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病名がついても、なぜ治らないのか⑪

終章

原因がわかったら、できることから始めてみる

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が、ご自身やご家族の慢性疾患を改善するためのヒントになれば幸いです。

最後に、病気を治すために必要な考え方を、私のメンターである矢山利彦先生から教えていただいた言葉とともにお伝えします。

すべての現象の奥には、必ず原因がある

一つ目は、

「すべての現象の奥には、必ず原因がある」

という言葉です。

これは、仏教の開祖である釈迦が説いた教えでもあるようです。

医療に当てはめてみると、すべての病気や症状には、必ず原因があるということになります。

もちろん、原因がすぐにわかるとは限りません。

検査で異常が出ないこともあります。

病名がついても、なぜそうなったのかまでは説明できないこともあります。

それでも、何かしら体に負荷をかけているものがある。

その視点を失わないことが大切です。

現代医学では、病名をつけることがとても重要です。

私もかつては血液内科の専門医として、白血病や悪性リンパ腫といった血液がんの治療に長年携わってきました。

がんの治療では、まず病名をはっきりさせる必要があります。

どの種類のがんなのか。
どの段階なのか。
どの薬を使うべきなのか。

そのために検査を行い、一日でも早く治療に入ることは、とても大切です。

ただ、もう一歩踏み込むと、

「なぜ、この患者さんは病気を発症したのか」

という視点も必要です。

そこには、食事、生活習慣、睡眠、ストレス、化学物質、金属、電磁波、感染、口腔内環境などが関わっていることがあります。

これらを見直すことは、標準治療の代わりではありません。

むしろ、標準治療を支え、治療効果を高め、副作用を軽くし、再発しにくい体をつくるための土台になります。

なぜ、なぜ、なるほど、どうする

二つ目は、

「なぜ、なぜ、なるほど、どうする」

という言葉です。

何事も、まず「なぜ」を考える癖をつけることが大切です。

たとえば、アトピー性皮膚炎で困っている患者さんがいたとします。

「なぜ、皮膚に炎症が起きているのか」

と考えます。

ゼロ・サーチで確認すると、肝臓と腸に炎症を起こしているため、解毒・排泄機能が低下していると推定されることがあります。

そこで、次に考えます。

「なぜ、腸と肝臓に炎症があるのか」

さらに見ていくと、金属汚染、化学物質、潜在感染などが推定されることがあります。

では、次に考えることは何でしょうか。

「なぜ、そのような負荷が体に入ってきたのか」

です。

その答えは、多くの場合、患者さんの食事や生活習慣の中にあります。

飲み水かもしれません。

小麦や乳製品、酸化油かもしれません。

洗剤や柔軟剤かもしれません。

生ものやダニ・ホコリかもしれません。

歯科金属や歯周病菌かもしれません。

スマートフォンやWi-Fiとの距離かもしれません。

このように、病気や症状について「なぜ、なぜ」と問いかけていくと、

「なるほど」

と思える情報が見えてきます。

原因が見えてきたら、最後は、

「では、どうする」

です。

食事を変える。
生活環境を整える。
日用品を見直す。
寝室を整える。
歯科医師に相談する。
必要に応じて薬物治療や栄養療法を組み合わせる。

病気の原因を知り、今自分がどういう状況にあるのかを把握し、何を実践すれば改善に向かうのかを一緒に考えていく。

それが、私の考える原因治療です。

100回入門、1000回黒帯、1万回達人

三つ目は、

「100回入門、1000回黒帯、1万回達人」

という言葉です。

何事も、あきらめずに続けていると、いつしかその道の達人になるという意味です。

病気治療に当てはめるなら、健康増進の達人になるために、食事や生活改善を地道に続けていこうということになります。

食事に関しては、主食を小麦類ではなく、お米に変える。

酸化油を含む揚げ物やスナック菓子を控える。

生ものをとりすぎない。

ファストフードや超加工食品を減らす。

生活習慣に関しては、寝室のダニ・ホコリ対策を続ける。

スマートフォンを枕元に置かない。

夜間のWi-Fiを切る。

香りの強い柔軟剤や洗剤を見直す。

これらは、一つひとつは地味です。

しかし、続けることで体に入る曝露は変わります。

一日三食に間食を加えると、一か月でおよそ100回、食べる機会があります。

まず一か月、食事療法をやってみる。

それで健康増進への入門者になります。

一年続ければ、およそ1000食です。

1000回黒帯です。

一年間、食事と生活改善を続けることができれば、お困りの症状が大きく変わっている方も多いと思います。

さらに五年、十年と続ければ、健康増進の達人に近づいていきます。

もちろん、現代は食事だけでは説明しきれない負荷も多くあります。

合成界面活性剤、香害、揮発性有機化合物、プラスチック、電磁波、金属汚染、ダニ・ホコリ、精神的ストレス。

これらは、エクスポソームの視点で見れば、日々の生活の中で体にかかる曝露です。

ですから、食事療法だけでなく、生活環境全体を少しずつ整えていくことが大切です。

病名ではなく、体にかかる負荷を読み解く

本書でお伝えしたかったことは、一つです。

病名だけではなく、体にかかる負荷を読み解くこと。

病名は大切です。

検査も大切です。

薬も大切です。

専門医療も大切です。

しかし、慢性疾患の場合、それだけでは見えてこないものがあります。

何を食べているのか。
どのような水を飲んでいるのか。
どのような日用品を使っているのか。
どのような寝室で眠っているのか。
どのような歯科材料が口の中にあるのか。
どのようなストレスを抱えているのか。

このような毎日の積み重ねが、体に影響します。

慢性疾患の原因治療とは、特別なことをする前に、まず体にかかっている曝露を読み解き、減らせるところから減らしていく医療です。

すべてを一度に変える必要はありません。

できることからで構いません。

今日の食事を少し変える。

寝室を少し整える。

スマートフォンを少し離す。

柔軟剤をやめてみる。

歯科検診を受ける。

過去のストレスを書き出してみる。

その一歩が、体が治ろうとする力を邪魔しているものを減らす一歩になります。

病気の原因を知ることは、自分の体を取り戻すことに繋がります。

本記事が、その第一歩になれば幸いです。

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