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「行ったら変わるかも / It might change you.」Vol.06

あなたは、アイヌのことを知っているか。

知っている、ととはどの程度のことをいうのだろう。
北海道の先住民族。独自の文化を持つ人々。教科書で読んだ、その程度だ。でも実物を見たことがあるか、と聞かれたら、ほとんどの人が首を横に振る。
仙台に、その実物がある。

染色家・芹沢銈介は、型絵染の人間国宝だ。着物、のれん、屏風——彼の作品は日本の美の結晶として知られている。でも芹沢にはもう一つの顔があった。世界中の工芸品を集め続けたコレクターとしての顔だ。
芹沢が最初にアイヌの工藝に出会ったのは、30代のころだったという。染色家として模様と向き合い続けた目が、アイヌの文様の中に何かを見た。技術でも民俗でもなく、純粋な「美」として。
その審美眼で集められた品々は「もう一つの創造」と呼ばれた。コレクションとは、集める人間の感性そのものだ——そういう意味だと思う。
そして芹沢が生涯「美しく神秘的」と称し続けたのが、アイヌの工藝だった。

アイヌの衣装には、各家庭で継がれてきた切伏模様がある。女性たちが手で縫い込んだ精巧なステッチ。男性たちが小刀に刻んだ信仰の文様。祭事用の酒箸、魔除けの首飾り——どれも、生きることと祈ることが分かちがたく結びついた手仕事だ。
でも多くは、今や残っていない。
芹沢親子が集めなければ、消えていたものがここにある。それは単なる工芸品の展示じゃない。かろうじて残った、記憶の展示だ。

東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館は、仙台市内にある小さな美術館だ。派手さはない。でもこの展覧会でしか見られないものが、160点並んでいる。
仙台に行くなら、ここに寄ってほしい。知らなかった日本が、静かにそこにある。
会期は8月1日まで。

アイヌの工藝——芹沢銈介と長介の収集——
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館|2026年4月14日〜8月1日


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