見出し画像

HSPのわたしが元日の靖国神社へ行ってみた(2026三が日シリーズ3)

「靖国神社の初詣は、きっと人が多くて大変そう」

人混みが苦手なHSP気質のわたしは、そんなイメージから、これまで一度も足を運んだことがなかった。

元日の朝、浅草寺で新年の清々しい空気に触れ、上野アメ横の喧騒の中で格安うなぎのエネルギーに満たされた。

これまでのわたしであれば、この二箇所を巡った時点で、HSP特有の「刺激過多によるバッテリー切れ」を起こし、這々の体で帰路についていたはずだ。

しかし、2026年の元日は何かが違っていた。時計の針はまだ10時半を回ったばかり。

「このまま帰るのはもったいない」

そう思ったわたしは、上野からさらに足を伸ばすことに決めた。目指すは、さらなる初詣の名所だ。

しかし、ここから先は「早朝の浅草」や「朝のアメ横」とはわけが違う。時刻はお昼前。どこに行っても、本格的な大混雑に遭遇する覚悟をしなければならないだろう。


水天宮か、靖国か。タロットカードが示した「答え」

上野から移動しやすく、元日にふさわしい場所。

スマホの地図アプリを眺めながら、行き先を二つに絞り込んだ。

一つは、水天宮。安産や水難除けで有名な、優しく包み込むようなイメージの神社だ。

もう一つは、靖国神社。幕末以降の英霊を祀る、厳かで背筋が伸びる場所。

どちらも素晴らしい名所だが、HSPのわたしはここで迷路に入り込んだ。

「水天宮の方が、雰囲気が柔らかくて疲れにくいんじゃないか?」

「でも、新年の始まりに、靖国神社のあの突き抜けるような青空を見たい気もする」

「いや、靖国はニュースで見るような、物々しい雰囲気だったらどうしよう……」

なかなか決断できないわたしは、リュックの中から愛用のタロットカードを取り出した。

何か迷いが生じたとき、自分の潜在意識に問いかけるためのツールだ。

静かにシャッフルし、一枚のカードを引く。

現れたのは、大アルカナの8番《力(Strength)》だった。

描かれているのは、百獣の王であるライオンを優しく手なずけている女性の姿。

このカードが意味するのは「腕力」や「権力」ではない。内なる意志の強さ、感情や恐れを穏やかに制御すること、そして静かな覚悟だ。

「力とは声高に主張するものではなく、自分の内側に、確かに在るもの」
カードはそう語りかけてくるようだった。

今の自分に必要なのは、守られる場所で心を緩めることよりも、背筋を伸ばし、心の軸を確かめる時間なのかもしれない。

「よし、靖国神社に行こう」

わたしはカードをしまい、九段下に向かった。

九段下到着。大鳥居の下で感じる「空の広さ」

地下鉄を乗り継ぎ、11時15分、九段下駅に到着。

改札を抜け、地上への階段を上がると、靖国通り沿いには確かに多くの人が歩いていた。しかし、恐れていたような、身動きが取れないほどの大混雑ではない。

そのまま歩を進めると、目の前に巨大な第一鳥居(大鳥居)が姿を現した。

高さ25メートル。鉄製としては日本有数の大きさを誇るその鳥居は、元日の澄み渡った青空を背景に、圧倒的な存在感を放っていた。

「大きい……」

思わず声が漏れる。
ここをくぐると、景色が一変した。

参道が、とにかく広いのだ。幅が広大であるため、かなりの数の参拝客がいるにもかかわらず、人と人との距離が十分に保たれている。

HSPにとって、物理的な「パーソナルスペース」が確保されていることは、何よりの安心材料だ。

参拝者で賑わっているものの人の流れが止まることなく、大村益次郎銅像の下までノンストップで歩くことができた。

「え、まさかこのまま拝殿まで行けるの?」

あまりのスムーズさに、一瞬そんな淡い期待を抱いてしまった。

しかし、現実はそう甘くはなかった。

第二鳥居の手前で直面した行列

閑散時の靖国神社

第二鳥居の手前まで来たところで、人の流れがピタリと止まった。

そこには、参道の幅いっぱいに広がる、分厚い人の壁ができていた。

「ここからか……」

前方を見ると、拝殿まではおそらく100メートル、いや150メートルはあるだろうか。案内係の警備員さんが「ここから並んでくださーい」と声を張り上げている。

いつものわたしなら、この光景を見た瞬間に「無理だ、帰ろう」と踵を返していたかもしれない。

行列に並ぶことは、逃げ場のない空間に長時間縛り付けられることを意味する。

「ここまで来て引き返すわけにはいかないな……」

わたしは深呼吸を一つして、覚悟を決め行列の最後尾に並んだ。

行列の中で見た「平和」のリアルな景色

列はゆっくりと、牛歩のように進んでいく。スマホを見るのも飽きたわたしは、周囲の人々を眺めてみることにした。

家族連れ、老夫婦、大学生くらいのグループ。

意外だったのは、ひとりで来ている人の姿も目立つことだ。皆、静かに前を見据えている。

そしてもう一つ気づいたのは、外国人観光客の多さだ。

わたしのすぐ前には、4人組の女の子たちが並んでいた。聞こえてくる会話からして、おそらく韓国から来た高校生か大学生だろうか。

彼女たちは小声でおしゃべりに花を咲かせ、とても楽しそうだ。

少し離れたところには、中国語で会話をするカップルや家族連れの姿もあった。

ネットやニュースを見ていると、靖国神社という場所には、どうしても政治的な緊張感や、近隣諸国との対立といったイメージがつきまとう。

しかし、実際にここに流れている空気は、驚くほど穏やかだった。

列が進み拝殿の前に立った韓国人の女の子たちは、驚いたことに、全員がきれいに揃って、二礼二拍手一礼!

参拝を終えた彼女たちは、また明るい笑顔に戻り、楽しそうに帰っていった。

その少し後、中国語を話していたグループの人たちも、周囲の日本人と同じように静かに手を合わせ、何かを祈り、穏やかな表情でその場を後にした。

こうして実際に現地に足を運んでみると、過激な言説、諍いや対立を煽るような人たちはごく一部でしかないことが実感できる。

そこにあるのは「祈り」という純粋な行為だけだ。

27分間の静寂と、2026年の誓い

ひとり無言で待っていたので、随分と長い時間並んでいたような気がした。

しかし、時計を見てみると、行列に並んでから参拝を終えるまでの時間は、わずか27分程度だった。

拝殿の前で手を合わせる。

「今年一年、心穏やかに過ごせますように」

参拝を終えたわたしは、人混みを避けるように、神社の裏手にある千鳥ヶ淵方面へと向かった。

冬の澄んだ空気の中、静まり返ったお堀の水面を眺めながら、ゆっくりと駅へと歩く。

朝の浅草寺での感謝。上野アメ横での活力。そして靖国神社で感じた、静かな平和への祈り。

HSPのわたしの2026年は、いつもは近寄らない人混みの三名所を巡る大冒険?で幕を開けた。

疲労感がないと言えば嘘になるが、それは嫌な疲れではなく、心地よい充実感だった。

まとめ:食わず嫌いならぬ「行かず嫌い」を卒業して

最後に、これから靖国神社へ行ってみようか迷っている方の参考に、少しリサーチしてみました。

靖国神社への年間参拝者数は約500万人で、初詣には約10万~20万人が訪れるといわれています。

都内では明治神宮の約300万人が圧倒的ですが、それに比べると数字上はかなり落ち着いています。

何より境内が広く、参道のキャパシティが大きいため、行列の見た目以上に回転が速いのが特徴。

AIによる情報では、ピーク時でも参拝までの所要時間は1時間超程度と言われていますが、今回のように30分足らずで済むこともあります。

※過去の体験談では2時間以上並んだという情報もあります

「名前を聞くだけで、なんだか物々しそうで……」

「大混雑していそうで怖い……」

そんな風に、イメージだけで敬遠している食わず嫌いならぬ「行かず嫌い」の人がいたら、一度足を運んでみるのもよいかもしれません。

自分の足で歩き、自分の目で見て、自分の心で感じるのが何より。

さて、家に帰ったら、こたつに入って猫のように丸くなろう。今日の冒険の余韻を噛み締めながら。

2026年が、皆様にとっても平和で、心穏やかな一年になりますように。
(千里ふうた)


2026三が日シリーズ
第1回:浅草寺編 へ ➡️
第2回:上野アメ横編 へ ➡️
第3回:靖国神社編(本記事)

↑↑↑ いつき@暮らしが趣味 さんの"賑やかし帯"を使っています☆彡

🔽(こちらの記事も好評です)

📚著者の出版作品


この記事が参加している募集