日本で「シンハラ語」を独学するには?
セールスコピーライターの谷本 理恵子です。
たぶん、日本人で「シンハラ語」を知っている人は、すごく少ないと思うのですが、スリランカで、多くの人に使われている公用語です(シンハラ語とタミル語と英語が使われているけれど、もっともポピュラーなのがシンハラ語らしい)。
といっても、「スリランカって世界地図のどこにあるんだ?」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、インドのすぐ近くにある島国だと言われれば、ちょっと思い出してきませんか?
世界各地の首都を覚える際に「スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ」という長い呪文のようなスリランカの首都名に、無駄にテンションが上がった記憶がある人も多いはず(ちなみに、スリランカ人の名前は、だいたいこのノリで長いことが多く、私は、永遠にフルネームを覚えられる気がしません…)。
セイロン紅茶やアーユルヴェーダでも有名で、上座部仏教の源流。世界的に人気のあるリゾート地の1つでもあるのですが、日本での知名度は今ひとつ(ちなみに、昭和の朝の有名人、「ズームイン朝」のウィッキーさんはスリランカ人だそうですが、知らなかったのは私だけじゃないですよね?)。そんなわけで、いざ、「シンハラ語」を勉強したい!となっても、日本語での情報がめちゃくちゃ少ない。その上、英語での情報も、あまりない(このへんが、「英語圏で勉強している人」が多い「スペイン語」と大きく違うところ…)。
なので、私の知っている範囲の情報を、少し書いてみようかなと(当初は「あまりに本業無視の話をnoteに書くのはいかがなものか」と躊躇してたんです。が、そろそろ諦めてきました。だって、私は、もともとライターなんですよね。興味の赴くままに長文を書くこと自体が楽しい。なので、もはや趣味炸裂のnoteでいいかもなと。「売れる文章を書く方法」とか「女性に売れる見せ方」など本業にまつわる話も、気が向いたらnoteにも書くかもしれませんが、この際、全力で仕事とは無関係な方向に走ってみたいと思いはじめています)。
第一印象は、くるくるしてて、かわいい!
日本で、シンハラ語を勉強するには、まずは「シンハラ文字(シンハラ・アルファベット)」を覚える必要があります。というのも、日本語で「シンハラ語」を学習できる教材はほとんど存在せず、野口忠司著『ニューエクスプレスプラス シンハラ語』しか選択肢がないと言っても過言ではないからです。
もともと「ニューエクスプレス」という外国語学習教材のシリーズは、大学の第二外国語テキストみたいな極めて真面目な作りで、「語学学習を楽しもう!」的な軽い雰囲気は、一切ありません。いかにもお勉強。手加減なし。
つまり、「シンハラ語」テキストは、いきなり「ආයුබෝවන්」という表記からはじまります(ちなみに、これ、「アーユーボーワン」という「こんにちは」的なあいさつの言葉です)。
はじめて見ると、目が点。
「え、これ文字?模様みたいで、すっごくかわいい!」「なんか、どっかで見覚えある気がするけど、曼荼羅?お寺?どこで見たんだろう?」と最初は面白く感じるのですが、いざ、きちんと勉強しようとなると、英語のアルファベットとあまりに違いすぎるので、「えー?!これを全部覚えるの?」というのが、「シンハラ語」学習の第一の壁なのではないかと思います。
そもそも、単に「シンハラ語」を話したいだけなら、別に「シンハラ文字」を覚えなくてもいいといえばいいですし、「シンハラ文字」を一切使わずに、英語のアルファベットを使って表記している「英語話者向けのシンハラ語教材」も存在します。
その上、ネイティブだって、「シンハラ文字」を使わない場面って、結構あるんです。スリランカ人のFacebookやWhatsAppでのメッセージのやり取りを見ていると、誰も「シンハラ文字」なんて使っていない。「Ayubowan」みたいな感じで、シンハラ語の「音」を「英語のアルファベット表記」にして送っているので、当初は「とりあえず、英語風のアルファベットを振って、先に音を覚えればいいか」などと思っていたのです。
が、「ニューエクスプレス」を使って勉強するなら、このやり方では、すぐに挫折します。なにしろ、文法の解説にも、じゃんじゃん「シンハラ文字」が出てくるので、読み進められなくなるからです。
いくらCDが付いていると言ったって(私が買ったのはCD版でしたが、今は、ダウンロード音源つきの版が発売になりました。いずれもスマホアプリでも聞けます)、自分の書いた英語風表記があってるかどうかもよくわからないし(英語風表記に正解があるわけではないらしいのですが、とはいえ音を聞き間違っている可能性はあるし、いちいち自分で音を拾って書くのも面倒だし)、かといって、日本語のカタカナでは表記しきれない音も結構あって、耳だけで音を完全に丸暗記できるかというと、かなり厳しい。
まぁ、ポジティブに捉えるならば、読み書きできた方が楽しいだろうし(看板とかパッケージとか、読めたほうがいいに決まってる)、結局のところ、読めるようにならないと何も進まない以上、さっさと「シンハラ文字」をマスターしよう!と腹をくくればいいわけですが、まずは、この「シンハラ文字」の仕組みがわかるまでが一苦労でした。
間違い探し並に、そっくり
「シンハラ文字」は、英語のアルファベットと同様に、表音文字です(日本語のカタカナやひらがなのように、音を表現する文字のこと。漢字のように文字自体に意味がある表意文字ではありません)。が、英語のアルファベットとは、音の作り方がまったく違っているので、当初は、かなり面食らいます。
なにしろ、英語だと「k」という子音と「a」という「母音」が並ぶと「ka」だよねというシステムですが、「シンハラ文字」の場合には、「子音字」に「母音記号」がいろいろな方向にくっつく仕組みになっているからです。
「子音だけ」という表記はなくて、ノーマル表記では「あ」の母音がついた音になるので、完全に「子音だけにしたい」場合には、「マイナス記号みたいなもの」がくっつきます。
たとえば「ka」は「ක」で、「k」だけにしたいなら、上に「p」というかフラットマークみたいなのをくっつけて「ක්」になるし、「カー」と伸ばした音にしたいなら、右側に「C」の逆みたいな記号をつけて「කා」になるといった感じ。
で、ここまでだと、「子音」と「母音」の組み合わせで作っていくのは英語などと同じなんだねと思えるのですが、ここから少々複雑になっていきます。ここから「か・き・く・け・こ」と「カ行」の音を作っていくときには、「母音記号」が「子音字」の上下左右についてくるからです。
つまり、「ki」にするなら、「C」を90度回転させた冠みたいになのが上にくっついて「කි」になるし、「ku」は、下にくっついて「හු」になる。「ke」にするなら、前にくっついて「කෙ」になるし、「ko」にするなら、前と後ろに挟む形で「කො」になる、というルールなんですよね。
さらに「キャー」なら右に「て」というか「z」みたいな記号がついて「කැ」になるとか、日本人にとっては、際限なく思えるくらいに、いろんな音があるわけですが、とりあえず「まぁ、ルールとしては、そうなんだね。へー、面白い」というところまでは、頭ではわかるんです。が、これ、慣れないと、凄まじく読みにくい。
なにしろ、「左に子音、右に母音」という表記に馴染みすぎているせいで、「左に母音」がくるパターンが、とっさに読めない。しかも、「左に母音がくるパターン」と「前後で挟む」パターンで、「左にある母音記号は同じ」なのが厄介で、「කෙ」と左につくだったら「ke」なのに、「කො」と左右についていると「ko」になるので、「やめてー!挟まないで〜!!」と何度も思いました。
しかも、「子音字」が、どれもこれも似てる。特にそっくりなのが、「ක」「න」「ත」「භ」「හ」あたりで、下側の曲線にくぼみがあるかどうかの差だったり、左上に短い横棒があるかどうかの違いだったり、もう間違い探しなんじゃないだろうかと思うレベル(しかも、フォントによって雰囲気が違うので、さらに見分けが付きにくい)。
なので、「こんなの、ホントにすんなり読めるようになる日が来るのかしらん」と思えてくるけど、ネイティブは、すごい速度で映画の字幕を読めているわけで、いつかは、ぱっと見で読めるんだろうなと信じて、コツコツ慣れていくしかありません。
同じ音なのに単語の出自の違いのせいで、表記は違うみたいなものもあって、最初の頃は、なんかわかったような、わからんような感じでモヤモヤするのですが、仕方ない。やっているうちに、いつかどうにかだろうという淡い期待を抱きつつ、楽しんでやるしかないのは、何語を勉強する場合でも、同じです。
書いていると、癒やされる
「シンハラ文字」を学習するにあたって、一ついいことがあるとすると、日本人は、曲線の多い文字を普段から書き慣れているので、はじめから上手に書けることかなと、私は思います。なにしろ、あのくるくるした回転の感じは、ひらがなを書いているのと、そう変わらない感覚ですし、そもそも日本人は、「書道」の授業でキレイに「とめ、はね、はらい」ができるように、ある程度はトレーニングをつんでいて、「視写」の練習もしているので、見ながら書くのは、案外いけます(なにしろ、ぼんやり見ていても、なかなか違いがわかるようにならないので、自分で書いてみて、あぁ、ここが違うのかと腑に落としていくのが案外大事なんです)。
それに、日本語の「め」と「ぬ」と「わ」と「ね」と「れ」とか、「は」と「ほ」と「に」と「け」、「つ」と「て」と「そ」と「ろ」と「ひ」と「し」と「く」と「へ」、「り」と「い」と「こ」なんかも、よく考えると、形としては激似なわけで、「シンハラ文字」に文句を言える筋合いではありませんから(もしかすると「ひらがな」って、「シンハラ文字」をルーツに持っているんじゃないかなと思えるくらい近い雰囲気も感じますし)、やっているうちに、だんだん、そんなものかとも思えてきます。
もともと葉っぱに文字を書いていたので、破れないように曲線でできているらしいのですが、とにかく丸っこいソフトなラインを書いていると、なぜか癒やされる感覚があって、不思議な楽しさも。ひたすら書いていると、なんか瞑想効果があるんじゃないかなと感じることもあり、頭がスッキリしたりもするので、ストレスの多い現代社会においては、写経よりも「シンハラ文字」を書く方が、良いんじゃないかと個人的には思ったりもするくらいです。
だからと言って、いきなり「シンハラ文字」を練習し始める人は、いないとは思いますが、まぁ、そういう言葉があるんだなと思っていただけたら嬉しいですし、現在進行系で「シンハラ語」をやっている方がいらっしゃいましたら、とにかく情報はやたらと少ないけれど、お互いに、楽しみつつ頑張りましょうね…という感じですよね。
この前、インドに旅行に行ったときも思いましたが、なぜか日本では、南アジアの情報が、極端に入手しにくい。ヨーロッパも北米も、オセアニアも、まだ状況がわかるのに、インドの情報となると中東以上に知られていない気がしますし、いわんやスリランカをや、という状況なので、私が知っている範囲で、今後も、スリランカやシンハラ語のことを少しずつ書いていけたらいいなぁと思っています。
ちなみに、日本でシンハラ語を勉強するには、前述の「ニューエクスプレスプラス」をテキストに、わからないところを、いちいちChatGPTに聞きながら進めるのが、おすすめです。
英語やスペイン語の場合は、AIの文法解説はほぼ完璧ですが、シンハラというマイナー言語になると、そこまでではありません。が、大学の授業に出席して解説を聞くくらいの詳しさでいいなら、そこそこわからないところを答えてくれるし、AIが間違っていそうなところには、たいてい人間が気づきますので、こちらがツッコミを入れれば、訂正可能です。
今や、インターネットとAIのおかげで、語学の学習は、本当にラクになりましたね!
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