが正常です。

4. 上半身の仕上げ
上半身関連は座り姿勢と一緒に直すとよいです。
手は前もも横にストンと落ちる
→違和感があるなら胸郭や肩甲骨のストレッチから頭の位置は、首や肩の力がスッと抜けるところ
→上顎で遠くを見る。思ったより頭の位置は後ろです。正面から見て僧帽筋上部が隠れる
→首の付け根が盛り上がって見える状態は、まだ胸郭や腕の重さが肩に乗っている。頭の位置や肩の位置を調整し続けた結果、僧帽筋が目立たなくなる
ちなみに、胸を「開こう」としても、多くの人が腰を反り始めます。
鎖骨とみぞおちが正面を向く位置まで丁寧に戻すと、胸郭と肩甲骨の位置が整い、肩も自然に下がります。
姿勢を良くしようとすると、すぐ反り腰になりがちです。
気をつけましょう。
🔥【実践2】後ろ重心で「巨人歩き」を卒業
立ち姿勢だけでなく、歩き姿勢も後ろ重心にしないと、お腹パッカーンに戻り、巨人歩きになりやすいです。
後ろ重心というと、「それは極端では?」と思う方も多いと思います。
なぜこの表現をするかというと、あまりにもつま先重心の人が多いからです。
(つま先重心が身についている人に、ニュートラルに歩きましょうというのもなかなか難しいと思います)
これからは、股関節をクレーンのように使い、足を持ち上げて落とす感覚を覚えましょう。
今までは母指球で地面を蹴る、と教えられていましたが、それは走る時やパワーを出す時だけで十分です。歩く時はラクに動きましょう。
これから紹介するのは、世に出ているような母指球を使う歩き方ではありませんが、巨人歩きから卒業できる最も簡単な方法です。
🔽参考動画
日常の歩行では二軸歩行で股関節で脚を上げると体に負担がかかりにくいです。
一軸歩行(ヒールを履いている時など)になってしまうと、腰椎のねじりや股関節で脚を上げにくいこともあり、腰痛・腰の曲がりにつながってしまいます。
1. 正しい立位から「足踏み」をする
まずは先ほど紹介した立ち姿勢で体の軸を整えた状態から、軽く足踏みをしてみてください。
足を持ち上げているのは太ももではなく、床から返ってくる反力と股関節です。
お腹パッカーンしないように、クレーンのように股関節で足を引き上げましょう。
足を下ろす際は、つま先から足全体にふわっと乗ると思います。
この感覚を忘れずに、歩き出しに移りましょう。
2. 膝を上げながら歩き出す
後ろ重心のまま歩くためには、五点ライン(くるぶし・膝・大転子・肩先・耳の穴)が揃っていることが条件です。
立ち姿勢のままクレーンのように足を上げ下げし、上半身をそのままの面で前へ移動させれば前へ進めます。
やってみるとわかりますが、後ろ足の母指球で蹴らなくても進みます。
つまり、歩き始めは足を前に投げ出そうとせず、後ろ重心のまま前足のかかとで着地するイメージです。
かかと側から足に柔らかく乗り、そのままかかとで地面を押すことで、上半身が保たれたまま体重が前へ移るので膝や前ももに頼らなくて大丈夫です。
この歩き方ができると、体力の消耗が減り、インナーマッスルが働き、足の不調も改善しやすくなります。目線を遠くに送ることも忘れずに。
🔽この歩き方でも動画の右側のようにかっこよく歩くことも可能です。
3. 反り腰対策
後ろ重心であれば股関節を引き込んで(お腹を引き込んで)歩くことは難しくありません。
しかし、歩いているとお腹パッカーンして仰け反った歩き方になりやすいです。
そうならないためには「みぞおち」に力を入れましょう。
イメージでは、前傾しやすい骨盤を、みぞおち周りの筋肉でで引っ張り上げる感じです。
手でみぞおちを触りながら意識すると分かりやすいので、お腹を意識しながら歩いてみましょう。
💡歩き方のアレコレ
1. 後ろ重心は足トラブルの改善に直結する
母指球の蹴り出しが強い歩き方は、足にストレスが蓄積します。
外反母趾・扁平足・寝指・膝痛がある人ほど、この歩き方に切り替えて後ろ重心歩きもできるようにしましょう。
後ろ重心で歩けると母指球への負担が減り、足指が緩み、足裏3点で支える機能が戻ります。
その結果、膝や股関節の軸が整い、脚の疲れやねじれも改善していきます。
2. わかりにくい人は片足で立つ練習から
骨盤の左右の高さを揃え、正面に向けたまま片脚立ちを1分ずつ行うと、土踏まずが浮く感覚や3点支持の感覚が掴みやすくなります。
膝が内に落ちる人は、人差し指が正面を向く程度に膝を軽く外へ向けてください。
3. 膝を上げずにかっこよく歩きたい
もしかしたらウォーキング技術なども身につけて、よりかっこよく歩きたいという気持ちも生まれるかもしれませんね。
ただ、世にある正しい歩き方(いわゆるかっこいい歩き方)は母指球で地面を蹴るものが多く、足腰を痛めないようにするにはきちんと練習が必要です。
SNSやネット上にもたくさん正しい歩き方が紹介されていますが、それで本当に不調が解消されましたか?
膝を上げない(母指球を使う)・膝を上げる(母指球を使わない)、どちらにも共通しているのは、骨盤の上に胸郭と頭を乗っけて重心移動することが大切だということです。
そうすると結局、母指球を使うかっこいい歩き方は、紹介した膝上げの歩き方の応用編のようなものです。
まずは足に負担をかけない立ち方・歩き方を身につけた後に練習しましょう。
⚠️ よくある誤解
1. 胸を張ると姿勢が良くなる
姿勢を良くしようとして胸を張ると、ほぼ全員が腰を反り始めます。
みぞおちが上を向いて肋骨がパカッと開き、腹圧が抜けて腰への負担が増します。
鎖骨とみぞおちが正面を向く位置まで丁寧に戻すことが先です。
2. 股関節を引き込むと出っ尻になる
股関節を引き込んだ時に「出っ尻すぎる」と感じるのは正常です。
脳が崩れた姿勢を基準として記憶しているためです。
鏡で横姿を確認すると、むしろ姿勢が整って見えます。
3. 母指球で地面を蹴るのが正しい歩き方だ
普段の歩行は、後ろ重心のまま床反力に乗って進む方法が足への負担を減らします。
母指球で蹴る時は、走る時などパワーが出ます。
普段の歩行で使い続けると外反母趾・扁平足・膝痛につながります。
もちろん歩行でも母指球は使います。
ただ、多くの人は蹴りすぎる傾向があるため、まずは地面を押しすぎずラクに進む感覚を覚えましょう。
極端な話、つま先がなくても、踵さえあれば歩行は可能です。
4. 筋トレすれば体型が改善する
扁平尻・下腹ぽっこり・前ももパンパンは筋肉量ではなく立ち方の問題です。
立ち方を整えずに筋トレをすると、崩れた姿勢のまま筋肉が発達し、ピーマン尻・タレ尻につながります。
まず立ち方を整えましょう。
📝 まとめ
今回は、進撃の巨人を用いながら、日本人の国民的姿勢ともいえる「スウェイバック」を卒業し、一生モノの「立ち方・歩き方」を手に入れるための解説をしました。
関節の可動域に頼る「ラクな姿勢(スウェイバック)」は、全身を崩壊させる巨人体型の元凶です。
正しい姿勢の立位は、自分では「反りすぎ?」と感じたり、後ろに倒れそうになったり、多くの違和感があると思いますが、鏡で見ればそれが正解です。
また、歩く時も地面を蹴らず、後ろ重心のまま「床反力」に乗って進みましょう。
せっかく正しい立位を作れたとしても、母指球で地面を蹴るとお腹パッカーンして、巨人体型になりやすいからです。
まずは1ヶ月、家や街中の鏡を見ながら正しい姿勢を練習し、一生モノの足を手に入れましょう!
